夢幻之星学園
早くも次の日の朝。ちなみに、今日は土曜日。 案の定セカンドは起きない。ファースト達は朝御飯をすでに食べ終わっている。 ファルの制服は今日出来上がる（えらく早いが、気にしないように）というので、今日は 校内の案内だけだ。 「セカンドって相変わらずなのね」 「置いてくか」 「・・・起こしてあげようよ」 「ん〜、仕方ないか。これはやりたくなかったけど・・・」 ファーストは、ハッカ油を持ってきた。セカンドから１ｍほど離れたところからうちわで ハッカの匂いをセカンドの方へ送る。 「ふぎゃぁっ！！」 この手の匂いに異常なまでに弱いセカンドは堪らず飛び起きた。昔『メン●レータム』の 匂いでブッ倒れそうになったことがあるらしい。 「あー起きた起きた。あたしらは先に行ってるからね」 「いぢわる〜」 ファーストとファルはとっとと出ていった。 独りきりになると、セカンドは深いため息を吐く。 「それにしても・・・お兄ちゃん、昨日は一体・・・」 まあ、昨日の一件については、実に愉快なオチが待ち受けているのだが・・・（Ｂｙすずしろせり） |
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| それと大体時を同じくして、スレイは病院に来ていた。とは言っても、 彼自身が病気やケガをしたわけではなく、お見舞いに来たのである。 「シェス、大丈夫か？」 心配そうにドアを開けながらスレイが言った。話は昨日にさかのぼるが・・・ -------------------------------------------------------------------------------- スレイは生徒会室で書類に目を通していた。この学園での生徒会長の権限は強い、しかし その分仕事の量もハンパではないのである。他の役員はもう全員帰らせ、時計の針はとうに 八時を回っている。なお、夢幻之星学園の生徒の最終下校時刻は六時半である。 「ふう・・・」 一つの仕事が終わりスレイはため息をついた。そして水を飲みに立ち上がろうとすると、 帰ったはずのシェスが入ってきた。手には水筒と弁当箱を持っている。 「あとどれくらいかかりそうですか？ウォルシュ先輩」 「心配いらない・・・あとちょっとだ。」 無愛想な声でスレイは言った。しかし彼の横にはまだまだ書類が山積されており、どう見ても あと数時間はかかりそうである。 「少し、休憩した方がいいですよ。」 水筒の中のコーヒーを注ぎながらシェスは言った。スレイは何も言わずにコーヒーを受け取ると 一息に飲み干した。どうやら、相当熱い物でも平気らしい。 「何か私に手伝え・・・」 シェスがそう言いかけた時、大きな揺れが部屋を襲った。震度５ぐらいはありそうな地震である。 二人は机の下に潜り込み、揺れが収まるのを待った。 「ふぅ〜、怖かったぁ〜」 揺れが収まり二人は立ち上がった。そして散らばった書類を拾おうとスレイが屈んだ時、彼の 後ろの本棚がスレイめがけて倒れてきた。 「先輩！危ないっ！！！」 シェスはスレイのことを思いっきり突き飛ばした。結果、スレイは無傷ですんだのだが、 シェスの右足は本棚の下敷きになってしまった。そしてすぐに病院に運ばれ、今朝精密 検査が行われたのである。 ------------------------------------------------------------------------------------- 「どれぐらい、かかるんだ？」 「全治一週間、幸い骨には異常がなかったみたいです。平日だったら午後から出られるんですけど。」 シェスの言葉にスレイはほっと胸をなで下ろした。昨日の痛がりようが尋常ではなかったので 骨折でもしているのではと心配していたのである。 「そうか・・・よかった・・・」 「ところで仕事の方は大丈夫なんですか？ウォルシュ先輩？」 「なに、あんなのはすぐに片づくさ。それと・・・俺の事をウォルシュと呼ぶのはやめてくれないか？」 「え・・・？」 「スレイでいい。」 「は・・・はいっ！」（ｂｙがりゅー・・・長々とごめん） |
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スレイがシェスの病室をでて、廊下を歩いていると、現代文のライア（二代目の方）先生を見つけた。 彼女は確かシェスのクラス担任だったはず、シェスの見舞いに来たのだろう、とスレイは思った。ス レイはライア先生が苦手なので、会釈をしてその場を去ろうと思ったが、向こうに呼び止められてし まった。 「あら、ウォルシュ君。こんにちは。シェスさんの見舞いに来たの？」 なにやら、猫がねずみを見つけたかのような、笑顔でたずねる。 「ええ、そうですよ」 答えながらもその様子に、思わず後ずさりするスレイ。 「あらあら、それはお邪魔だったかしら」 「なっ・・・何を言ってるんですか。それに、もう済ませましたから」 「あなたが動揺するなんて、珍しいわね。ふ〜ん・・・」 と言うと、下から長身のスレイの顔をじっと見つめる。年齢より、異常に若く見える（スレイの方が 年上に見えるぐらい。うわさによると、実際にはア−ミア先生より年上らしい。ちなみに着ている服 もちょっと少女趣味）ライア先生のその姿は、端から見ると、ちょっと妖しい雰囲気。 「どうしたんですか」 と言うスレイに対して、 「貴方が『済ませてきた』と言うから、唇の色が変わってないかな、と思って・・・やあね、そんな 顔しないで、冗談よ。本当は何か複雑な顔してるなと思ってた」 「複雑な顔？」 「そうね・・・いい顔をしていると言ってもいいんだけど。すっきりしているような、後悔している ような・・・恋愛感情に近い共感とそれに反する罪悪感が同居している、そんな感じかしら」 その言葉にドキッとするスレイ。いつもはぼのぼのしているのに、時々、妙に鋭くなる。クールでシ ニカルなマイペースを貫こうとする、スレイも彼女の前では調子が狂ってしまう。 「貴方、シェスさんをライラさんの代わりにしようとしている・・・だから、そんな顔しないの。貴 方が自分でそう思ってるんじゃないかと思って。でもね、それは二人に対して失礼よ。貴方は人や自 分の心の機微を見抜くいい目を持ってる。だけど、それを理屈でばかり捉えようとしてはいけないわ。 人を好きになるのは、いろいろなかたちがあって、その全てを単純化したモデルを作ることはできな いの。貴方が二人に対して、それぞれどのような感情を持っているか。またそれに対して、どのよう な感情を相手が返してくるか。多くの答えがあるし、どの答えも正解といえるわ」 「先生、まだ、俺には先生の言ってることが１００％は理解ができない・・・・」 「だから、そういうふうに難しく考えるんじゃなくて、自分の一番自然な感情に従えば、それで良い のよ。でもね、ウォルシュ君には安易な二者択一や優柔不断な態度にはなってほしくないわね」 「先生、何となく分かったような気がする。でもどうしてそんなことまで知ってるんです」 「先生という職業は、生徒のことを何でも知っておくものなのよ。そうそう、これからシェスさんと 女同士の話しがあるから、立ち聞きなんてしちゃダメよ」 ライア先生はスレイをますます複雑な表情にして去っていった。（Ｂｙ Alex=Lezar.長すぎましたね、ごめんなさい） |
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| 「シェス、大丈夫かなあ・・・」 「昨日の内に退院したのだろう？それ程大事ではないだろうさ」 日曜日の朝。シェスからの電話で彼女の怪我を知ったリナは、リンとルイセを誘って見舞いに行くことにした。大したことはないと本人に言われても、安心できるリナではない。とにかく直接顔が見たかった。 シェスの家までは遠いので、バスに乗るためにバス停に向かって歩きながら話をしていた・・・その時。 「よーよー、ねーちゃんたちよー」 下品な声に振り向くと、そこに居たのは・・・ アームドアント。 グラスキラー。 マンカバー。 夢幻之星学園の鼻つまみ者、３人の「不良学生」トリオだった。 「かわいいねー。一緒にあそばなーい？」 「オレ達といいことしようゼエ」 「まままんかばー、いいいっぺんにたたたべちゃいたいいいい」 ・・・３人の少女は、呆然としていた。 「アレ？なにだまってんのー？オレ達の格好良さに見とれちゃったあ？」 「・・・・・・聞いていいか？」 しばし沈黙の後、リンが口を開いた。 「おうおう、何でもきいてくれよん」 「・・・どーやって着ているのだ、その学生服」 ・・・・・・今度は「不良学生」が沈黙する番だった。 「見たところ２人は６本脚、一人は脚無し。目の前にして何だが、学ランの構造及びその必要性が想像できんのだが？」 「・・・大体、あんたたち人間？」これはリナ。 「学生服着たから高校生っていうのは安直な気が・・・」これはルイセ。 ・・・ひゅうううー、と空しい風が通り抜ける。 「・・・うおおおおおお！！ゆっ、ゆーてはならんことをををををを！！」 「どっどーせオレたちゃ＜お決まりの脇役＞だっ！！」 「まままままんかばー、じじじ人権をしゅちょーするるるうう！」 「だーかーらーどーみても人間じゃないって」 「あぶない！」 さらにツッコミを入れようとしたリナに、逆切れしたグラスキラーの鎌が襲いかかる。すんでの所でリンが突き飛ばして難を逃れた。 「バカにしやがってええ、こうなりゃ痛めつけちゃる！！」 「どっどーしましょう・・・！？」とルイセ。 「わっ私のツッコミまずかった！？」とリナ。 「相手出来ない人数じゃないが・・・」 体術には自信の有るリンだったが、目の前の不良達のあまりの「型通りさ」に少し力が抜けていた。 「クビちょんぎっちゃるー！」 「毒注入したるうー！」 「ぜぜぜ全体攻撃いいいいい」 ３人の少女、ピンチ！と、その時。 「じゃ、今後の展開もコテコテでいくかあ」 不良達の後ろから声がすると、「ゴヒ」と音がしてアームドアントが倒れる。そしてそこに居たのは、ライル。 「やんきーにからまれるたあ、おじょーちゃんたちも綺麗になったってことか？オレにはとんと判らんが」 「・・・ライル！」 「んだあてめえええ！」 グラスキラーが鎌を振るが、ひょいとよけるライル。 「リナに変わってとどめを刺してやろう。学生なら学生らしくしろ！」 「・・・・・・？」 「すなわち、＜日曜日に学ラン着る不良がいるか、バカ＞！」 ガアアアアアアアアアアアアアアアン！！！！！！ 「おっ・・・オレ達のアイデンティティが・・・うがあああああああああ！！！」 「うおりょおおお！？」 完全に逆上した「不良」達の攻撃力と素早さアップ！さすがのライルもよけるのが精一杯だ。 「こりゃちょっと３対１はキツイか・・・！？」 「手伝おうかー？」 何処から出したのか日本茶をすすりながらリンが訊く。 「へっ、女にうわとっ！？助けをおわおう！？借りれっかどうおわあああ！？」 ３人（そろそろ”匹”と表記すべきだらうか）の攻撃をかわしながら強がるライル。 「案外古風なヤツだな」 既に他人事モードに入っているリン(^^;)。その背に張り付きルイセが震えている。 ・・・リナは、少し複雑な表情でライルを見ていた。 いつの間にか道ばたに追いつめられるライル。 「斬る斬る斬るブッタ斬るうう！！」 「毒漬けにして汁すっちゃるううう！！」 「ままままんかばーがまんできないいいい」 と。 「おーいあぶねえぞお！！」 声の方向から自動車らしきモノが突っ込んでくる！！ どんがらがっしゃああああああん！！ 突っ込んできたのは、かのランドマスターであった。運転席からモタビアンが顔を出す。 「なんだライルじゃねーか。大丈夫か？」 「は・・・ははは」さすがに放心しているようだ。 「３人ほど轢いてしまいましたね。無事でしょうか？」助手席からフォーレンが現れる。 「なんだコイツラかよ。おら！おきろっつの」 「ほえええ・・・げ！てめえぱぱパイク！？」 「先輩に向かって呼び捨てかコラ？おーかた嬢ちゃん達に悪さでもしてたんだろが。失せな」 パイク自身は不良の世界に縁はないが、以前迂闊にも彼に喧嘩を売ってひどい目に遭った者から、「ヤツは怒らせちゃいけない」と影で評判が流れている。マシンにつぶされペラペラになった「不良」達は、一目散に逃げ出した。 「意外にけんかっぱやいとはきいてたがな。騎士でも気取ったか？」 ライルを起こしてパイクが言う。 「・・・そんなんじゃねーっすよ。先輩達こそ何やってんです？」 「ランドマスターＡＸＶ−２５改の試験走行です。やっと外に出せるレベルになりまして」 フォーレンが代わりに答える。 「・・・明日どーしても乗せたい人がいるんでハリキッてんのよ、あの機械のダンナが」 小声でライルに耳打ちするパイク。 「へえ・・・？フォーレン先輩もやりますねえ」 「何です？」きょとんとしているフォーレン。 「（・・・いーかげん自覚しろっつの）ところで、どっかいくのかお前ら？」 「ああ、怪我したシェスの見舞いに行くトコだったんです」リンが答えた。 「あーそんな話訊いたなあ。ちょーどいーや、乗ってくか？」 「えええっ！？ブーブー様にですかあ！？」 ロコツに不安がるライル。他の３人も躊躇している。 「・・・（こいつらー）まあそお言うなって！今日はまだトラブル無くて調子いいんだ。ささ！！」 ・・・・・・結局強引に乗せられてしまったライル達であった。 ブーブー様の中・・・リナが、じっとライルを睨んでいる。 「・・・まだおこってんのかよ」 「あたりまえでしょ！」 リナには、かなわない。ライルの宿命だ。 「・・・悪かったよ。もうしない」 「・・・・・・・・・・・・気の使い方が死ぬほどヘタなのよ、あんたは」 「修行するよ」 「・・・そーして」 「もうすぐシェスの家ですね。そろそろ減速を・・・パイク？」 ・・・・・・モタビアンの顔が、またミッドナイトブルーに染まっていた。 そしてあまりにもちょうどいい所に、電柱があった。 「・・・で？怪我人はどっち？」 「わたしたちでえーす☆」 ・・・全身を真っ黒に焦がして現れた見舞い人達に、シェスは頭を抱えた。 （以上ＰＯＮ。そろそろ長さを謝るのはやめよう。限度は有るにせよ皆同じ穴のムジナだ^^;) |
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| 「じゃあ、また明日ね」 結局その後は何事もなかったかのようにシェスの家に上がり、カードゲームやボードゲームを 遊び倒したのである。パイクとフォーレンはブーブー様のこともあり、早々に帰ってしまったが。 ちなみに、ライルはパイク達に連行されてしまった。 「うん、また明日！」 「ええ、お邪魔しました・・・」 「あんまり無茶はするなよ」 遊び倒したとはいえ、まだ５時過ぎたばかりである。帰るにはまだ早い時間だ。 「ねえ、もう帰る？私はピアタ駅でお買い物したいんだけど」 「そうだな、私も行こう。夏物も見ておきたいからな・・・ルイセはどうする？」 「私も・・・行きます。ピアタ駅には滅多に寄りませんし」 そして、バスに揺られて３人はピアタ駅へ。 駅に着いて早々、３人はリンの兄であるレインと遭遇した。何たる偶然（笑） 「あれ・・・レインさん？こんにちは」 「こ、こんにちは・・・」 「やあ、シェスの見舞いに行ったんだってな。どうだった？」 「怪我もたいしたことはなかったし、元気だったぞ」 「そうか、生徒会のほうは問題ないな・・・」 シェスの気質を知っているせいなのか何なのか、ほとんど他人事。 もっとも、シェスも「下手に心配されるよりはいい」と言うかもしれないが。 「ところで、兄さんはもう帰るのか？そうだったら私たちの買い物に付き合ってほしいのだが」 「え・・・？」 一瞬躊躇したのが命取りだった。 「よし！決まりね。さっそく行きましょ！」 レイン、半ば強制連行（笑）もちろんその運命は荷物持ちである・・・ そして、偶然がもう１回。 「あ、アンヌ先生と・・・（物理の）ハインツ先生！？」 （ハインツ：テキストアドベンチャー「アンヌの冒険」に登場する人物） 「え？あ、あの、これはね」 「あー、だから、その」 ２人は混乱している。どういう事かはもうモロバレ。 「へーえ、アンヌ先生とハインツ先生がねぇ・・・へぇ・・・」 「リナ・・・思いっきり困惑しているぞ」 「おねがい、内緒にしておいて・・・」 「新聞部の連中にばれたらとんでもない事になるからな・・・頼む！」 新聞部はある事ない事書きまくるので恐れられていた。 「『ナウラ』のケーキセットで手を打ちましょう」 リナの一言に、全員が呆気に取られた。 「リ、リナさん・・・それはあんまりでは・・・」 「・・・なんか、一昨日と同じ展開・・・」 「一昨日？」 アンヌの呟きを、リナは聞き逃さなかった。 「あ、あらやだ、聞いてたの？実は３−Ａのユーシス君にうっかり話しちゃってねー、それで 口止め料として『ナウラ』のケーキセットおごらされちゃったのよねー」 動揺しまくっているせいか、思わずべらべらとしゃべってしまうアンヌ。 「うーん、何だかかわいそうになってきてしまった・・・」（Ｂｙすずしろせり） |
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「くっそ〜、あんな所でパイクに会うなんて・・・」 「所詮俺達は脇役か・・・」 「くっ、くくく、くやしぃぃぃい〜〜〜」 夢幻之星学園の三バカトリオ、アームドアント、グラスキラー、マンカバーは傷だらけの体を 引きずりながら歩いていた（マンカバーは「歩く」のかどうか不明だが） 「くそっ！このムカつきどうすれば・・・」 そう言いかけたグラスキラーの目に、ルディとファルの姿が飛び込んできた。デートといえば デートなのだが、そういうのが不慣れなルディ一人でできるハズもなく、気を利かせたネイ姉妹の 裏工作があったのは言うまでもない。 「あいつ、確かライルの・・・腹いせにブッ潰す！」 そう言うとグラスキラーは仲間の制止も聞かず二人の前に飛び出していった。 「オイオイ！な〜に昼間っから・・・」 グラスキラーがそうインネンをつけかけた。しかし・・・ 「あら？あなた、ケガをしてますね。」 『ブーブー様ひき逃げアタック』（勝手に命名）を喰らったグラスキラーの体を見てファルが言った。 転校したて彼女は「不良」達の事など知るはずもない。そしてカバンの中から包帯その他を取り出した。 「ファル・・・なんでそんな物・・・」 「いざという時のためですよ。それに、こうして役立ってますし。」 そう言うとファルはグラスキラーの応急処置をした。なかなか、手慣れている。なんでも母親に 教わったそうだ。 「ハイ！終わりましたよ。休みなのに学生服着てるって事は、これから部活か何かですか？ 頑張ってくださいね！」 そう言うとファルは足早に去っていってしまった。 「どうしたグラスキラー？」 顔を真っ赤にしているグラスキラーを見てアームドアントが言った 「ねっ、ねねね熱でもあるかぁ〜〜〜？」 「さっきの娘、ファルって言ってたよな・・・」 「あ？そーなん？」 「・・・・・・惚れた！」 そう言って目を輝かせるグラスキラーと後ろで額から斜線がかかっている他二人（？）はてさて どうなる事やら・・・（ｂｙがりゅー） |
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| 「アンヌ先生とハインツ先生か・・・予想通りでいまいちだな。このくらいでどう？」 ・・・ここは新聞部の部室。部長とおぼしき少年がある少女に金を渡す。 「ま、妥当なセンね。また何かつかんだらおしえたげるわ」 少女は、シルカであった。彼女は新聞部員ではない。正確に言えば、「情報屋」だ。 中学時代「万引き少女」だったシルカだが、「金がないから盗む」だった動機はいずれ「盗んだモノを金に換える」に変わっていった。そして最もスリリングで値打ちのある「盗むべきモノ」が、「情報」だったというわけだ。ゴシップ的なモノからテストの答案に至るまで、同じ学園の生徒達の必要な情報を盗み、売りさばく。新聞部は彼女にとってお得意さまの一つだ。 職員室に乱入したのも、アンヌの相手が誰か探るためだった。が、突然現れたシーレンのセリフを聞いて、思いついた「ウルトラ〇ブン」が余りにも気に入ってしまったため（笑）、その場で言わずにおれなくなりああなった次第。性根は実は関西芸人でもある。 ＜妥当な＞報酬を得たシルカは、部室棟を出て歩きながらつぶやいた。 「うーん、効率悪いなー。目標金額には遠い・・・」 「そこの女生徒」 シルカに声を掛ける者が居た。振り向くと・・・全身を黒いマントに包んだ何者かが立っている。 「・・・・・・？」 「怪しい者ではない」 「どこが」 「このマントは身を隠すためだ、気にするな。”風のシルカ”とお見受けした。お前に仕事を頼みたい」 「へえ、お客さんか。おっしゃる通り私は風のシルカ。何者にもとらわれない」 「私の依頼は受けん、ということか？」 「風をつかまえるにはそれなりの手間賃がいるってことよ」 「・・・いくらだ」 「５００００メセタ」 「・・・・・・！（たっ、高い）」 「いやなら風は自由なままね。あでぃおーす（立ち去りかける）」 「まっまて！・・・はっ、払う」 「（急接近して）毎度ウ！！お客さん太っ腹！あ、肩にホコリが」 「・・・・・・！とっとにかく商談成立だな。・・・スレイを探れ」 「五代様を？・・・ワケあり臭いわね」 「聞かないのがルールであろう？」 「確かに。で、生徒会長の何を？スキャンダル？成績表？」 「何でも良い。ヤツの足下を救えるネタなら何でもな」 「・・・５００００ふっかけてよかったわ。前払いね」 「・・・・・・後日支払う！頼んだぞ」 「おっけー！」スキップで走り去るシルカ。 「見ておれ、スレイ・ウォルシュ・・・ふっふっふ」 「５００００メセタ、５００００メセター！一気に目標金額達成ー！！ これで夏コミに向けて某ゲームの＜ＸＸ学園高等部＞の制服がかえるわー☆」 ご機嫌な情報屋は、この後起こることをまだ知らない。（以上ＰＯＮでした） |
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| 「ふふふふふ・・・はっはっはっはっは・・・ふわーっはっはっはーーー！」 どこかで聞いたような三段笑いをすると、謎の男は黒いマントをはずす。 その正体はみんなの予想通り、ジオであった。 「くくく・・・小学生のときにあいつに会ってから、俺はずっと二番だった・・・学芸会の 主役は奴に取られ、運動会の１００ｍ走も奴には勝てず、バレンタインのチョコレートも実は 負けていて、それからそれから・・・」 何か情けないぞ。あ、そうそう、身長も１ｃｍ負けているらしい。 「・・・そして、最後の決戦とばかりに挑んだ生徒会役員選挙も！奴に、一票差で負けた・・・ 今なら間に合う・・・奴を生徒会長の座から引きずり落とし、地獄のどん底に叩き落とすのだ！」 炎をバックに拳を握り締め、改めて打倒スレイを誓うジオ。 そして、高笑いを響かせながら誰もいない校舎の奥へと消えて・・・ 「はっはっはっはっは・・・はーっはっは、ぐげほっ、げほっ」 行こうとしたが、むせてしまったようだ。 何か決まりきらない男、ジオであった。（Ｂｙすずしろせり・ジオのファンよ、すまん・・・） |
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「シルカに任せておけば必ず何かネタを取ってきてくれるだろう・・・しかし！」 ジオは独り言に力を込めた 「俺が自分でネタを引っ張れば５００００メセタはチャラだ・・・しかしシルカのヤツ、 金持ちのクセに・・・いやわからんぞ。案外親はケチなのかもな。何はともあれこっちも 情報収集だ！」 スレイへの復讐に燃える男ジオ、かれがまず向かったのは・・・ 「え？スレイ先輩について聞きたい？なんのために？」 怪訝そうな顔をしてシェスが言った。 「そ、そうなんだ。彼への復しゅ、あ、いや彼のようになるにはどうすればいいのかと思ってな、 スレイの彼女の君なら何か知ってると思ったんだが・・・」 「やぁ〜ね、彼女だなんて！」 照れ笑いしながらその照れ隠しにジオに往復ビンタ三往復かますシェス、ジオの顔が見る間に 赤く腫れ上がる。 「（・・・なんて女だ・・・いや、ここは我慢のしどころか・・・）と、とにかく教えて くれないか？」 「いいわよ。」 あっさりジオの頼みを引き受けるシェス、ジオは内心ほくそ笑んだが、それから一時間、聞かされ 続けたのはスレイの美点ばかりで、彼の欲する話は聞けなかった。 「な、なあ、スレイもまさか完璧な人間というワケでもないだろう？何か人間的な欠点があってこそ 人は親しみを感じるというものだからな。そういう話はないのか？」 たまらずジオが聞く 「う〜ん・・・あ！」 「なんだ？」 「ずっと話し続けたらノド乾いちゃった。何か買ってきてくれない？」 「はっ！ただちに！」 シェスにパシらされ購買に行くジオ、ジュースの缶を抱えながら彼は思った 「スレイに復讐するためって・・・何か、違わないか？」（ｂｙがりゅー：ジオファンの方、ゴメン） |
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その頃，土曜ということもあり人気のない夢幻之星学園，そのまたさらに輪をかけて人なんか，来るんかいな？と生徒の不審の目を集めている生物実験室の一室では… 「くっそ〜，またも失敗か！」 「先生〜」 白衣をきた２人の人物は落胆の表情を浮かべたまま装置内部の植物を眺めていた。 悔しさを堪えきれず憤りを表しているのは，存在を忘れられつつも何故かある生物部の顧問ヒューイである。まんまる眼鏡をかけた白衣姿という授業スタイルのせいか，影では大多数の女生徒の失笑をうけている悲しい先生である。 少し話は逸れるが，実は眼鏡のしたには意外にも涼しげなきれ長の瞳が隠されていて，偶々素顔を見た女生徒はヒューイの隠れファンになったりしていた。その事が広まらないのは私だけが知っている素敵なヒューイ先生，という優越感のせいなのかもしれない。 「っは〜。でも，これで何度目の失敗でしょう？サーヤの誕生日に間に合うかな〜」 深いため息を吐いたのは，生物部のたった１人の部員でもあるハーン。 「本当に青いチューリップなんて出来るんでしょうか？」 ハーンは装置からチューリップを取り出し棚の上に置く。花はドス暗い紫色をしていて，何か妙なテカリがあった。 プ〜ンっ！さっきから喧しく蝿が飛びまわっている。うっとうしい蝿が偶々花を置いた棚の側を通り過ぎようとした瞬間！！ 「ガブゥっ！」 自ら蝿に襲いかかり，捕らえてしまったチューリップ。 「…」 「…」 無言の２人。またも変な植物を造りあげてしまった。ちなみにこの前のは，音に反応し踊り出す謎のチューリップ… 「先生〜〜」 ハーンの情けない声が響く。 「大丈夫，私を信じなさい！サーヤ君に世界にたった一つのチューリップをプレゼントするのだろう」 そのヒューイの心強い言葉にまたやる気が出てくるハーン。 「はい！先生，頑張りましょう！！」 …サーヤの誕生日まであと○△日（ｂｙ狐） |