スペースクルーザー ランディール
第１話
彼は夢を見ていた。
捨て去ったはずの昔の残像が彼の脳裏に浮かんでは消えた。
赤い炎が見える。
その中でもがき苦しみながら息絶えていく
罪のない人達。
政府のロボット兵が容赦なく生き残った人たちを
射殺する。
ＡＷ１２７５年カジコの大虐殺
彼はそれをとめることができなかった。
ただ燃え上がる街を背景に笑いながら作戦を
指揮する男の影を見つめることしかできなかったのだ。
「艦長、・・・・・・タイラー艦長！！起きてください！！
緊急事態です！！」
若い女性の声 が目覚まし時計となり、
彼、宇宙海賊タイラーは悪夢から解放される。
鋼の腕で顔の汗を吹き払いふうと息を吐き
自分を落ち着かせると、直ちに服を着替え
ブリッジに直行した。
タイラー「ジョディ。状況報告を」
金髪の眼鏡をかけた少女、ジョディ＝メイリンが
現在の状況を分析報告する。
「現在我が艦後方3000に敵艦を補足
敵ゴルゴン級戦艦「エウリュアーレ」及び
巡洋艦3、駆逐艦5、その他バン型及びシュバルツ型
飛行メカノイド多数確認、毎時1000でこちらにむけ
接近中です。」
状況報告を受け艦長席に腰掛けディスプレイに
映し出される映像を眺め
横に座るプラチナシルバーの髪の青年に意見を求める。
タイラー「艦隊としては中規模って所か、
ただ旗艦がパルマ政府軍ご自慢の
ゴルゴン級戦艦ってところが解せないな。
アベル参謀この展開どう見る？」
アベル「簡単なことだよ、ここ数ヶ月私達が
破壊した、政府の施設の時は
こんな特殊な陣形は見られなかった。
だが、今から向かう、パルマ地熱研究所は
たかが重要度ランクＥの施設のはず
なのに、この歓迎ぶり・・・・・・・そこから
導き出される答えはおのずと明らかな
はずだ。」
紅茶をすすりながら、アベルは挑発的にタイラーに聞き返した。
タイラー「アルカディアの楔か・・・・・よし、そうとわかれば
これより我が艦は臨戦体制に入る
敵はひさびさの大物だが皆の腕なら
これぐらい朝飯前のはずだ、そうだろう」
モタビアンマニアの白兵戦指揮官アレスが
「おう、まかしとけえ、艦長よ！！く〜
ひさびさに腕がなるぜい」
と腕まくりしてガッツポーズで答えた。
「あ、アレス、あまりはりきりすぎて、この前みたいに
コンバットアーマーぼろぼろにしちゃあだめだよう。」
整備士ハルが情けなさそうに訴えている。
「無駄にゃあ、だってアレスって後先考えず行動する
力馬鹿だもんね」
サブオペレータの猫娘（ニューマンではなく、リュンクスで
ある）ミカがそう答えると、
アレスが「おまえら〜今日という今日はゆるさん、そこに
なおりやがれ」
ミカ「へへ〜ん、ここまでおいで、あかんべ〜」
たちまちブリッジ内で追いかけっこを始める二人。それを
苦笑しながらタイラーは命令を下した
「エンジン始動、宇宙戦艦ランディ-ル発進！！」
第1話 -終-
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