その庭師は、ウェンフィールドに仕えて既に三十年以上になるかなりの古株で、故に
エヴィンの顔もよく知っていた。だから邸宅の庭に意識の無いエヴィンが倒れている
事に気付いた時にはそれこそ腰をぬかさんばかりに驚き、就寝中ではと思いながらも
大慌てで主人・ギゾの部屋に連絡を入れた。
「ん〜？なんじゃい、朝っぱらから騒がし・・・！？オイ、本当か！？わかった！
すぐに行く！！」
庭師からの連絡を受けたギゾは顔色をサッと変えてそう言うと、同じく庭師の電話の
音で目を醒まされたテオと共に庭師の宿直室へと駆けつけた。
「おお・・・」
「エヴィンさん・・・」
エヴィンを前にして二人は言葉を失った。エヴィンの全身には無数の、生々しい傷跡が
あり、それが彼がこれまでどのような仕打ちを受けてきたのかを物語っている。しかし
それよりも深刻な事だったのは、二人がいくら呼びかけても彼が全く意識を取り戻そうと
しない事であった。
「とにかく、ここでは治療もおぼつかない。」
そう思った二人は、すぐに車を手配しエヴィンの体を病院へと運ぶ。そして検査にかけた
のだが、検査の結果の診断書とともに出てきた医者の表情は極めて複雑であった。
「骨折４カ所に打撲傷が１２カ所・・・いえ、これらの傷はいずれも命に別状はなく、
またさしたる困難もなく完治いたします。ですが、彼の脳波が・・・」
「脳波が・・・？」
「脳波が全く無いのです。心拍数も、脈拍も正常、自立呼吸もしているというのに・・・」
「なんじゃと・・・」
「それじゃあ、植物状態という事に・・・？」
テオは恐る恐る医者にそう聞くのだが、しかし医者はその問いかけにも首を横に振った。
「いえ、その、何と言いますか・・・脳が動いていないと言うよりも、脳が外部からの
いかなる刺激も受け付けないのです。何か、全てを拒んでいるような・・・」
「・・・・・・？」
「とにかく、通常の脳停止とは明らかに異なるのです。治療の可能性があるとすれば、
そこに活路を見出せるのでしょうが、生憎現状ではどのような処置をしたらいいもの
なのか・・・」
そう言うと医師は黙り込んでしまった。
「脳が刺激を拒む、か・・・」
医師の説明を聞いたギゾはそう言いながら病室の外の長椅子に腰かけた。
「余程、辛い事があったのでしょうね・・・それにしても、どうすれば呼び覚ます事が
できるのやら・・・」
「もし、脳が危険に晒されたがゆえの結果であるのならば、脳にここが既に安全である
事を教えてやる事ができれば、とは思うのだが、医師の話によると外部からのどんな
刺激をも受け付けなくなっていると言うしな・・・」
「でも、とりあえず家族を呼んでみたらどうかしら？そうすればあるいは・・・」
「うむ・・・」
そう言って二人がアレン達の家に連絡をとろうと立ち上がりかけた瞬間、傷を完治させ
今日には退院予定のマークが二人の前にやってきた。
「なんだ、やっぱり爺さん達が来てたんだ。」
「ん？『やっぱり』とはどういう意味だ？」
「いや、すげぇＶＩＰがいきなり来たって看護婦のオバチャン連中が騒いでたから、
もしやと思ってな。んで、どうしたんだ？ギックリ腰にでもなったのか？」
マークは笑いながらそう言いかけるのだが、二人の表情を見るとすぐにそうでない事を
悟る。そして改めて二人になんでここに来たのかを問い直した。
「そうだな・・・お前さんもエヴィンの友人の一人だ。もしかしたら、何かの助けになる
かもしれん。」
「ん？そりゃどういう・・・まさか、エヴィンに何かあったのか！？」
マークの問いかけに、ギゾは静かに頷いた。
「マジかよ・・・で、あのバカ今どこに！？」
「そこの病室だ・・・だが、意識は無い・・・かなり、奇妙な状態だ。」
「？そりゃどういう・・・まあ、とにかく行ってみるか。」
マークは別段深い考えも持たず、一ヶ月以上ぶりの友人との再会に心を躍らせながら
病室へと駆け込む。だが数分後に病室から出てきた彼の表情は、事態の深刻さを直感
的には理解しながらも何をすれば良いのかはまるで分からない、そんな煙に包まれた
かのような感覚に襲われたという表情だった。
「一体何なんだ？あいつは・・・」
「それが分かったら苦労はせんよ。しかし、こんな時にリィズがおればなぁ・・・彼女の
テレパス能力なら何か分かるかもしれんのだが。」
ギゾは天井を見上げると、残念そうにそう呟いた。
「リィズさんって、どこか行ってるのか？」
「ああ、新規工事の現場観察にな。それで今は連絡を取る事もできん。脳的な物で
あるのならば彼女の能力を使えば何か分かるのではと思ったのだが・・・」
「そっか・・・」
「ともあれ、お前が病室に行っている間にアレン達には連絡をしておいた。家族なら
何かの助けができるのではと思ってな。ヘリを派遣したから、あと一時間もすれば
全員来るじゃろう。」
「ふ〜ん、なあ、それまでの間オレができる事って何かないのか？」
「・・・分からん・・・ん？」
そう言って頭を抱えそうになるギゾだったが、遠くから近づいてくる足音に首を上げた。
近づいて来る人物が誰であるのか、その場にいた三人はすぐに分かった。リビアである。
もっとも、来たのがリビアだという事はすぐに分かっても、なんで彼女が朝の六時前に
こんな所に来たのかについては誰も分かっていなかった。
「どうしたんですか？リビアさん、こんな早くにこんな所に・・・」
心配そうにそう言うテオだったが、横からマークが「それを言ったらここにいる全員、
似たようなモンだけどな。」と横槍を入れてはギゾに頭を叩かれる。そんなこんなで
一瞬脱線しかけたが、テオが咳払い一つで場を収めるとようやくリビアは話し始める
事ができた。
「私、夢を見たんです。」
「夢・・・？夢って、寝る時に見るあの夢か？」
「ええ、それが心に残る夢で・・・そのせいで目が覚めたら表が妙に騒がしいから、
何が起きたのかなって思ったらエヴィン君が庭に倒れていて病院に運ばれたんだって
庭師のお爺さんに教えてもらって、それでここまで来たんです。」
「そうか・・・それで、それがどんな夢だったのかは覚えていないか？」
「はい・・・あれ？えっと・・・」
「ん？どうかしたか？」
「いえ、その・・・夢の内容を急に忘れちゃって・・・変ねぇ、さっきまであんなにハッキリ
覚えていたって言うのに・・・」
夢の内容に導かれるようにしてここまで来た筈なのに、その夢の内容を急に忘れてしまい
リビアは頭を抱えずにはいられなかった。その表情には、自責の念さえ見受けられる。
三人はそんなリビアの表情に申し訳なさを感じ、それぞれの言葉で「夢の内容なんて得て
してそんな物だから」と慰め、そして彼女にも病室に行ってエヴィンの事を見に行って
やってくれと促した。
「はい・・・それで、エヴィン君は今どこにいるんですか？どんな、状態なんですか？」
そう尋ねるリビアに、テオはエヴィンの病室を指さし、そしてエヴィンの現状をありの
ままに説明する。そしてその内容はリビアを驚かすのには十分だった。
「そんな・・・それじゃあエヴィン君は意識が戻っていないんですか？」
「ええ、今は・・・とにかく、今の彼は安全な場所にいるんだという事を彼の脳が意識
してくれない限り、たぶん永遠に目覚めないでしょうね。」
「でも、エヴィン君の脳は今、外部からのあらゆる刺激を遮断しているんですよね？
安全なのかそうじゃないのか、どうやって区別するんですか？」
「それが問題なのだ・・・それで今、何か解決策は無いかと思いエヴィンの家族を呼び
寄せている。が、一番の頼みの綱はリィズのテレパスかもしれんな。」
「そうですか・・・とにかく、ちょっと見に行って来ますね。」
そう言うとリビアはすぐにドアを開け、病室の中へと足を踏み入れる。と、そこに
いたのは紛れもなくエヴィンであった。
「エヴィン君・・・」
リビアは、約二ヶ月ぶりの再会となるエヴィンの顔をじっと見た。頬には大きな絆創膏が
貼られ、シーツからはみ出した腕には包帯が数カ所巻かれている。そして相も変わらず脳
波はフラット、そんなエヴィンの姿を見て、リビアの瞳には涙がこみ上げてきた。
「ずっと、苦しんでたんだね。エヴィン君・・・ごめんね、あなたのせいで、なんて
言って怒ったりして・・・」
言いながらリビアは、シーツから出ているエヴィンの右手を自分の両手で包み込んだ。
そうするとリビアの手にエヴィンの体温がはっきりと伝わってくる。声をかけても反応
せず、脳波もフラットのままだが、この温度が彼女に、エヴィンが生きているという
事実を改めて実感させた。
「帰って来てほしい・・・私と一緒にいた時のエヴィン君に、帰ってきて欲しい・・・」
言いながらリビアは、エヴィンの手を握る握力を強めた。その行為の裏には、『もしか
したら永遠に意識が戻らないかもしれない』というテオの言葉に強く不安を煽られていた
というのもある。そして、リビアの感情の強さは、彼女がリィズから勉強している最中で
ある「静のテレパス」をも無意識的に発動させ、リビアの心はエヴィンの心の中へと静かに
入り込んでいった。
「ここは・・・？」
リビアの精神は周囲を見回した。周囲には薄いピンク状の霧がかかっており、視界はあまり
良くない。また足場も今一つ不安定である。そして崩れかけたり、既に瓦礫になっていたり
する、白い神殿のような建物がいくつもある、そんな奇妙な世界だった。
「まさか、エヴィン君の心の中・・・？私、知らないうちにテレパスを・・・？」
リビアは直感的に自分がどこにいるのかを感じ取った。さっきまで病室にいたのに、そんな
急に物理的な移動をするとは考えにくい。となると物理的な物ではないどこかに自分はいる
筈であり、となるとエヴィンの精神世界と考えるのが一番妥当なように思われた。事実、
リビアが他人の心の中に深く干渉するのは初めてであるが、ここの世界はリィズの話の中で
出てきた世界とイメージ的にはよく似ている。
「と、なると、ここのどこかにエヴィン君が・・・？」
思いながらリビアはこの奇妙な世界の中で第一歩を踏み出す。と、そこで彼女は信じられない
光景を目撃した。
「な、なんなの、これ・・・」
眼前の光景に、リビアは言葉を失った。何人もの自分やマーク、エリー、それにエヴィンの
両親らが地獄の鬼のような怪物にありとあらゆる手法で責め苦を受けているのである。
リビアはそんな光景に吐き気さえも催しかけ場にうずくまるが、それからそんなに時間が
たたないうちに、彼らは本物のリビアの存在に気付き、集団で彼女に向かってきた。
「ホンモノダ・・・」
「ホンモノノリビアダ・・・」
「コイツヲコロセバ・・・」
「モットヤミノチカラガ・・・」
口々にそう言いながら自分目がけゆっくりと歩み寄ってくる怪物と傷だらけの”リビア”や
”マーク”達はかなりグロテスクである。そんな連中に恐怖し、リビアは全速力で逃げようと
するが、相手は四方から来ており逃げ場は無いように思われた。
「どうしよう・・・どうすれば・・・」
少しずつ輪を狭めて行く彼らに、リビアの恐怖は一段と強くなる。そんな状況の中でリビアは
努めてパニックにならないようにし、そしてリィズから教わった事を思い返す。と、リビアの
脳裏にリィズの言葉が浮かんできた。
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「リビア、精神世界では物理的攻撃力は意味をなさないの。」
「大切なのは『念』の強さ・・・そう、心の強さって言った方がいいかしら。」
「テレパスは下手をしたら相手の邪念にかえって自分が取り込まれる危険が常につきまとうわ。
だから、心を強く持ちなさい。あなたには、それができるんだから・・・」
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「・・・よぉし・・・一かバチか・・・」
リィズの言葉を反復し、決意を新たにするとリビアは右腕を伸ばし、掌を敵の一群へと向けた。
「私は・・・あなた達なんかにやられない！」
右手の先に強く力を念じながらそう言うと、リビアの手から一発の光弾が発射された。その光の
威力は強く、一瞬にして敵を数体焼き尽くした。
「私にもできた・・・これなら行けるかも！」
手応えを感じるやリビアはさらに数発、立て続けに光弾を敵群へ放つ。そして一方を切り開くと
切り開いた方向へ一直線に走り、向かってくる敵が縦一列に並びきったところで再度光弾を放つ
準備を整えた。
「一網打尽よ！！」
言うやリビアは、さっきまでよりも更に一段と大きい光弾を放った。その光弾は眼前の敵を
根こそぎ呑み込む。これはかつて、自分とリィズを誘拐しようとしたトライデントの一団に
対しリィズが使った戦法を真似た物であったが、リィズも使用していた方法だけあり効果は
抜群で、リビアは目前の敵をたった一発で一掃する事に成功した。
「よし、これで・・・！！」
眼前の敵が全ていなくなり、ホッと一息つきかけた所で、リビアの背中を激痛が襲った。
新たな敵の一人が、リビアの背中を切り裂いたのである。リビアは振り返り様にその敵も
光弾で倒すが、これまでの戦いで随分精神を消耗していた事もあり、痛みはなかなか消え
そうになかった。
「・・・どこかで休まないと・・・って、あれは・・・？」
そう思いながら周囲を見渡したリビアは、遠くで何度も、点滅するかのような強い光がある
事に気付いた。それが何であるのか、リビアには分からない。だがどこが安全かもまるで
分かっていない事に加え、その光にある種の興味と胸騒ぎを覚えた事もあり、リビアは光の
方向と走って行く。そしてその走っていた先で、リビアは自分が見覚えのある人間と出くわした。
「あ、あなたは・・・」
リビアはその姿を見て驚愕せずにはいられなかった。鬼の面をした朱色の髪の女性、その姿を
見てはっきりと思い出した。自分が昨日の夢の中で見たのはこの人であったと。しかもさらに
驚くべき事に、彼女の隣にはエヴィンがいた。透明な卵の殻のような物の中で、瞳を閉じて
うずくまっているため、顔の全てを見る事はできないが、その姿はまさしくエヴィンであった。
「エヴィン君！・・・と言う事はあなたは・・・？・・・！！！」
鬼面の女性に話しかけようとした所で、リビアは殺気を感じ後ろを振り返った。さっきよりも
遥かに数の多い敵の一群が、自分のすぐ後ろに来ていたのである。しかもこの距離と今の疲労
では光弾ももう間に合いそうもない。そう思い半ば覚悟を決めたその瞬間、眼前の鬼面の女性が
自分の方に掌を向け光弾を放った。
「きゃっ！！」
リビアは反射的に両腕を前にやり、瞳を閉じて身構えた。その光弾の大きさは、自分が使った
それとは比べ物にならないくらい大きい。だが、それから何秒経っても、その光弾による熱も、
痛みも、リビアには伝わってこなかった。
「・・・・・・？」
リビアは恐る恐る瞳を開けた。すると自分は傷一つ負っていないのに、背後にいた敵は跡形も
無く消え失せ、全体を覆っていた薄いピンク色の霧も消え、そして自分の痛みもひいていた。
「これは、一体・・・」
「・・・あなたは、違ったのね・・・」
何が起きたのかまるで理解できず周囲を見渡すリビアに鬼面の女性は優しい声でそう言った。
と同時に彼女の面に無数のヒビが入り、粉々に砕け散る。するとそこにはこの世の物とは思え
ない、美しい女性の顔があった。朱色の髪の女性はリビアの顔を見てニコと微笑むと、今度は
殻の中のエヴィンにその微笑みを向け、そして静かに語りかけた。
「もう、大丈夫みたいですね・・・さあ、起きなさい・・・」
「あ、あの、その、貴女は・・・」
朱色の髪の女性に、リビアは早口で色々と聞こうとする。だが、その声が質問としての形を為す
前に、リビアの意識は急速に遠ざかって行った。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「う・・・うん・・・」
それから間もなく、リビアは目を覚ました。時計の針を見てみると、自分がエヴィンの精神世界
へと入り込んでから、まだ五分と経っていない。
「あれだけ色んな事をしていたのに・・・！エヴィン君は！？」
そう思いリビアはエヴィンの脳波のグラフを見た。しかしそれは相変わらずフラットで、あれは
ただの夢だったのではと思い始めた瞬間、エヴィンの脳波が小さな波を打った。
「・・・・・・！」
エヴィンの脳波計が波を打つのと同時に、リビアも自分の心臓が強く波打つのを感じずには
いられなかった。そして間もなく脳波は正常に戻り、そしてエヴィンの腕もピク、と動いた。
「・・・エヴィン君・・・？」
「う・・・う〜ん・・・」
リビアが恐る恐る声をかけると、エヴィンは寝起きの声で小さく反応する。そして半身をベッド
から起こし、両目を開けかけた瞬間、彼は言葉を失った。
「ここは・・・え！？リビア先ぱ・・・」
「エヴィン君！！」
エヴィンは驚きとともにリビアの名前を言おうとしたのだが、その言葉が完全に形にならない
うちにエヴィンはリビアに抱きつかれ、名前を最後まで言う事ができなかった。
「よかったエヴィン君・・・気がついて・・・」
「先輩！？ここは・・・僕は、一体・・・？」
「『僕は一体』じゃないわよ！みんな、どれだけ心配したか・・・」
「・・・・・・」
リビアの言葉に、まだ意識の朦朧としているエヴィンは返す言葉がみつからなかった。だが、
意識がはっきりしてきたらはっきりしてきたで、リビアが自分に抱きついているという状況に
別の意味で頭がクラクラしてくる。と、病室内の声を聞きつけたマークが「バン！」という
激しい音と共に扉を開け、その音に口から心臓を飛び出させないばかりに驚いた二人は慌てて
体を離した。
「エヴィン！てめぇ意識が戻ったのか！！」
「マーク・・・」
懐かしい友人との再会に、エヴィンは再び言葉を失う。だがマークはそんなエヴィンの元へと
駆け寄るとすぐさま彼の頭に、プロレス技であるヘッドロックをかけた。
「心配させやがって！コノヤロ！コノヤロ！！」
「痛・・・いたたた・・・痛いよマーク・・・」
「るせぇ！迷惑料だ！！大人しく受け取れ！！」
そう言いながらもマークの顔に怒りはない。彼もまた、エヴィンの意識が戻った事が、そして
彼と再会できた事が純粋に嬉しかった。
そして直後にギゾとテオも病室に入り、それから更に三十分ほどしてエヴィンの両親である
クリスとジョゼフ、そしてアレンとアリスもやって来る。そんな彼らを前にしてエヴィンは
涙が止まらなくなってしまった。そしてしばらくしてようやく涙を一時的に止められると、
エヴィンはみんなに深々と頭を下げた。
「みんな・・・ありがとう・・・それと、心配かけてごめんなさい・・・」
・・・
・・
・
こうして、エヴィンは仲間達の所へ戻ってきた。
しかし、問題は何一つとして解決していない。
トライデントの残る二枚の刃の正体
四傑との決着
そしてエリーの安否・・・
いくつかの謎は解かれたが、それを超える謎が第二部で生まれた。
そして物語は続く。
全てが集束する第三部へと・・・
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