Ｐｈａｎｔａｓｙ Ｓｔａｒ 〜時の始まり〜
第３話 闇なる者の目覚め・・・
エリア４へやってきたアーク達はすぐに城を攻める事にした。
無駄に時間をかけてエリア４に攻撃と防御の時間をかけさせないようにするためだ。
最初はそうでもなかったが、エリア４もいつかは攻められるという事を想定して
いたらしく思ったよりも早く体制を整えたので次第に戦況は分からなくなりだしてい
た。
ロイはアークとセレナ、それと適当に数名の兵士を連れて城に突撃をかけて速攻で勝
負をつけることにした。
そのためロイはアークを探してみたが何処にも姿が見当たらない。
ついでにセレナも居ないらしく結局ロイは二人を突撃隊のメンバーから外し自分と兵
士達数名を連れて行く事にした。
アークは既に城の目の前まできていた。
他のエリアを滅ぼした時のようにメギドで城を破壊しようと思ったのだ。
「受けよ！神の鉄槌！地獄の業火！メギド！！！」
いつものようにメギドを放とうとしたのだが・・・今回は発動しなかった。
（なぜだ・・・なぜ発動しない！）
試しにフォイエを放ってみたが、これは普通に発動した。
なぜメギドが発動しなかったのかは分からなかったが、とりあえず他のテクニックを
使って城の中に入っていった。
そして城の地下へ行き、そこからエリア４の地下へと降りていった。
自分でもなぜそこへ向かっているのかは分からない・・・ただ、何かに導かれている
ような感じだけがした。
「アーク！何処へ行く気なの？」
後ろから声をかけられたので振り向いてみるとセレナと兵士数名がアークの後を追っ
て来ていた。
セレナはこの国の王を倒せば全てが終わるから余計な事をアークにさせる気が無かっ
た。
だが、アークはセレナを無視して更に奥へと進んでいくのでセレナ達もその後を追い
奥へと進んでいった。
そして最下層までやってくるとアークは辺りにある何かの機械を操作しはじめた。
「ちょ・・・ちょっとアーク！一体何をしているの！？」
「・・・この船をばらばらにする。」
「ばらばらって・・・。」
「他のエリアを切り離すだけだ。」
アークは他のエリアに侵攻している時に思った事があった。
それは、同じエリアの住人同士は仲が良いのに対し他のエリアの住人とは仲が悪いと
いう事だ。
そして、他のエリア・・・侵攻する対象さえなければこんな戦争を起こらないだろう
と思った。
だが、その為にはどうすればいいのか・・・まったく分からなかったのだが、このエ
リアへ入ろうとした時に何に・・・このエリア同士を切り離すという方法を教えられ
た気がした・・・そしてそれを実行してみているのだ。
セレナも思う事は同じらしくただ、アークのやっている事を見ていた。
ロイはついにエリア４の王を追いつめていた。
「ここまでだ・・・このエリアも、他のエリア同様に我々エリア３がいただく。」
「他のエリアを・・・手に入れてどうする気だ！」
「それは・・・俺は知らないな。俺達は我らが王の命令で動いているだけだ。」
ロイはエリア４の王との間合いを少しずつ詰めていく。
「ま・・・待て！やめろぉぉぉ・・・。」
ロイはエリア４の王を殺しようやく全てが終わったという実感を得たが、それは突然
あらわれたバイオモンスターによって阻まれた。
「そういや・・・まだバイオモンスターが居たんだったな・・・あれを全滅させるま
では全てが終わったとは言えないか・・・。」
そう言うとロイは剣を持ち直し、バイオモンスターへ立ち向かった。
毎回の事だが・・・突然バイオモンスターがアーク達の所へあらわれた。
「なんでこんな所に出てくるんだ！？」
「とりあえず倒すわよ！」
セレナと兵士達はアークの邪魔にならないようにあらわれたバイオモンスターと戦い
はじめた。
しばらくしてアークも作業を終えセレナ達の加勢に入ったが、兵士の数は来た時の半
数以下まで減っておりセレナも多少だが怪我をしていた。
セレナもテクニック”サンフォース”や”スターフォース”を使い怪我を癒してはい
るものの精神力の消費により衰弱していた・・・。
テクニックを使用すると、攻撃や防御・・・回復などができる代わりに精神力を消耗
するので多用するとセレナのようになってしまう。
「テクニックが・・・もう使えない・・・。」
「スターフォース！」
アークが戦闘に参加すると同時に、あまり効果がある訳でも無いがやらないよりはマ
シのスターフォースを使った。
スターフォースはサンフォースと違い回復の対象者が全体になるのはいいが、ムーン
フォースの成功率を上げるとスターフォースの回復量が下がってしまう。
逆にスターフォースの回復量を上げるとムーンフォース成功率が下がってしまう。
ムーンフォースとは瀕死の者・・・もしくは死亡して間も無い者を蘇生させるテクニ
ックだが、万能ではない・・・というのも殺された者にしかその効果を発揮しないの
だ・・・ようするに自然死、寿命や病気などで死んだ時はこのムーンフォースは何の
効果もしめさない。
だから、今まで一人で戦っていたアークにとってスターフォースもムーンフォースも
は全くと言って良いほど使わなかったテクニックなので、当然のようにサンフォース
や毒を中和するシーフォースの回復量を上げていた為スターフォースでは気休め程度
の回復しか望めなかった。
「・・・やはり無駄か。」
アークは、フォイエでバイオモンスターを攻撃し一瞬の隙を作り間合いを詰めて切り
かかった。
バイオモンスターの右腕をきり飛ばし、続けざまに左足を・・・そして体を少しずつ
切っていく。
バイオモンスターは苦しみながらアークとの間合いを開けようとするが、バイオモン
スターが間合いを開けた分だけアークも間合いを詰めるので逃げる事が出来ないでい
た。
「アーク！もう十分よ！敵はもう戦意を喪失しているわ！」
「まだだ！こいつの目は死んではいない！」
セレナの言う事を無視してアークはバイオモンスターを少しずつ切っていく。
（こいつ・・・意外としぶとい！テクニックで一気に殺るか？）
だからといって間合いを開けると反撃が来るのでこのまま連続攻撃を続ける事にした
のだが・・・。
「セレナ！？」
見るに耐え兼ねたセレナがアークとバイオモンスターの間に飛び込んできたのでアー
クは思わずセレナを切っていた。
そして、バイオモンスターの左腕はセレナの体を貫いた。
「がはっ・・・！！！！」
セレナは口から大量の血液を吐き出すとその場に倒れ込んだ。
と、同時にネイソードは砕け散っていた・・・。
「貴様！！！よくもセレナを！！！セレナは・・・貴様を助けようと・・・なのに・
・・！！！」
アークは今までに感じた事が無いくらいの激しい怒りや憎しみをバイオモンスターに
向けていた。
そして全身の力を使いレイブレードでバイオモンスターを両断した。
「セレナ！大丈夫か！！！」
アークはバイオモンスターを倒して、すぐにセレナに駆け寄った。
「・・・。」
セレナは動かなかった・・・だが、まだ息はあるらしく苦しそうに呼吸をしていた。
アークは一応ムーンフォースかけてみるが、先程説明したようにアークのムーンフォ
ースは成功率が低い為一度では成功しなかった。
だが、アークも諦めずにセレナにムーンフォースを何度もかけてみたが全く成功しな
い。
（ファルスソード！何とかなんねぇのか！）
（・・・なぜ、貴様はそいつを見殺しにしないのだ・・・？今までのように見殺しに
したらどうだ・・・？）
（そんな事・・・俺にはできない！）
（できないだと・・・？笑わせるな！貴様は今まで命乞いや逃げ出した者を何名殺し
てきた！）
（あ・・・あれは・・・お前が逃がすと後々後悔するって・・・。）
（確かに我はそう言った・・・だが、誰が殺戮を楽しめと言った！我は殺せとは言っ
たが殺した者の目を刳り抜きバター焼きにしろとは言っておらぬ！）
（そ・・・それは・・・。）
もはやファルスソードに頼っても何もして貰えそうに無かったのでアークはセレナと
一緒に居た兵士達に頼る事にした。
「手を貸してくれ！セレナを助ける為に・・・病院へ連れて行きたいんだ！」
だが、兵士達は一向にアークに手を貸そうとはせずにただ見ていた・・・まるで汚ら
わしい物を見るかのように・・・。
「なぜ・・・！俺はともかく・・・セレナは今まで貴様らの為に戦って来たんだぞ！
それを見捨てる気か！」
「セレナさんを見捨てる気かって・・・それじゃぁ、殺られた俺達の仲間の死体は見
捨てるのか・・・！」
「そいつらは死んでいるだろうが！セレナはまだ生きている！」
「同じ事だ！」
それだけ言うと兵士達は撤退をはじめた。
それを見ていたアークはこの兵士達が非常に憎かった。
・・・確かに兵士達の言う事にも一理ある・・だが・・理屈で気持ちを納得させる事
は、言うよりも難しい・・・。
「受けよ！深遠なる闇の怒り！神をも砕く死の波動！」
アークはとっさに兵士達に自分の憎しみそのものをぶつけた。
一体どうやったのかは分からないが、アークから放たれた死の波動は兵士達に当たる
と黒い何かに姿を変え兵士達の体を蝕みだした。
その、黒い何かはまるで生きてるかのようにうごめいて兵士達の生命力を糧とし兵士
達の体を闇へを消し去っていく。
見ていると次第に体が無くなっていくのが分かる・・・。
「一体・・・これは・・・。」
そこへアーク達を迎えにロイがあらわれた。
ロイは自分に助けを求め苦しんでいる兵士達を見て、とりあえずモノメイトを使って
みたまったく効果が無く反って苦しませる事となったので一思いに殺してやる事にし
た。
「ちっ・・・余計な事を・・・。」
「あ・・・アーク・・・なのか？お前・・・。」
ロイが見た者は確かにアークなのだが、闇をまとっているので一瞬誰だが分からなか
った・・・。
「これは・・・お前がやったのか・・・。」
「・・・もう、いいんだ・・・何もかも破壊する・・・俺は、この世界が嫌いだ・・
・だから何もかも・・・そう、全ての生物を闇へと帰すんだ・・・。」
ロイはもはやアークに何を言っても無駄なような気がした。
ここで、アークを殺さなくてはならない・・・そう感じだロイはアークに切りかかろ
うとしたが・・・体が恐怖で硬直して動かない。
（くっ・・・動け！俺の体！）
ロイは無理にでも体を動かそうとして、その場に倒れ込んだのだが、倒れ際に持って
いた剣をアークに投げつけた。
剣はアークにかするだけだったが、正気に戻すには十分な怪我を負わせる事ができた
らしい。
「・・・はっ！？俺は・・・。」
だが、正気に戻っても先程の激しい怒りや憎しみが再び込み上げてきてアークの体を
支配しようとする。
「ロイ・・・さん・・・俺を・・・殺してくれ・・・このままだと・・・。」
「分かってる・・・。」
アークが正気に戻った事で恐怖の対象が消えたらしくロイの体はまもとに動いたので
剣を取りアークの心臓を一突きした。
「あ・・・りが・・・と・・・う・・・ロイ・・・。」
そのままアークは絶命した・・・かのように見えた。
アークはいつまでたっても倒れる気配は無く、ずっと立ったままだった。
それだけならまだしもアークは自分に突き刺さった剣を引き抜きサンフォースを自分
にかけて傷を癒した。
（なぜ！？俺は死んだはずでは！！！）
（まだだ・・・まだ貴様は死なせん！貴様の肉体を我が肉体に・・・貴様の魂を我が
力の源とし我は蘇る！）
（蘇るだと！？どういう事だ！）
死んだはずのアークが突然動き出したので不思議に思ったロイはアークが死にきれな
かったのでは？と思いもう一度・・・今度は首を切り落とそうとしたのだが・・・。
「アーク・・・今、楽にしてやる。」
「くくく・・・無駄だ！」
アークはロイにフォイエを放ち吹き飛ばした。
「な・・・なにを！？」
「クククククク・・・我が名はダークファルス・・・この場に居合わせた事を光栄に
思うがいい・・・そして貴様を殺した者の名を死しても忘れぬようにしてくれる！」
そう言うとアーク・・・いや、ダークファルスはメギドを放ちロイを消滅させた。
そのメギドの威力はアークが放った物の比ではなかった・・・。
つまり、これがメギド本来の威力なのだ。
アークが放つと何処かで理性が働きかけてその威力を半分くらいに無意識のうちに押
さえてしまっているのだろう・・・。
次にダークファルスは全てのエリアを同じようにメギドで破壊し尽くした。
「さすがに・・・メギドを連発するのは・・・。」
疲れたのかダークファルス（見た目はアーク）はその場で横になり少し眠った。
目を覚ました時・・・何かを思い出したかのようにエリア４を操縦しモタビア星へ向
かった。
そしてエリア４は一つの流れ星となりモタビア星へと墜落するのだった・・・。
「なんだ・・・？流れ星が落ちたのか・・・？」
たまたま空を見ていた一人の青年が好奇心からか・・・その流れ星の落ちた場所へ行
って見る事にしたのだ。
「ギグランダス発進！」
青年が乗っている巨大な機械で出来ている乗り物（後にガグナードと呼ばれる事にな
る）は流れ星が落ちた場所へと移動をは
じめた。
「おい、マグナ・・・今度は何処へ行くんだ？」
青年・・・マグナは声をかけた主のほうを見て嬉しそうに言った。
「流れ星が落ちたんだよ！見に行こうぜ！ガルゼス！」
「流れ星が？確かに目面らしいな・・・。」
もう一人の青年・・・ガルゼスはマグナの意見に賛成し流れ星が落下した所へ行って
みる事にした。
・・・それがただの流れ星では無い事に気が付いたのは、流れ