ホテルの玄関でそう言い合うと、二人はもう一度、お互いを抱擁した。そしてリビアの姿が
見えなくなると、リィズはそのままホテルの地下駐車場へ降り、ウェンフィールドが用意した
青いオフロード車の、一人で乗るには少し大きいシートにその身をうずめると、彼女は大きく
息を吸い込んだ。
「・・・いよいよね・・・」
胸に手を当てリィズはつぶやいた。邪神クルウェル・・・前の戦いから十年以上経った今でも、
当時の事はたまに夢に出て来るし、時間を持て余した時、ふと自分のした事に対する漠然とした
不安に襲われる事が無くなる事はなかった。そして、それは単なる思い過ごしでは無かった。
「滅びていないのなら・・・倒すのみ！」
一瞬の後、自分に強くそう言い聞かせると、リィズは車のエンジンをかける。そして係員に
駐車料金を支払うと、ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。
目指す場所はアイガだった。アイガはネオアリサの地脈の中心とも言える土地で、クルウェルに
とって最も、大地の力を集めるのに適した場所である。事実、前回クルウェルと戦った場所も
アイガだった。だがそこはリィズのいたアーパスからはかなり離れている上に、高速道路も途中
までしか無いため、ノンストップでも片道６時間はかかってしまう。そうなればアイガにつくのは
午後の六時近く、日没の一時間前になる。しかも運転による疲労もあるので、普通に考えるの
なら着いてすぐ戦いを挑むのは得策ではない。だが、この時のリィズはある種の視野狭窄に
陥っていた。
「はやく・・はやくアイガに行かないと・・・クルウェルが、破壊活動を開始する前に！」
一人きりの車の中で、リィズはその言葉を何度も言い続けた。クルウェルはこのネオアリサの
開闢以来いるとされる、言わば土着の魔物である。そして今このネオアリサに住んでいる人は
皆、遥か彼方のアルゴル太陽系から、二千年にも及ぶ漂流の末にたどり着いた移民の子孫で、
クルウェルの目から見たら完全な部外者である。ゆえに、その敵意も激しく、本格的に行動を
開始した時の惨状は、想像するに余りある物があった。
そしてそれから走り続けること約五時間、リィズが今走っている高速道路の終点に近づいた時、
リィズは目の前で検問を行っている事に気づいた。
「・・・何か事件でもあったのかしら？」
そう思いながら走り抜けようとするリィズだったが、意外な事に検問の警察官はリィズの車に
自分の方へ来るようにと誘導をしてきた。何かの犯罪者が、自分が今乗っている物とよく似た
車にでも乗って逃走しているのだろうか？そんな事を思いながら、リィズは警察官の指示に
従った。先を急ぐ気持ちはいよいよ強くなっていたが、別にやましい事は無かったし、何より
ここで検問破りでもして、後々追いかけられたりする方が断然厄介だからである。だが、車を
止めた彼女に対する警察官の第一声は、予想だにしない物であった。
「失礼ですが、リィズ・ファラシュさんですか？」
「え？」
キョトンとした目と、間の抜けた声でリィズは答えた。検問は自分のために張られていた？一体
何のために？だが、その答えを彼女が見つける前に、若い警察官の男性は免許証の提示を
彼女に求めた。
「は、はい・・・」
慌てた口調でそう言いながら、リィズはズボンのポケットから財布を取り出し、その中にある
免許証を抜き出し始めた。
「もしかしたらクルウェルの差し金かもしれない。」
そう思った彼女は、わざと財布から免許証を抜き出すのに手間取ったフリをしながら、相手の
中にある妖気を探ったが、幸いその手の物は何も感じられない。本当に、普通の警察官のよう
だった。
そしてそれを確認したリィズが、免許証を警察官に手渡しかけたその時、高速道路の出口から
入ってきた一台の黒塗りの高級車が、リィズの手前で止まった。
「・・・？」
何が起きているのか分からなくなりかけるリィズの前で止まったその高級車のドアが開く。
そして後部座席から彼女の知っている顔が明るい声とともに出て来た。
「よ！リィズさん、お久しぶり！！」
「・・・マーク君・・・あなたなんで・・・」
唖然とした表情でマークの顔を見ると、半ば反射的に車を降りてリィズは言った。と、次の瞬間
彼女は我に返る。
「じゃ、じゃあもしかしてこの検問って・・・」
「そ、ギゾさんが部下の独走を防ぐために、って手配した物さ。アレン爺さんの連絡でな。
オレがここに来たのも、爺さんの指示ってワケ。」
あっけらかんとした口調でマークは言った。そして、そのままの口調で彼は話し続ける。
「リィズさん、あんたこれからアイガに行くんだろ。それに、オレも連れてってもらおうと
思ってな。」
「あなたねぇ・・・遊びに行くんじゃないのよ！ましてあなた程度の実力で・・・」
呆れた口調でそう言いかけるリィズだったが、彼女はそこで言葉を止めた。マークの力が、
以前とは比べ物にならなくなっているのを直感的に感じたからである。
そして二人が向かい合っている間、マークの乗っていた車の運転手から事情の説明を受けた
若い警察官がリィズに行って良いという旨を伝えると、リィズは再び車に乗り込んだ。だが、
そのほんの一瞬の隙に、マークはちゃっかり助手席に座り込んでしまっていた。
「マーク君、あなたいつの間に・・・」
「こんな簡単に、オレに隙を見せるようじゃ相当平常心ってヤツを失ってるんじゃないの？」
「く・・・」
「ま、とにかく時間が惜しいんだったらさっさと行った方がいいと思うけど？あ、そうそう、
もう一つギゾの爺さんから伝言があったんだ。」
「・・・伝言・・・？」
「そ、エヴィン達の護衛という指示の無視って事で三ヶ月の減給だって。」
「え゛・・・」
マークの言葉に、リィズは一瞬硬直した。だが、それでもマークは話し続ける。
「とにかく、クルウェルと戦うんだったら人数は多い方がいいって！オレももう、足手まとい
にはならないからさ！それに、戦闘では別に放っておいてくれても構わないって！」
「・・・好きになさい・・・ただ、自分の言葉と行動には責任を持つ事ね。」
これ以上言い合うのもバカらしいと思ったのか、投げやりな口調でリィズは言った。
それから、数十分、沈黙の時間が続いたが、車が山林の入っていくとそれも破られた。しかも
今回話しかけたきたのはリィズの方だった。
「・・・それで、残りの二人は？」
「アレンの爺さんはエヴィン達の方に向かったよ。分割行動の方がいい、って事でな。あと
エリーのヤツも・・・たぶんエヴィンの所だろ？」
「たぶん、って・・・」
「逃げられたから。」
「！？」
リィズの表情が驚きに歪んだ。
「逃げられたってあなた！一体どうして！？」
「爺さんが一服盛られちまってな。オレはオレで、自分のケンカの真っ最中だったし、それ
どころじゃなかった。」
「そんな・・・無責任よあなた達！トライデントのスパイかもしれない人間を！！」
「・・・・・・」
リィズの言葉に、マークは沈黙する。そして、少しの沈黙の後に口を開いた。
「アンタの言いたい事は分かるさ・・・でも、ヴァルグとの戦いの後、傷ついて倒れてたオレを
助けてくれたのは間違いなくエリーだった・・・オレは、あいつとケンカしかしていなかった
のにだぜ？そんなヤツが、まして好きなエヴィンに悪さをするとは考えられないんだけど
なぁ・・・」
「・・・だと、いいけどね。でも、たぶんエヴィン君の心配をする時間はすぐに無くなるわ。」
冷めた口調でリィズは言った。だが、二人の会話はそこで途切れなかった。
「ところであなた、さっきヴァルグと戦った・・・って言った？」
「ああ、ボロ負けだったけどな。」
リィズの質問に答えながら、さらに次に来るであろう質問を先読みしてマークは言った。
「そう・・・それで次にヴァルグはどう動きそう？」
「・・・・・・」
「・・・マーク君？」
「・・・あ、悪い悪い、ヴァルグの次の行動だろ？・・・」
「分からない？」
「あ、ああ。けどな、もう『トライデント』とは縁を切るような事は言ってたから、オレ達の
前にはもう出てこないと思うぜ。今回オレがこっちに来たのも、もっとリィズさんとかの
戦い方を見て、自分への負担を少なくして勝つ事を勉強して来いって言われたからだし。」
少しひきつったような明るさを持った声でマークは言った。その声を聞き、リィズはしばらく
考え込むような顔をする。そして、一つの言葉をマークに差し出した。
「マーク君。」
「ん？」
「世の中には、釈然としない結果であれども受け入れなくてはならない物があるわ。でないと、
心が消化不良を起こして、他の事にまで悪影響をおよぼしかねない・・・」
「な・・・？」
「ま、言葉の解釈は後ででもするわ。ここから先は車では入れないから、歩きましょう。」
山林の、かなり奥深くに入ったところで、車の速度を落としながらリィズは言った。高速道を
降りてから、すでに一時間半以上が経過していた。
「ここが、アイガか・・・」
周囲を見回しながらマークは言った。夕方近い上に、森の中なので視界は相当悪い。もしここで
下手に敵に襲われたりしたら、それこそ危機的状況になりかねない。だが、そんなマークの心を
リィズは簡単に読み取っていた。
「ええ、だけどアイガの地脈の中心は、そこだけ円形状に荒涼としているの。たぶん、そこの全
エネルギーをクルウェルが吸い取っているからだと思うけど・・・」
「ふ〜ん。じゃあ、メインの戦場だけは視界が良いんだ。」
「ええ、前回のセオリーが通用するのなら、ね。」
若干不安そうな声でリィズは言う。そして二人は中心部を目指し歩き始めた。
だが、それから間もなくマークはわずかながら人の気配を感じ、サッと身構えた。
「リィズさん！」
「？どうしたの？」
「・・・人がいる・・・オレ達の左、約５０メートルの所に！」
警戒心を満面に浮かべマークは言った。だが、リィズはマークのそんな顔を見て、苦笑いを
しながらため息をつく。
「なんだ、あなた今頃気がついたの？」
「・・・え？」
「私は、車を降りる直前から感じ取ってたわよ。まだまだ甘いわね。」
「な・・・」
身構えたまま、顔だけを真っ赤にしながらリィズに向けてマークは言った。そして、そんな
二人の前に、一つの人影がその姿を現した。水色の髪をした女性だった。
「やっぱり来てたのね。そうじゃないか、って予感はしてたけど。」
「エレナ・・・」
「エレナ・・・ってトライデントの『四傑』の一人の！？」
リィズとエレナの横で、錯乱した様子でマークは言った。エレナはそこで初めて、マークの
存在に気づく。
「・・・あなたはてっきり一人で来ると思ってたけど・・・何なのこの山猿みたいなのは？」
「な・・・初対面の人間に向かって何なんだよこのオバサン！」
「・・・オバサンですって？」
その一言でエレナの右のこめかみに青筋が浮かぶ。そしてマークの事を指さすと、そのまま
首を９０度後方に傾け、そこから近づいてくるもう一つの、だいぶ大きな人影に声をかけた。
「シーレン、本番前の予行演習よ！目の前の山猿を始末しなさい！！」
「・・・了解・・・」
「し・・・シーレンってどっかで聞いた事のあるような・・・ってぇぇぇえええ！！」
木陰から突如として飛んできた銃弾をマークは叫びながら紙一重でかわした。彼の背後に
あった木は、小口径の銃弾の連発で完全に蜂の巣状態になっている。マークの反応があと
一秒遅れていたら自分がこうなっていた事は、疑いようもなかった。彼は木の有様に背筋が
寒くなる物を感じながらも、即座に身体の震えを止めて戦闘態勢を整えた。
「一体誰があんな銃を・・・ってロボット！？」
「いいえ、私はアンドロイドです。」
木の間から出て来たシーレンの全景を捉えるなりマークの口から出て来た言葉に、平然と
した口調でシーレンは切り返す。そしてそのままの姿勢で、右腕に内蔵してあるバルカン
砲を展開させた。しかし、今のマークはそれで怯むような人間ではない。
「怖くねぇんだよ！見えてる所から撃って来たって！！」
言いながらマークは、左に飛びながらシーレンのバルカンをかわす。シーレンは彼の動きを
目で追いながら銃を発射している腕も、彼の方に向けかけるが、その腕はマークの右足の
蹴りにより、上へ大きく向きを変えさせられていた。
「ボディがガラ空きだぜ・・・行くぜ必殺！」
「よしなさい！」
「！？」
自分の蹴りで生んだチャンスに、『武神の咆哮』を叩き込もうとするマークだったが、彼が
技のモーションに入る直前にリィズの発した言葉と、そして目の前を横切ったバータの水流が
マークの動きを止めた。そして気がつくと、シーレンも戦闘態勢を解除している。どうやら
リィズがエレナにシーレンに戦いをやめさせるように促したらしい。そしてその事にエレナが
完全に納得していないであろう事は、苦虫を噛み潰したようなエレナの表情から容易に察する
事ができた。
「・・・で、なんなのよコイツは。」
不機嫌そうな口調でエレナがリィズに尋ねた。
「・・・マーク・フラン、エヴィン君の友達よ。」
「・・・エヴィン・ハランツの？」
少し驚いたような顔でそう言うと、今度はエレナはマークの事をじろじろと見回した。
「な・・・なんだよ・・・だったらどうしたって言うんだよ・・・」
その様子にたじろぐマーク。だがエレナは間もなく大きなため息をついた。
「あなたがエヴィン・ハランツの友人ねぇ・・・あの子ももう少し、友達を選んだ方がいいわね。
ああいう子の将来が、悪い友人の手で汚されるのは忍びないわ。」
「な・・・さっきから人の事を一体なんだと・・・このメガネババア！！」
「メガネ・・・ババアですってぇ・・・」
今度は、エレナの両方のこめかみに青筋が浮かんだ。そして即座に再度、今度は完全な抹殺の
ための指令をシーレンに出そうとした瞬間、もう一つの人影が森の中かから近づいて来た。
「どうしたエレナ！？銃声がしたぞ！！」
「フィル・・・いえ、別になんでもないわ。ただの射撃練習よ。」
「そうか・・・ならいいんだが・・・って・・・」
そう言いかけた所で、目の前のリィズとマークに気づいたフィルは言葉を止めた。
「リィズ・・・それに君は・・・」
「え・・・あんた・・・フィル・・・グレアム・・・？ほ、本物・・・？」
「？？？」
フィルとマークの反応に、リィズとエレナは顔を見合わせた。そして次の瞬間、二人は両者に
なんで知っているのかと同時に尋ねる。
「いや・・・僕がティリアでライブをやっていた時に、何度か見た顔だったから・・・」
「・・・オレも・・・でも、歌うの見てるだけで話をした事なんて無かったのに・・・覚えて、
くれてたのか？オレの事・・・」
マークの言葉に、フィルは笑顔とともに頷いた。
「ライブハウスに来てくれたギャラリーの顔は、忘れないよ。」
「す、すごいな・・・あそこだって百人は入るのに・・・しかも、あれだけごった返してる
中で・・・しかもライブは毎週・・・」
驚きと興奮で、少し上ずった声でマークは言う。フィルは、そんなマークの顔を見て微笑と
ともに無言で頷いた。そしてリィズとエレナもそこでようやく、フィルの今の職業が歌手で
あるという事を思い出した。
「それで、君はどうしてここに？」
「あんた達と同じさ。邪神クルウェルってヤツに、用があってね。」
「そうか・・・」
マークの言葉にフィルは短くそう言いながらうなずいた。そして、再度視線をマークに向ける。
「君、サンフォースは得意かい？」
「ん？ああ、独学だけど一応。」
「そうか・・・よし、なら自分のケガは自分で治せるな。」
「ちょっとフィル・・・あなたまさか、こいつも連れてくつもり？」
「ああ。」
驚き混じりの声で尋ねてくるエレナに、フィルは事も無げにそう答えた。そして更にエレナへの
言葉を続ける。
「シーレンと渡り合えた子だ。僕達のバックアップくらいは、やってもらえるだろう。」
「・・・見てたのね。」
フィルの言葉にバツの悪そうな顔をするエレナと、思わず口元をほころばせるリィズ。そして
フィルは、今度はマークに目をやった。
「ただ、クルウェルを倒すのは僕らの仕事だ。これだけは、邪魔をしないでほしい。それと、
回復のためのテクニックポイントが足りなくなりそうになったら、余力があるうちに戦線
から離れる事、いいね？」
「ああ。」
フィルの言葉に、マークは素直に頷いた。だが、それから少しだけ考え、そして口を開く。
「けどフィルさん、オレからも一つだけお願いしていいか？」
「僕にできる事ならね。」
「そっか・・・じゃあ、その頼みってのなんだけどな・・・」
「実はさ、オレ、ここに来る時に知り合いの一人に嘘をついて来ちまったんだよ・・・んで、
その知り合いってのがアンタの大ファンなモンでさ・・・戦いが無事終わったら、オレと
一緒にそいつに会ってやってくれないか？」
照れたような、バツの悪そうな顔をしながらそう言うマークに、シーレンとマークを除く
全員が吹き出した。そしてしばらく、戦いの前とは思えない明るい笑い声がこだまする。
やがてそれもひと段落つくと、フィルは笑顔で快諾した。
それから彼らは再び歩き始めた。
歩いている間、敵は出なかったが瘴気はどんどん濃くなって来ている。その、普通の人間
ならば気持ちが悪くなり倒れそうな瘴気の中を歩き続ける事約二十分、ようやく彼らは、
アイガの中心部へとやって来た。
「・・・ここが、アイガの中心ってヤツなのか・・・」
「変わってないわね・・・このイヤな雰囲気・・・十年前とちっとも・・・」
「ああ、けれど僕がこの間訪れた時よりも、雰囲気は更に悪くなっている・・・」
「・・・シーレン、生体反応をサーチして。」
「了解。」
マーク、リィズ、フィル、エレナ、そしてシーレンは口々にそう言った。そしてシーレンが敵を
サーチしている間、エレナは背中のバックパックから大きな打ち上げ花火のような物を取り
出した。
「エレナ、それは？」
「照明弾よ、発射後三秒で一時間、半径３００ｍが真昼なみの明るさになるわ。撃つから
みんなちょっと目を閉じておいて。」
エレナがそう言ってから五秒後、まぶたの上からも目眩がするような明るさの光が全員を
照らした。だが、それに対して全員がようやく慣れたその瞬間、強烈な地鳴りと揺れが
全員を襲う。
「な、なんだ！地震か！？」
「違うわマーク君！クルウェルよ！！」
「でもこのタイミング・・・まさか、こっちが中心に来て、照明弾を撃つまで待ってたとでも
言うのか！？」
「さあね・・・でも、だとしたらそういう余裕が地獄を見せるって、教えてやりましょう！
シーレン！！」
「了解！！」
「いいか！一発の攻撃力を持っている僕とシーレンがクルウェルの本体を叩く！他のみんなは
僕らに攻撃が来るのを防いでくれ！」
強烈な揺れの中、フィルはそう叫ぶと目つきを一気に鋭くさせる。そしてもう一回、大きな
声で叫んだ。
「リィズ！エレナ！・・・亡霊を打ち砕くぞ！！」
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