夢幻之学園（仮）

	またまた、場面変わってここは中庭。ライルが頬を押さえて､うずくまっている｡結局､リナに追いつかれて散々にぶたれたのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ってぇな。リナの奴あんなに強くひっぱたかくてもいいじゃねぇかよ」「今のは､おまえが悪いぜ。ライル」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　と、ライルの背後から声がする。「誰だっ・・・て、スレイか。おっと、これはこれは、５代様とでも呼びましょうか」　いきなり現れたこの男､その名をスレイ・ウォルシュといい、この夢幻乃星学園の現職にして､第55代目の生徒会長である。（この夢幻乃星学園では､初代生徒会長のルツの影響からか､生徒会執行部は学力･品性だけでなく、美貌も､暗黙のうちに､必要条件となっている。もっとも、スレイの場合は､二番目の条件に問題があるのでは､と、一部の教師の間でささやかれている｡ちなみに、ライルが５代様と呼んだのは、上一桁を省いて呼ぶ慣習があるため）当然三年生であり､ライルの一年先輩に当たるわけだが､この二人は昔からの付き合いで､お互い呼び捨てにしている。　「あんなことをすれば､誰だって怒るぜ。あれじゃあ、慰めじゃなくて､単なる冷やかしだ。好きな相手には､あんなふうに接するものじゃないぜ」「だれがだれを好きだって言うんだよ」
	「お前が、リナを」「馬鹿言え、そんなんじゃない」「そうか？なら、俺の見間違いってことか。だったら、リナにあまりちょっかいをかけない事だな」「なぜだよ、それにそんな事、お前に言われる筋合いじゃない」「理由は二つ。ひとつは、俺がルツ(生徒会長）だからだ」「そんなのは理由じゃない」「人の恋路を邪魔する奴は､馬に蹴られて死んじまえって事さ｡これが二番目の理由だ。おまえが、リナのことが好きだというなら、邪魔をするのも仕方がない、ということになる。で、どうなんだ？」「良く分からん」「そうか。ま、それも良いだろう。おっと、そろそろ執行部会だ。それじゃ､失礼するぜ」スレイは、生徒会長の証である、白い学生服の裾をはためかせて去っていった｡（以上、Alex=Lezar.本当にゴメンナサイ）
	数学が始まりました。リナはドキドキ★だってすぐ前に先生がいるのですから・・・（ちなみにリナの席は真ん中の一番前）「・・・難しいわ。ここ・・・質問しようかな・・・」今は教科書の練習問題をやっている最中。だが、数学があまり得意でない彼女は問題がなかなか進まない。「でも・・・あんなに人がいるんじゃ・・・」先生の周りには問題を教えてもらおうと、たくさんの生徒が集まっている。今行っても授業が終わるまで、質問できそうにも無い。とにかく先生は質問攻めをくらっている。「・・・やめよっと・・・」「分からない・・退屈・・・大好きな先生の授業なのに・・・」「・・・・・・・。」質問攻めをされている先生を見ていると、同じ部屋にいるのに何だか、別の空間にいるように感じる。向こうだけ違う・・・こことは違う何かがある。「・・・駄目なのかな・・・先生とは。もう、彼女もいるし・・・・・・それなのに私、しぶといわ・・・」彼女は目から涙をこぼした。それを誰にも見られないように机に顔を伏せた。「授業が終わるまでこうしていよう。」（by　がれおん♪★）
	「授業が終わるまでこうしていよう」リナはそう考えていた。しかし・・・「リナ、問３の答えは何だ？」居眠りと勘違いしたケインはすかさずリナを指した。真ん中の一番前の席である。指されても仕方がないといえた。しかし答えなんか分かるはずがない。「え、え～と・・・」リナは頭の中が真っ白になった。けれど次の瞬間、背後からけたたましい音がした。彼女の後ろに座っていたシェスが教科書一式落としたのである。そしてリナが拾うのを手伝おうと後ろを向くとシェスは小さな声で答えが２５だと教えてくれた。「助かったわシェス、ありがと。」授業が終わってからリナはシェスに言った。この二人、このクラスに入ってから初めて知り合ったのだが、今では大の親友なのである。「聞いたわよリナ、またライルとケンカしたんだって？仲いいわね、二人とも。」シェスが笑いながらそう言うと、リナはルディにからかわれたライルのようにムキになって反論した。「じょ、冗談よしてよ！あいつとは、単に家が近所ってだけなんだから！第一、その　せいで何度アイツ（とルディ）の悪さの巻き添え喰ったか分かりゃしない！」「けど、そう言うリナも、愛想尽かしてないじゃない？」「う・・・・・・」「ハタから見てると、二人ってものすご～く仲良さそうに見えるけど、気のせいかしら？」「な・・・なに、そんな・・・」「私ちょっと職員室に用事があるから。それじゃ！」シェスは言いたい事だけ言うとリナを煙に巻いてさっさと行ってしまった。あとに残されたリナはやや茫然とした面もちでその場に立ちつくしていた（ｂｙがりゅー）
	「・・・はっ！ぼーっとしている場合じゃないわ！次は体育なのに・・・」リナ、慌てて教室を出る。（更衣室にて着替え中）・・・・・・・・・・（着替え完了）まずはじめに断っておくが、『この世界のこのご時世では、ぶるまあは旧世紀の遺物である』よし、言い切ってしまったこっちの勝ちだ。「学園物における男のロマン」は早々に潰しておくに限る。というわけで、ジャージはちゃんと着ている。学年ごとに色が違うが、二年生は青のようだ。「ところで、今日は何やるんだったっけ？」リナが、いつのまにか隣にいたシェスに聞く。「さぁ・・・体育館に集合だからバスケかバレーでしょうけど、タイロン先生の事だから　どうするかは、ねえ・・・」何とは無しに、６月頭の球技祭の事を考えながらシェスがつぶやく。（Ｂｙすずしろせり）
	「集合～～！」タイロン先生の声が体育館に、こだまする。高等部なので、体育は二クラス合同で男子・女子に別れている。今、体育館には、リナ達のクラスと隣りのクラスの女生徒とで、合せて３６人いる。お決まりのストレッチの後で、体育館を軽く１周してから、タイロン先生の説明が始まる。「今日の体育だが、ハンドボールを行う」「は～い、先生」女生徒の一人が元気良く手を挙げる。「ん、何だ」「ハンドボールって、何ですか？」きれいにずっこけるタイロン先生。ゴホンと咳払いをしてから、「確か、去年もやったと思ったのだが、まあ良い、説明する」　　＊注　ハンドボールを知らない人のために、わかりやすく言うとハンドボールとは、サッカーとバスケットボールを組み合わせたようなスポーツである。バスケットの様に、ボールを床に突きながら運び、パス等を駆使して相手ディフェンスをかわし、サッカーの様に、キーパーをかいくぐって、ゴールにボールを投げ（蹴るのではなく）入れる。ゴール周辺には直径７～８ｍ程の、サッカーで言うところの、ペナルティエリアがあり、自軍キーパー以外は味方でさえも、踏み越えることはできない。ただし、「踏み越え」なければよいので、ライン寸前でジャンプして、地面に着く前にシュートするのは、有効である。従って、ダッシュジャンプシュートを成功させると、突進力が加わって、かなりの威力になる。さらに、ハンドボールのボールは、バレーボールのものより一回り小さく、女性でも片手で掴むことができ、また、バレーボールよりも固い。付け加えると、ハンドボールのゴールは、背の大きい人なら両手両足を伸ばせば端に届きかねないくらい小さいものであるので、素人同士の試合では、そのつもりがなくても、ゴールに入るより、シュートがキーパーの体にぶつかる方が可能性は高い。　「・・・と言うようなものだ。では、一チーム６人でチームを作れ」説明が終わったが、タイロン先生の声はリナの耳に届いていない。リナの頭の中は、去年チーム内で最も背が低いにもかかわらず、何故かキーパーをやることになり、ものの見事に、シュートが頭に当たって、保健室に運ばれたことを思い出しているのだった。（Ｂｙ　Ａｌｅｘ＝Ｌｅｚａｒ）
	リナは、昔からクジ運が悪い。何せ年賀ハガキの切ってさえ当選したことがないのである。今回もまたジャンケンで負け、キーパーをやらされる事になってしまった。しかも今回はそれだけでは収まらない。なんと対戦相手の隣のクラスのチームにリンがいるのである。リン・ノ・サテラ、原作ではリナの娘だがまさかそうもいかないので遠い親戚にでもしておこう。恰好が良くスポーツ万能、竹を割ったような性格の彼女には男女を問わずファンが多い。部活は一応陸上部だが他から助っ人を頼まれることも多く、特にバレーでは地区予選一回戦落ちが常識だった夢幻之星学園をインターハイ優勝にまで導いたのはもはや伝説である。そのリンが相手にいるのだから、皆始まる前から逃げ腰だった。「こまめにパスを回して時間切れを狙おう」リナのいるチームの作戦はそれであった。しかし、最初のパスでいきなりリンにボールを奪われた。そしてそれからおそらく五秒とたってはいまい。リンの強烈なシュートがリナに直撃するのは・・・「う・・・う～ん・・・」気がついたらリナは保健室のベッドに寝かされていた。「大丈夫？リナ？」シェスやリンが心配そうにリナの顔を覗き込んでいる。まだ、頭が痛い。頭を触ると巨大なコブができていた。「大丈夫なワケないでしょ！」リナは相当不機嫌である。まあ無理もないのだが。「ところでシェス、球技大会ってハンドボールで決まりなの？」不安そうにリナが尋ねた。できる事ならドッジボールとかサッカーとか、ボールが体にぶつかってくる競技は避けたいのである。また、球技大会の種目は基本的に生徒会閣議で決定される。シェスも生徒会役員の一人なのだが、それがスレイに近づくためだったというのは公然の秘密。「まだ、決まってないわね。他に何が候補だったかな・・・」（ｂｙがりゅー）
	「どのようなお話しをしているのでしょうか？」外から女生徒の声が聞こえる。「誰？誰なの？何か用でもあるの？」「・・・・いえ、たまたまここを通っていただけで・・・偶然にもあなた達が。・・・申し遅れましたが・・私はあなたがたと同じクラスのルイセ＝ケイ＝エシルです。」彼女は少し緊張しながらそう答えた。「ルイセさん。えっ？どうして。珍しいわね・・あなたが私たちに声をかけるの・・・」リナは普段、おとなしくてめったに話などをしない彼女がここに着た事に驚いている。「えっ・・・あの・・楽しそうでしたので・・・」その後彼女は何かを言いたそうにしたが・・・言えずにいる。「・・・ごめんね。失礼するわ・・」彼女はその場を去ろうとした。「帰ったな・・・何かを話したそうだったのに。・・・元はと言えばリナ。リナが彼女を不思議がるからいけないんじゃ・・・」「・・だって・びっくりしたんだもん。いつもはあんなにおとなしくて、誰とも話をしないのに・・・」「別にいいじゃないか、同じクラスメートだし。それに仲間は多い方が楽しいし。」「そうね・・私も学校に入った頃は誰も友達がいなくて寂しかった。だけど、今こうしてリンやシェス達といる。そのおかげで学校生活、充実しているわ。・・・どうしよう・・きつい事言ったかもしれない。仲間になりたかったのじゃないかな・・・」リナは入学当初の事を思い出すと、人事の事と思えなくなった。周りには知らない人ばかり・・・あの頃は、何をするにも不安だった。その上、話をする人がいないので寂しく感じていた。だが、それも１週間ほど経てば自然となくなっていった。偶然にも授業中に問題が分からないと後ろの席の子が言い、教えてほしいと頼まれた。それを言ったのはシェスだった。ここから２人は仲良くなっていったのだ。「・・・もう一度ここに連れてこようかな。でも・・帰ってしまってるのじゃ・・」「・・・大丈夫だと思うな。あの子は放課後はいつも、遅くまで窓から外を見ているぞ。前、部活をしていて帰ろうとしたら、彼女がそうしてた。」「私もあるわ。前に生徒会の会議が終わって帰ろうとしたら、もうすぐ日が暮れるというのにあの子が一人で窓の外を見ていたわ。」「そうなの・・じゃあ、行ってみる。」彼女はすぐにルイセのいると思われる所に行った。いた・・・化学室の前の窓辺にいる。そこにいる彼女は、悲しそうな表情で外を見つめている。「ルイセさん。」リナは彼女に声をかけた。そうすると、彼女は驚くようにすぐに振り向いた。「あっ・・リナさん。先程は失礼しました。」「・・ううん・私が悪かったわ。せっかくお話しをしようと来てくれたのに、ひどい事言っちゃって・・」「いいえ・・・その事は・・もういいのです。」「ねえっ！保健室に行って一緒にお話しをしよ。こんな所にいないで行こう！」「えっ・・・だけど私は・・」「緊張しなくても大丈夫。みんな、いい子ばかりだから・・・」「気持ちはうれしいのですが・・・やはり私は・・」「いつまでもこんな事言ってないで、早く行こう！みんなも待ってるよ。私たちあなたの仲間よ。」「・・・・・仲間ですか・・・・」「うん。同じ学校にいるし、同じクラスだし。当たり前よ★」「・・・・・・・・・・・」「・・・では・・行ってみましょう・・」「そうこないとね。じゃあ、一緒に行こう！」そう言うと、２人で保健室に向かった。その時ルイセは、いつもなら表情がくもっているが今は少しではあるが、明るくなっていた。（by　がれおん卿）
	ルイセに楽しい時間が訪れようとしていた頃、爆睡覇王ことネイ・セカンドはまだ家のベッドの中で幸せな夢をみていた。ピンポーン！ネイ姉妹の住む家に軽いチャイムの音が鳴り響いた。「ちわ～！」そう言って入ってきたのは、真青な髪の少年。隣の家に住んでいる、ネイ姉妹の上級生でもあり幼なじみでもあるユーシス。何故か、セカンドはユーシスのことを生き別れの兄と勘違いしているが…。ユーシスはちょっと急な階段を駆け登ると、セカンドの部屋へと入った。部屋の中はラッピーのぬいぐるみでいっぱいである。足の踏み場さえないようにみえる床を慣れた感じでひょいひょい避けながらベッドへとむかう。数あるラッピーぬいぐるみの中でも一番大きなものを抱き抱えたまま、セカンドは幸せそうな寝顔を浮かべていた。「…」なにか寝言が聞こえる。「…ペロリーメイト」 ……なんの夢を見ているんだか。ユーシスはベッドに近づくと、おもむろにセカンドの鼻をつまんだ。「…」続いて愛らしい口もつまむ。「…プハ～～っ！！」突然の苦しさに、爆睡覇王の異名をとるセカンドも飛び起きた。「よっ、おはよ～！目～、覚めたか？」「お兄ちゃん！？」目覚めの一番に飛び込んできたのはユーシスお兄ちゃんの大好きな笑顔と格好良い声。夢のせいもあって、今日のセカンドはみるみるうちに赤くなってしまった。セカンドは照れ隠しも手伝って、つい憎まれ口をたたいた。「も～馬鹿馬鹿！普通に起こしてって、いっつも言ってるでしょ～。ユーシスお兄ちゃんなんか、ふ～んだ！！」「セカンドちゃん、なんか顔赤いよ」その声がまるで耳に入っていないのか、ユーシスは心配そうな表情をするとセカンドの額に手を当てた。ますます赤くなるセカンド。「なんでもないの～」セカンドは、ユーシスの手を跳ねのけて毛布を頭からかぶった。なんか、妙にどきどきがおさまらない。やっぱりあんな夢を見たからかな～。ユーシスお兄ちゃん夢の中でも優しいし… やっと胸のどきどきがおさまって、セカンドは毛布の隙間からユーシスを見上げた。ユーシスは真剣な表情でなにか考え事をしているみたいに見えた。セカンドはユーシスのもつ大人の表情をちらりと見てしまったような気がした。やっぱり私のことが心配で考え事してるの？だってあんな真剣な顔してるんだもん。悪いこと言ちゃったかな～。でもなんか嬉しい☆ 不意にセカンドに顔を向けたユーシスと目が合ってしまった。舌をちらっと出して、セカンドは毛布から顔を覗かせた。今まで側で立っていたユーシスはベッドに腰を下ろすとセカンドの肩を優しく支えて起こした。そして、今までにない真剣な表情でセカンドを見つめた。なにか言いたそうにしているけど、なかなか言い出せないユーシス。こっこれって…もしかして。落ち着いたはずの胸が、またとととっと、早いリズムを刻みはじめる。きゃい～☆　　でもユーシス、私たち血が繋がってるし…。やっぱり、いけないよ～。兄妹だなんて～、神様の意地悪～☆ ユーシスは覚悟を決めたのか、セカンドの肩を強くにぎった。「セカンドちゃん…」「…ユーシス」ユーシスの真剣なその面持ちにセカンドも覚悟を決めた。だって私もユーシスのことが…。見つめあう二人。「…たらい、かな？」「……っへ？」まったく予想のつかない言葉に目が点になるセカンド。た、たらいって…一体？「いや～、さっき言ってたでしょ。普通の起こし方、って～。だから、たらいをスコーンて頭に落とせばセカンドちゃんも起きるのかな～、って思ってね」「なんで頭にたらいなんか落とさなきゃいけないの～」「やっぱり洗面器？なんかいまいちだな～」「そうじゃなくて～」セカンドの泣きそうな声が響く。それになんで私が朝から、そんなべたべたのギャグをしなきゃいけないの～。うぅ～、お兄ちゃんのこういうところ嫌い～「だいいち洗面器ぐらいで起きるかな～？」ユーシスは真顔で考えている。「だ～か～ら～。そういうのじゃなくて～」「わかった！ダイナマイトだ！！」「ちが～～～～～う」セカンドの声が部屋に響きわたる。ふとユーシスは、壁にかかっている時計を指差した。「１１時３０分。……エ～～っ！？」夜のって訳じゃないよね～。こんなに明るいし～。…これで何回目の大遅刻？「お～い。鞄の中に午後の授業の分、入れといてやるから、シャワーでも浴びておいで」「お願い！お兄ちゃん」セカンドはものすごい速さでシャワーと着替え・その他諸々をこなしていった、いつものごとく。「お待たせ～。お兄ちゃん」セカンドがすっかり着替えもおわり学校へ行ける準備が整ったとき、一階のリビングに座っていたユーシスはジュースの缶をポーンっとセカンドに投げ渡した。そしてテーブルの上に置いてあった、誰かのメモを読みあげた。「ユーシスへ。今日、セカンドを起こすことができませんでした。一応、頑張ってはみたものの…セカンドは、寝ぼけて私の髪を引っ張るは…等々。セカンドが起きたら、後でみてらっしゃい、と伝えておいてください。－－－ファーストより－－－」聞いていたセカンドは、見る見る青ざめていった。「どうしよう～。お兄ちゃん」「はいはい。後で、俺もファーストちゃんに謝っておいてやるから。それより学校に行くよ」ユーシスはセカンドにヘルメットをかぶせる。別にファーストへの対策ではない。ユーシスはいつも登校にバイクを使っていて、セカンドは時々その後ろに乗せてもらっていたからである。「忘れ物はない？」「うん。おっけ～、だよ」バイクにまたがって、ユーシス達が学校へと向かおうとしたとき、セカンドの不思議そうな声が後ろから聞こえた。「ねぇ、どうしてお兄ちゃんもこんな時間なの？」「俺？今日、午前中、休みだったんだ～」「ずっる～い」学校へ向け走りだしたバイクの上で、セカンドはユーシスに抱きついていた腕にぎゅっと力を込める。「知らん知らん。先生にでも言ってくれ～。ちょっと、痛いんだけど～」ユーシスとセカンドを乗せバイクは、学校へと向っていった…。（ｂｙ　　狐（お初））

	またまた、場面変わってここは中庭。ライルが頬を押さえて､うずくまっている｡結局､リナに追いつかれて散々にぶたれたのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ってぇな。リナの奴あんなに強くひっぱたかくてもいいじゃねぇかよ」「今のは､おまえが悪いぜ。ライル」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　と、ライルの背後から声がする。「誰だっ・・・て、スレイか。おっと、これはこれは、５代様とでも呼びましょうか」　いきなり現れたこの男､その名をスレイ・ウォルシュといい、この夢幻乃星学園の現職にして､第55代目の生徒会長である。（この夢幻乃星学園では､初代生徒会長のルツの影響からか､生徒会執行部は学力･品性だけでなく、美貌も､暗黙のうちに､必要条件となっている。もっとも、スレイの場合は､二番目の条件に問題があるのでは､と、一部の教師の間でささやかれている｡ちなみに、ライルが５代様と呼んだのは、上一桁を省いて呼ぶ慣習があるため）当然三年生であり､ライルの一年先輩に当たるわけだが､この二人は昔からの付き合いで､お互い呼び捨てにしている。　「あんなことをすれば､誰だって怒るぜ。あれじゃあ、慰めじゃなくて､単なる冷やかしだ。好きな相手には､あんなふうに接するものじゃないぜ」「だれがだれを好きだって言うんだよ」
	「お前が、リナを」「馬鹿言え、そんなんじゃない」「そうか？なら、俺の見間違いってことか。だったら、リナにあまりちょっかいをかけない事だな」「なぜだよ、それにそんな事、お前に言われる筋合いじゃない」「理由は二つ。ひとつは、俺がルツ(生徒会長）だからだ」「そんなのは理由じゃない」「人の恋路を邪魔する奴は､馬に蹴られて死んじまえって事さ｡これが二番目の理由だ。おまえが、リナのことが好きだというなら、邪魔をするのも仕方がない、ということになる。で、どうなんだ？」「良く分からん」「そうか。ま、それも良いだろう。おっと、そろそろ執行部会だ。それじゃ､失礼するぜ」スレイは、生徒会長の証である、白い学生服の裾をはためかせて去っていった｡（以上、Alex=Lezar.本当にゴメンナサイ）
	数学が始まりました。リナはドキドキ★だってすぐ前に先生がいるのですから・・・（ちなみにリナの席は真ん中の一番前）「・・・難しいわ。ここ・・・質問しようかな・・・」今は教科書の練習問題をやっている最中。だが、数学があまり得意でない彼女は問題がなかなか進まない。「でも・・・あんなに人がいるんじゃ・・・」先生の周りには問題を教えてもらおうと、たくさんの生徒が集まっている。今行っても授業が終わるまで、質問できそうにも無い。とにかく先生は質問攻めをくらっている。「・・・やめよっと・・・」「分からない・・退屈・・・大好きな先生の授業なのに・・・」「・・・・・・・。」質問攻めをされている先生を見ていると、同じ部屋にいるのに何だか、別の空間にいるように感じる。向こうだけ違う・・・こことは違う何かがある。「・・・駄目なのかな・・・先生とは。もう、彼女もいるし・・・・・・それなのに私、しぶといわ・・・」彼女は目から涙をこぼした。それを誰にも見られないように机に顔を伏せた。「授業が終わるまでこうしていよう。」（by　がれおん♪★）
	「授業が終わるまでこうしていよう」リナはそう考えていた。しかし・・・「リナ、問３の答えは何だ？」居眠りと勘違いしたケインはすかさずリナを指した。真ん中の一番前の席である。指されても仕方がないといえた。しかし答えなんか分かるはずがない。「え、え～と・・・」リナは頭の中が真っ白になった。けれど次の瞬間、背後からけたたましい音がした。彼女の後ろに座っていたシェスが教科書一式落としたのである。そしてリナが拾うのを手伝おうと後ろを向くとシェスは小さな声で答えが２５だと教えてくれた。「助かったわシェス、ありがと。」授業が終わってからリナはシェスに言った。この二人、このクラスに入ってから初めて知り合ったのだが、今では大の親友なのである。「聞いたわよリナ、またライルとケンカしたんだって？仲いいわね、二人とも。」シェスが笑いながらそう言うと、リナはルディにからかわれたライルのようにムキになって反論した。「じょ、冗談よしてよ！あいつとは、単に家が近所ってだけなんだから！第一、その　せいで何度アイツ（とルディ）の悪さの巻き添え喰ったか分かりゃしない！」「けど、そう言うリナも、愛想尽かしてないじゃない？」「う・・・・・・」「ハタから見てると、二人ってものすご～く仲良さそうに見えるけど、気のせいかしら？」「な・・・なに、そんな・・・」「私ちょっと職員室に用事があるから。それじゃ！」シェスは言いたい事だけ言うとリナを煙に巻いてさっさと行ってしまった。あとに残されたリナはやや茫然とした面もちでその場に立ちつくしていた（ｂｙがりゅー）
	「・・・はっ！ぼーっとしている場合じゃないわ！次は体育なのに・・・」リナ、慌てて教室を出る。（更衣室にて着替え中）・・・・・・・・・・（着替え完了）まずはじめに断っておくが、『この世界のこのご時世では、ぶるまあは旧世紀の遺物である』よし、言い切ってしまったこっちの勝ちだ。「学園物における男のロマン」は早々に潰しておくに限る。というわけで、ジャージはちゃんと着ている。学年ごとに色が違うが、二年生は青のようだ。「ところで、今日は何やるんだったっけ？」リナが、いつのまにか隣にいたシェスに聞く。「さぁ・・・体育館に集合だからバスケかバレーでしょうけど、タイロン先生の事だから　どうするかは、ねえ・・・」何とは無しに、６月頭の球技祭の事を考えながらシェスがつぶやく。（Ｂｙすずしろせり）
	「集合～～！」タイロン先生の声が体育館に、こだまする。高等部なので、体育は二クラス合同で男子・女子に別れている。今、体育館には、リナ達のクラスと隣りのクラスの女生徒とで、合せて３６人いる。お決まりのストレッチの後で、体育館を軽く１周してから、タイロン先生の説明が始まる。「今日の体育だが、ハンドボールを行う」「は～い、先生」女生徒の一人が元気良く手を挙げる。「ん、何だ」「ハンドボールって、何ですか？」きれいにずっこけるタイロン先生。ゴホンと咳払いをしてから、「確か、去年もやったと思ったのだが、まあ良い、説明する」　　＊注　ハンドボールを知らない人のために、わかりやすく言うとハンドボールとは、サッカーとバスケットボールを組み合わせたようなスポーツである。バスケットの様に、ボールを床に突きながら運び、パス等を駆使して相手ディフェンスをかわし、サッカーの様に、キーパーをかいくぐって、ゴールにボールを投げ（蹴るのではなく）入れる。ゴール周辺には直径７～８ｍ程の、サッカーで言うところの、ペナルティエリアがあり、自軍キーパー以外は味方でさえも、踏み越えることはできない。ただし、「踏み越え」なければよいので、ライン寸前でジャンプして、地面に着く前にシュートするのは、有効である。従って、ダッシュジャンプシュートを成功させると、突進力が加わって、かなりの威力になる。さらに、ハンドボールのボールは、バレーボールのものより一回り小さく、女性でも片手で掴むことができ、また、バレーボールよりも固い。付け加えると、ハンドボールのゴールは、背の大きい人なら両手両足を伸ばせば端に届きかねないくらい小さいものであるので、素人同士の試合では、そのつもりがなくても、ゴールに入るより、シュートがキーパーの体にぶつかる方が可能性は高い。　「・・・と言うようなものだ。では、一チーム６人でチームを作れ」説明が終わったが、タイロン先生の声はリナの耳に届いていない。リナの頭の中は、去年チーム内で最も背が低いにもかかわらず、何故かキーパーをやることになり、ものの見事に、シュートが頭に当たって、保健室に運ばれたことを思い出しているのだった。（Ｂｙ　Ａｌｅｘ＝Ｌｅｚａｒ）
	リナは、昔からクジ運が悪い。何せ年賀ハガキの切ってさえ当選したことがないのである。今回もまたジャンケンで負け、キーパーをやらされる事になってしまった。しかも今回はそれだけでは収まらない。なんと対戦相手の隣のクラスのチームにリンがいるのである。リン・ノ・サテラ、原作ではリナの娘だがまさかそうもいかないので遠い親戚にでもしておこう。恰好が良くスポーツ万能、竹を割ったような性格の彼女には男女を問わずファンが多い。部活は一応陸上部だが他から助っ人を頼まれることも多く、特にバレーでは地区予選一回戦落ちが常識だった夢幻之星学園をインターハイ優勝にまで導いたのはもはや伝説である。そのリンが相手にいるのだから、皆始まる前から逃げ腰だった。「こまめにパスを回して時間切れを狙おう」リナのいるチームの作戦はそれであった。しかし、最初のパスでいきなりリンにボールを奪われた。そしてそれからおそらく五秒とたってはいまい。リンの強烈なシュートがリナに直撃するのは・・・「う・・・う～ん・・・」気がついたらリナは保健室のベッドに寝かされていた。「大丈夫？リナ？」シェスやリンが心配そうにリナの顔を覗き込んでいる。まだ、頭が痛い。頭を触ると巨大なコブができていた。「大丈夫なワケないでしょ！」リナは相当不機嫌である。まあ無理もないのだが。「ところでシェス、球技大会ってハンドボールで決まりなの？」不安そうにリナが尋ねた。できる事ならドッジボールとかサッカーとか、ボールが体にぶつかってくる競技は避けたいのである。また、球技大会の種目は基本的に生徒会閣議で決定される。シェスも生徒会役員の一人なのだが、それがスレイに近づくためだったというのは公然の秘密。「まだ、決まってないわね。他に何が候補だったかな・・・」（ｂｙがりゅー）
	「どのようなお話しをしているのでしょうか？」外から女生徒の声が聞こえる。「誰？誰なの？何か用でもあるの？」「・・・・いえ、たまたまここを通っていただけで・・・偶然にもあなた達が。・・・申し遅れましたが・・私はあなたがたと同じクラスのルイセ＝ケイ＝エシルです。」彼女は少し緊張しながらそう答えた。「ルイセさん。えっ？どうして。珍しいわね・・あなたが私たちに声をかけるの・・・」リナは普段、おとなしくてめったに話などをしない彼女がここに着た事に驚いている。「えっ・・・あの・・楽しそうでしたので・・・」その後彼女は何かを言いたそうにしたが・・・言えずにいる。「・・・ごめんね。失礼するわ・・」彼女はその場を去ろうとした。「帰ったな・・・何かを話したそうだったのに。・・・元はと言えばリナ。リナが彼女を不思議がるからいけないんじゃ・・・」「・・だって・びっくりしたんだもん。いつもはあんなにおとなしくて、誰とも話をしないのに・・・」「別にいいじゃないか、同じクラスメートだし。それに仲間は多い方が楽しいし。」「そうね・・私も学校に入った頃は誰も友達がいなくて寂しかった。だけど、今こうしてリンやシェス達といる。そのおかげで学校生活、充実しているわ。・・・どうしよう・・きつい事言ったかもしれない。仲間になりたかったのじゃないかな・・・」リナは入学当初の事を思い出すと、人事の事と思えなくなった。周りには知らない人ばかり・・・あの頃は、何をするにも不安だった。その上、話をする人がいないので寂しく感じていた。だが、それも１週間ほど経てば自然となくなっていった。偶然にも授業中に問題が分からないと後ろの席の子が言い、教えてほしいと頼まれた。それを言ったのはシェスだった。ここから２人は仲良くなっていったのだ。「・・・もう一度ここに連れてこようかな。でも・・帰ってしまってるのじゃ・・」「・・・大丈夫だと思うな。あの子は放課後はいつも、遅くまで窓から外を見ているぞ。前、部活をしていて帰ろうとしたら、彼女がそうしてた。」「私もあるわ。前に生徒会の会議が終わって帰ろうとしたら、もうすぐ日が暮れるというのにあの子が一人で窓の外を見ていたわ。」「そうなの・・じゃあ、行ってみる。」彼女はすぐにルイセのいると思われる所に行った。いた・・・化学室の前の窓辺にいる。そこにいる彼女は、悲しそうな表情で外を見つめている。「ルイセさん。」リナは彼女に声をかけた。そうすると、彼女は驚くようにすぐに振り向いた。「あっ・・リナさん。先程は失礼しました。」「・・ううん・私が悪かったわ。せっかくお話しをしようと来てくれたのに、ひどい事言っちゃって・・」「いいえ・・・その事は・・もういいのです。」「ねえっ！保健室に行って一緒にお話しをしよ。こんな所にいないで行こう！」「えっ・・・だけど私は・・」「緊張しなくても大丈夫。みんな、いい子ばかりだから・・・」「気持ちはうれしいのですが・・・やはり私は・・」「いつまでもこんな事言ってないで、早く行こう！みんなも待ってるよ。私たちあなたの仲間よ。」「・・・・・仲間ですか・・・・」「うん。同じ学校にいるし、同じクラスだし。当たり前よ★」「・・・・・・・・・・・」「・・・では・・行ってみましょう・・」「そうこないとね。じゃあ、一緒に行こう！」そう言うと、２人で保健室に向かった。その時ルイセは、いつもなら表情がくもっているが今は少しではあるが、明るくなっていた。（by　がれおん卿）
	ルイセに楽しい時間が訪れようとしていた頃、爆睡覇王ことネイ・セカンドはまだ家のベッドの中で幸せな夢をみていた。ピンポーン！ネイ姉妹の住む家に軽いチャイムの音が鳴り響いた。「ちわ～！」そう言って入ってきたのは、真青な髪の少年。隣の家に住んでいる、ネイ姉妹の上級生でもあり幼なじみでもあるユーシス。何故か、セカンドはユーシスのことを生き別れの兄と勘違いしているが…。ユーシスはちょっと急な階段を駆け登ると、セカンドの部屋へと入った。部屋の中はラッピーのぬいぐるみでいっぱいである。足の踏み場さえないようにみえる床を慣れた感じでひょいひょい避けながらベッドへとむかう。数あるラッピーぬいぐるみの中でも一番大きなものを抱き抱えたまま、セカンドは幸せそうな寝顔を浮かべていた。「…」なにか寝言が聞こえる。「…ペロリーメイト」 ……なんの夢を見ているんだか。ユーシスはベッドに近づくと、おもむろにセカンドの鼻をつまんだ。「…」続いて愛らしい口もつまむ。「…プハ～～っ！！」突然の苦しさに、爆睡覇王の異名をとるセカンドも飛び起きた。「よっ、おはよ～！目～、覚めたか？」「お兄ちゃん！？」目覚めの一番に飛び込んできたのはユーシスお兄ちゃんの大好きな笑顔と格好良い声。夢のせいもあって、今日のセカンドはみるみるうちに赤くなってしまった。セカンドは照れ隠しも手伝って、つい憎まれ口をたたいた。「も～馬鹿馬鹿！普通に起こしてって、いっつも言ってるでしょ～。ユーシスお兄ちゃんなんか、ふ～んだ！！」「セカンドちゃん、なんか顔赤いよ」その声がまるで耳に入っていないのか、ユーシスは心配そうな表情をするとセカンドの額に手を当てた。ますます赤くなるセカンド。「なんでもないの～」セカンドは、ユーシスの手を跳ねのけて毛布を頭からかぶった。なんか、妙にどきどきがおさまらない。やっぱりあんな夢を見たからかな～。ユーシスお兄ちゃん夢の中でも優しいし… やっと胸のどきどきがおさまって、セカンドは毛布の隙間からユーシスを見上げた。ユーシスは真剣な表情でなにか考え事をしているみたいに見えた。セカンドはユーシスのもつ大人の表情をちらりと見てしまったような気がした。やっぱり私のことが心配で考え事してるの？だってあんな真剣な顔してるんだもん。悪いこと言ちゃったかな～。でもなんか嬉しい☆ 不意にセカンドに顔を向けたユーシスと目が合ってしまった。舌をちらっと出して、セカンドは毛布から顔を覗かせた。今まで側で立っていたユーシスはベッドに腰を下ろすとセカンドの肩を優しく支えて起こした。そして、今までにない真剣な表情でセカンドを見つめた。なにか言いたそうにしているけど、なかなか言い出せないユーシス。こっこれって…もしかして。落ち着いたはずの胸が、またとととっと、早いリズムを刻みはじめる。きゃい～☆　　でもユーシス、私たち血が繋がってるし…。やっぱり、いけないよ～。兄妹だなんて～、神様の意地悪～☆ ユーシスは覚悟を決めたのか、セカンドの肩を強くにぎった。「セカンドちゃん…」「…ユーシス」ユーシスの真剣なその面持ちにセカンドも覚悟を決めた。だって私もユーシスのことが…。見つめあう二人。「…たらい、かな？」「……っへ？」まったく予想のつかない言葉に目が点になるセカンド。た、たらいって…一体？「いや～、さっき言ってたでしょ。普通の起こし方、って～。だから、たらいをスコーンて頭に落とせばセカンドちゃんも起きるのかな～、って思ってね」「なんで頭にたらいなんか落とさなきゃいけないの～」「やっぱり洗面器？なんかいまいちだな～」「そうじゃなくて～」セカンドの泣きそうな声が響く。それになんで私が朝から、そんなべたべたのギャグをしなきゃいけないの～。うぅ～、お兄ちゃんのこういうところ嫌い～「だいいち洗面器ぐらいで起きるかな～？」ユーシスは真顔で考えている。「だ～か～ら～。そういうのじゃなくて～」「わかった！ダイナマイトだ！！」「ちが～～～～～う」セカンドの声が部屋に響きわたる。ふとユーシスは、壁にかかっている時計を指差した。「１１時３０分。……エ～～っ！？」夜のって訳じゃないよね～。こんなに明るいし～。…これで何回目の大遅刻？「お～い。鞄の中に午後の授業の分、入れといてやるから、シャワーでも浴びておいで」「お願い！お兄ちゃん」セカンドはものすごい速さでシャワーと着替え・その他諸々をこなしていった、いつものごとく。「お待たせ～。お兄ちゃん」セカンドがすっかり着替えもおわり学校へ行ける準備が整ったとき、一階のリビングに座っていたユーシスはジュースの缶をポーンっとセカンドに投げ渡した。そしてテーブルの上に置いてあった、誰かのメモを読みあげた。「ユーシスへ。今日、セカンドを起こすことができませんでした。一応、頑張ってはみたものの…セカンドは、寝ぼけて私の髪を引っ張るは…等々。セカンドが起きたら、後でみてらっしゃい、と伝えておいてください。－－－ファーストより－－－」聞いていたセカンドは、見る見る青ざめていった。「どうしよう～。お兄ちゃん」「はいはい。後で、俺もファーストちゃんに謝っておいてやるから。それより学校に行くよ」ユーシスはセカンドにヘルメットをかぶせる。別にファーストへの対策ではない。ユーシスはいつも登校にバイクを使っていて、セカンドは時々その後ろに乗せてもらっていたからである。「忘れ物はない？」「うん。おっけ～、だよ」バイクにまたがって、ユーシス達が学校へと向かおうとしたとき、セカンドの不思議そうな声が後ろから聞こえた。「ねぇ、どうしてお兄ちゃんもこんな時間なの？」「俺？今日、午前中、休みだったんだ～」「ずっる～い」学校へ向け走りだしたバイクの上で、セカンドはユーシスに抱きついていた腕にぎゅっと力を込める。「知らん知らん。先生にでも言ってくれ～。ちょっと、痛いんだけど～」ユーシスとセカンドを乗せバイクは、学校へと向っていった…。（ｂｙ　　狐（お初））