夢幻之星学園

　
　
誰もいなくなった教室で、リナ、リンが話しをしている。
どういう話かと言えば、まあ・・・授業の事とか、先生の事と言ったごく普通の話である。
その時の事・・・
「そう言えば、シェスはどうしたのかな？」
「生徒会じゃないか？最近急がしそうだしな。」
「ルイセはどうしたのかな？」
「授業が終わってすぐに、お兄さんに迎えに来てもらってすぐ帰ったよ。」
「そうなんだ・・・みんないろいろあるんだな･･･」
「・・・あっ・・あの人、図書委員長のアイン先輩じゃないのかな？」
「えっ！・・・」
彼の片手には部厚い本を持っている。そして本を読みながら、教室前の廊下を通りすぎようとしていた。
「アインせんぱーい★」
何やら、女生徒の声が聞こえる。そして、その生徒がやってきた。
「先輩！あの、お借りしていた本を返しに来たの。はい！」
「そうか。じゃあ、後で図書室の本棚に戻しておくか。」
「・・・・それよりもね・・・先輩・・・・」
その生徒は何やら彼と話をし始めた。

「・・・・・・・・・・。」
「どうしたのリン？さっきから、様子が変よ。もしかして・・・・」
「ば･･ばか言うな・・・何でも無い。」
だが・・・リンの様子はいつもとなくぎこちない・・・・

「・・おいリナ！あの生徒は誰なんだ？」
「・・・やっぱり・・・気になるんだ・・・」
「違う!違うぞ。ただ・・・あの生徒が誰かが気になるんだ。」
「・・・・そうなんだ・・・（うふふ）」
「う〜んとね・・・・あの生徒・・・あの子はね、ライルの妹のラン＝ラ＝ミラー。
今年入学したばかりの1年生だって。それに、アイン先輩とあの子は幼なじみなんだよ。
これぐらいでいいかな。」

何やら、アインとランの会話は盛り上がっている。
「・・・・・おいリナ！教室から出るぞ。何だか気分が悪い。」
「・・・・分かったわ。もう遅いしね。帰ろう。」
リナは彼女の意見にすぐ賛成して、帰る準備をし彼女と共に教室を出ようとした。
・・・リナも彼女の気持ちが分からないわけではないし・・・

「？もしかして、リン＝ノ＝サテラじゃないのか。」
廊下に出た所、アインがリンに話しかけた。
「こんにちは、リン先輩。」
ランも話しかけた。
「・・・ああ・・・じゃあな・・・」
そう言うと、リンはすぐにその場から立ち去ろうとした。
「待ってください。この前のお礼を言いたいと思って･･･ちょうどいい所にいたから。」
「・・・この前、体操服が破けてしまったのを縫ってくれてありがとう。助かりましたよ。」
アインは笑顔でそう言った。
「いや・・・礼などいらない。ただ・・・困っているやつをほおっておけなかったのだ。」
「・・・・リナ。早く来い！帰るぞ。」
彼女は一目散にこの場を去った。そしてリナが彼女を追いかける。

「・・・・ふうん・・・・・あなたもやるね。」
「・・・・何でも無いって言ってるだろうが！ただ・・・困っていたから・・・」
「うれしかったんでしょ？ねえ？」
「・・・・うるさいっ。早く帰るぞ！」
「・・・もう〜素直じゃないね。」←（自分も人の事を言えるのか？）　　ｂｙ　がれおん卿
　
次の日、リンは剣道は男女混合の剣道大会の地区予選に助っ人として来ていた。
昨日の一件の影響は特にはない。いざ試合になるとリンは恐ろしいまでの集中力を
発揮し、およそ手加減というものを知らないのが長所であり短所でもある。以前
ハンドボールでリナに問答無用で強烈なシュートを叩き込んだのもそれを物語って
いる。リンは並み居る相手を蹴散らし余裕で決勝までコマを進めた。

しかし決勝の相手がアインだった事は、リンに少なからず衝撃を与えた。彼は
剣道部員ではなく、個人参加であったのである。
「お手柔らかにお願いします」
それが試合直前のアインの言葉だった。

そして決勝戦が始まった。リンは積極的に攻めるが、彼女の竹刀はかすりもせず、
それ以上に、相手と戦っているという実感さえなかった。
「リンさん、あなたの剣は強すぎる・・・あなたが剛なら私は柔・・・相手が押して
　くれば退き・・・」
攻撃一辺倒だったリンの動きに焦りと疲れが見えた。その一瞬をアインは逃さなかった
「相手が退けば、押す！」

「面一本！！勝者、アイン！！」
審判の旗が上がる。リンはがくりと膝をつき、しばし呆然としていた。
「負けた？私が・・・」
「大丈夫ですか？リンさん。」
心配そうな声でアインが言った。まだ面をしているので、顔はよく見えなかったが。

それから表彰式が終わり、リンとアインは公園のベンチで話をしていた。
「剣道、昔からやってたのか？」
「ええ。幼稚園の時から、父に心を鍛えるんだって、近くの道場に入れられてて、
　稽古をきちんとやるという条件つきで、学校の部活は自由に選ばせてもらって
　いるんですけど。実は大会とかって初めてなんですよ。緊張しました。」
アインは少し照れくさそうに言った。
「しっかし・・・あんたがこんな強いなんて知らなかったぞ。」
「強さならリンさんの方が数段上ですよ、ただ、スキを突かせてもらっただけです。」
「変わらないさ・・・私を初めて負かしたんだからな・・・アイン。」
「なんです？」
「全国大会、応援に行ってもいいか？」
少し声をうわずらせ、目をそむけながらリンは言った。
「ええ、ぜひ来て下さいよ。ランや他の仲間も来てくれるって言ってますし。」
微笑みながらアインは言った。どうやらこの男、女心というものをまるで理解していない
らしい。というか恋愛に関しては極めて無頓着で、その度合いはレインと肩を並べるとまで
言われているのであった。（ｂｙがりゅー）
　 同日、夜。
リンは台所に立っていた。おかずのつまみ食いをするとか皿を洗いにきたとかいう訳ではない。
いわゆる『料理に挑戦』ということだ。
しかし、リンは調理実習以外に料理を作った事などない。いや、調理実習はグループで料理を
作るので、作ったうちにも入らないかもしれない。
そんな彼女がなぜ料理を作ろうという気になったのかといえば・・・言うまでもあるまい、
アインのためであった。彼のために料理を作る事は、『きっと喜んでくれるだろう』という
思いに加え、これで少しは自分の気持ちが伝えられるのでは、と考えていた。
（もっとも、兄さん並みに鈍感だというからな・・・気づいてはもらえないだろうな）
それもそうかもしれない。
「あれ、なにやってるんだ？」
レインが台所を覗き込んで言う。
「見てわからないのか？」
「ははぁ・・・わかった、武者修行だな」
見事なボケ。
「兄さん・・・それを言うなら、花嫁修行では？」
言ってから、しまった、と思った。
「ふ〜ん、リンがねぇ・・・槍でも降らなきゃいいけどな」
所詮はレイン、何かツッコミを入れるわけがなかった。
「わ、悪かったな！気が散るから出てってくれ！」
「はいはい、わかりました」
手にした包丁を投げつけんばかりの剣幕に慌てて台所を出るレイン。
『リンのマル秘弁当プロジェクトターボＲ』が始動した・・・（Ｂｙすずしろせり）
　
次の日の昼休み。スレイは一人で生徒会室で書類に目を通していた。一部の書類
は本当にスレイがサインをしなければならないものだが、多くは、校内に貼るポスター
の許可等の生徒会の認可があれば、スレイのサインでなくとも良い様なものである。
生徒会長としての責任感の強さが彼にそうさせるのだろう。とりあえずの一区切りを
つけると、スレイは椅子の上で大きく伸びをした。
「ふう、まだ結構残ってるな。こりゃ、昼飯は抜きでやるしかないか」
とスレイがつぶやくと、誰かが扉をノックする音が聞こえた。
「シェスか・・・開いてるから入っていいぜ」
「違うわよ」
と言う返事が返ってくると静かに扉が開かれた。そこに立っていたのは、ライラである。
何か、後ろ手に持っている。
「意中のひとじゃなくて、ご生憎さま。今は、貴方ひとり？」
スレイは驚きの表情を消すと、うなずいた。
「そう・・・良かった。ねぇ、近くに座っていい？」
「もちろんいいぜ。おまえに対して閉ざす扉を俺は持っていない」
「キザな台詞・・・私が初めて貴方の家に遊びに行った時も、同じ事を言ってた」
「そ、そうかな」
「まあ、覚えてないなら、別にいいの。そんなことより、お昼、まだなんでしょう？」
ライラはそう言うと、後ろ手に持っていた「お弁当」を差し出した。
「ライラ・・・・・これは？」
「どうして、なんて聞かないで。私が貴方に食べてほしくて、貴方のために作ったに
きまっているじゃないの」
ライラはスレイの瞳を真っ直ぐに見つめながら答えた。
「そうか・・・ありがとう。それじゃ、いただきます」
そう言うと、スレイはお弁当を手にとって食べはじめた。一種の照れ隠しの様に、ライラ
の視線をはずしながら、スレイは黙々と食べ、ライラはその様子を微笑んで見つめていた。
「何か、なつかしいね」
「うん」
「その様子だときっと忘れてしまっているでしょうね・・・・貴方が初めて私のお弁当を食べて
くれた時のこと」
「何て言ってた」
「『びっくりするほど、美味いわけじゃない』って」
「え・・・？そんな事言ってたのか。それはすまなかった」
「ううん・・・別にいいの。その後の台詞のほうが、私にとってはもっと重要なことだったから」
「まだ、何か言ってたのか」
「ええ、『だけど、毎日食べても飽きない味だ。なあ、ライラ、その、あの、俺の家でずっと俺の
ためにメシを作ってくれないか』って。ねぇ、あの時の台詞って本気だったの？それとも、ただの冗談？」
その質問には、さすがのスレイも答えに詰まる。ライラは泣きそうなくらい思いつめた表情で
彼を見つめている。それに対してスレイは、
「なあ、その時のライラは何て答えたんだっけ」
と、やっとのことで切り返す。
「笑いながら、冗談はやめてよねって言ったと思う」
ライラはうつむくとそう答えた。
「そうか・・・」
「そうね・・・・ごめんなさい。別に貴方を困らせたかったわけじゃないの。ただ、私はもう、こ
れ以上自分の気持ちに嘘はつけない。ねぇ、これからも時々、貴方のためにお弁当を作って良い？」
ライラは吹っ切れたような、より思いつめたような表情でスレイに聞く
「ああ、もちろんいいぜ」
とスレイは微笑んで答えた。
「本当に？迷惑じゃない？」
「ああ」
「そう・・・・良かった。それじゃ、あんまり長居して、貴方のファンの娘に見られたら面倒ね」
と、ライラは言うと、スレイがすっかり食べて空になった弁当箱をナフキンで包んで立ち上がった。
「別にそんな事はかまいはしないが、それよりこの前、ライラが言いかけた事だけど・・・・」
「それは・・・もう少しお互いに時間が必要な事だと思う。それじゃ、またね、スレイ」
ライラはそう言うと、生徒会室を離れた。スレイが久しぶりに食べたライラのお弁当は甘酸っ
ぱく、そしてどこか、しょっぱい味がした。しかし、二人はこの時生徒会室の前をそっと離れた
人影があった事に気づいてはいなかった。そしてそれが、やがて大きな騒動に繋がる事は、
到底予想のできる事ではなかった。（Ｂｙ　　Alex=Lezar)
　 「ん・ふ・ふ〜〜（はあと）聞いちゃったもんね〜、しかもテープにもばっちり！」
生徒会室の様子を盗み聞きあーんど録音していたのは、もちろんシルカであった。
「これなら５００００メセタは確実ね。さっそく謎の黒マントに連絡を・・・」
「私ならここだ・・・」
後ろに立つジオ、いやいや謎の黒マント。今日は気温が高いのでなんだか暑そう。
実は、黒マントは理科実験室にあるような暗幕を拝借している。
「ぎょへぇっ！！い、いつのまに・・・」
そりゃあ誰だって驚くわ。
「た、たまたま通りかかっただけだ・・・人をそんな化け物みたいに言わないでくれ」
「それよりも、これが証拠の・・・じゃなかった、ネタのテープよ」
「本当に奴の足元をすくえるようなネタなのか？」
「じゃあ、５００００メセタを前払いして。とりあえずテープを聞いて、納得できない
ようならまたネタを探るわ」
「（ぬぬう、なんてしたたかな奴・・・仕方ない、約束は約束だ・・・）これでいいか」
手だけ出して５００００メセタを渡す。
ごそごそとマントの下で財布をあけるさまは端から見ても笑える。
「えっへへ〜ま〜いどあり〜！！」
とっても嬉しそうに金を受け取るシルカ。
テープを巻き戻して、イヤホンを黒マントに渡す。
黒マント、また、手だけ出してイヤホンを受け取る。
「じゅんびおっけー？」
どうやら、黒マントはうなずいているらしい。
テープを流し始める。
（う・・・な、何！ライラ・ブラングウェンだと？スレイ、貴様なんて羨ましい・・・
い、いや、そんな場合ではない・・・ふむふむ・・・）
「・・・どう？」
「わかった、これでいい」
「それじゃあ商談成立〜！今後ともよろしくね〜！！」
シルカはテープを渡すと、超高速で去っていった。
それを見送ると、黒マント・・・っていうか暗幕をはずす。
「う〜む、さすがにこの陽気でこの格好は暑かった・・・しかし・・・」
バックに炎を背負うジオ。
「ふっふっふ・・・少々、いやとても高くついたが、これをネタにスレイを・・・」
背景が突如元に戻る。
「・・・どうやって陥れよう？」
やはり間抜けな男、ジオであった。（Ｂｙすずしろせり）
　 　
　それから数時間して、放課後。（って、この小説学園もののくせに授業中の描写が
少ないような・・・・）機械部の部室でフォーレンが日曜日に大破したランドマスターを
改修していた。小さくドアをノックする音。
「どうぞ、お入りください」
フォーレンはドアを開けながら答えた。
　白いブラウスにグレーのジャンパースカート姿のフレナが手を後ろに組んで立っていた。
部屋に入り、フォーレンを見上げると、両手を前に出し、後ろに隠していたものを差し出した。
「はいっフォーレンさま。これ、フレナがつくりましたの。」
　銀色に光る金属で作られた花飾りだった。
「ありがとうございます。大切にしますね」
　フォーレンが大切そうにそれをかばんにしまうのを見届けると、フレナは意を決したように
フォーレンに向かって切り出した。
　「フォーレンさま、あの・・・私のお願いを聞いてくださいますか？」
　「ええ、なんでしょう、フレナさん」
　「フォーレン様はランドマスターをお作りになるでしょう。ですから、出来上がったら
私を乗せて欲しいのです。私、運転は出来ませんが、ナビを見たり、演算や制御はできますわ。」
　「もちろんいいですよ。完成したら、助手席にお乗せしましょう。」
　「本当ですか！それでは、もう一つお願いがありますの。」
　フレナは喜びに顔を輝かせて、続けた。
　「あの・・・・私、フォーレン様のパートナーになりたいのです。
フォーレン様が私のマスターになるのですわ。」
　「・・・・何・・・ですって？」
　当惑するフォーレン。フレナはさっきまでの笑顔を曇らせ、潤んだ瞳で彼を見上げている。
彼女は表情がすぐ顔に出る、アンドロイドにはまれなタイプだ。
　「だめ・・・ですか」
　フォーレンは優しくフレナの手を取ると、遠慮がちに言った。
　「少し、時間を頂けませんか？お返事を待って下さい。」
　フレナは笑顔に戻ると両手を胸の前で組みあわせて言った。
　「では、私は研究室でお祈りしています。フォーレン様がマスターとして
私を迎えに来てくださる日をずっと」　　　　（ＢＹ　セレーネ）
　
同じ頃、ジオが「テープの有効な使い方」を悩んでいると、彼の後輩のジュザが話しかけてきた。
「どうしたんです？ジオ先輩？」
「うむ・・・じつはな・・・」
ジオは今までの経緯を全てジュザに話した。
「なんだ〜そんな事で悩んでいるのなら、なんで私に相談してくれないんですか？この兵法マニアにして
　（自称）夢幻之星学園最強の軍師の私に！」
「最強の軍師、ねえ・・・お前が歴史好きで兵法好きなのは知ってるが・・・」
疑いの眼差しでジュザを見つめるジオ。そしてたじろぐジュザ
「理論的に考えてサッカーのカ○の代表落ちはないってお前言い切ってなかったか？」
「う・・・」
「そうそう、オフにメディアに露出しすぎたから今年のベイス○ーズの佐○木はダメだとも言って
　たよな。２２試合投げて防御率０点だぞアイツ。」
「そ、それは・・・」
「あと数年前の都知事選で青○は落選するって言ってたのは誰だったか・・・」
ジュザの体に何本もの見えないナイフが突き刺さる。いわゆる「グサッ」という状態である。

「い、いや、とにかく話だけは聞いてくださいよ、暇つぶしのつもりで！ね？ね？」
「まあいいか・・・で、なんなんだ？」
「先輩は５万メセタでシルカから情報を買いました。けど、もしスレイが６万メセタで先輩のことを
　探らせたらどうなります？」
「・・・・・・！」
「ですから、このネタを使う前に、シルカの弱みを握っておくんですよ。そうすれば情報はつかみ放題、
　ですしいい事だらけ・・・」
「なるほど・・・お前にしてはマトモな案だな。で、どうやって”風のシルカ”の弱みを握るんだ？」
「さあ・・・どうしましょう？」（ｂｙがりゅー）
　 「ふーん　あたしの弱みを握る？」
2人そろって「げっ　シルカ聞いていたのか？」
「無駄、無駄　オラ　オラ　オラ　オラ　山吹色の波紋疾走（オーバードライブ）」
崩れる2人
「あたしの弱みを握る前にあんた達2人の弱みをこちらは、握っているんだからね。」風のように去っていくシルカ。
「俺達の弱みって何だろう？」

「オウ　オウ　何かよからぬ話をしているな。不良は不良同士で手を組まないか。」
「俺達はライル　あんた達はスレイ　標的は一致だな。」
「手を組むってテメーらどこに手があるんだ。前足に、鎌に、何もない奴までいるじゃないか。」
「ジオ先輩、手を組むの意味が違ってます。」そっと囁くジュザ。
「笑う黒い３連星」どうやら聞こえたらしい。
「まあいいだろう　手を組んでやる　でどうやってあの2人をやっつけるんだ。」
「がははは　くふふふ　わっははは」笑いがとまらない3人（匹）
「ひいい　ひっひっひつ　とりあえず俺達のボスにあって　あっはっは　話はそれからだ。」
「いつまで笑ってやがる　ちょっとボケただけだ。」怒るジオ。

ところ変わって体育館裏のプレハブ。
「ここに俺達のボスがいる」ドアを開けて入る2人と3匹。
「ぐわっ　　眩しい。」目を覆う2人。
「このお方がこの学校の裏生徒会会長の　つるピカはげ丸君だ。」
謎　「黙れ　余は禿ではない。」
「余は　この世界の創造主にして支配者だ。」
「いこいこ　こいつ頭いかれてるぜ」でていくジオとジュザ。
「またんかーい　余の名前ぐらいださせろー。余は　おお威張る光」（何か違うけどこれでいこう）
更に間抜けな禿の登場である。
「余は　禿ではなあい　次を見ておれ」（次っていつ）　　（ｂｙ話が変な方向へ　吉）
　 「うーん、あいつは・・・そういえば昔どこかで見たことが・・・うーむ・・・」
プレハブを出てからジオは何やらぶつぶつと呟きながら考え込んでいる
「どうしたんですか？先輩」
「いや・・・あの裏生徒会会長（自称）なんだが・・・」
「あのハゲですか？あの天然だか剃ってるんだかわかんないようなイカレポンチを気にするなんて
先輩らしくないですよ」
ジュザの言葉に何かジオはピンときたようだ。頭上に読者にしか見えない電球が現れる。
「剃ってる・・・そうか、思い出した、あいつは『大井場流ひかり』だ！」
「なーに言ってるんですか。さっき奴自らそう言ってたじゃありませんか」
「ちなみに、奴の名前はこう書く」
生徒手帳のメモ欄に『大井場流ひかり』と書いてジュザに見せる。
「ははあ、なるほど・・・（きっと『おお威張る光』の方がかっこいいと思っているんだな）
で、どんな奴なんですか？そいつは」
「あいつは小学校のときの同級生で、その頃から誇大妄想症だったな・・・で、家が寺だった
からなのか剃ってたんだ」
「何だか無茶苦茶な設定ですねぇ」
言うな。
「俺は４年生くらいのときに引越したからそれ以来だったが、全然変わってなかった（笑）」
ちなみに、その引越し先でスレイに出会ったのである。
「あの３バカトリオもよく手下になったものですねぇ。ホント、感心しますよ（火暴）」
「まああれは今までわけのわからない計画を立てては自爆していたからな。放っておこう」
「そうですよね。あんなの相手にしてたらまるでバ◎ですよ」
自分らのことは棚に上げておいて（もちろん自覚はしてないが）言いたい放題である。
そう、ジオ達も立派な「自爆野郎」なのである・・・（Ｂｙすずしろせり）
　

それから数日後、夢幻之星学園前期最大のイベント、球技大会が間近へと迫っていた。

この学園、なぜか球技大会の規模は大きく、日程とも数日に渡り種目も多い。
またこれが終わると一学期で残るイベントといったら期末テストぐらいである。
しかしたかが球技大会にこれほど力を入れているのに部活の体育部は総じて
弱いのがこの学園の謎な所。

またこの球技大会、球技大会だけにおさまらない。例えばこの期間中に
女子が男子に弁当の差し入れをする事はバレンタインのチョコと同じ意味が
あったり（ゆえに大会期間中、学食は寂しい野郎どもで賑わう事になる）する。
ゆえにリンもこの日に照準を合わせて料理の修行をしていたのだが・・・

「リン、調子はどうだ？」
興味本位で兄のレインがキッチンに入ってくる。そしてリンの横にビー玉程度の
大きさの肌色の玉が数個あるのを見つけた。
「へぇ〜チーズキッスか、懐かしいな。一個もらう・・・」
それを一つ素早く口に入れるレイン、しかし直後に彼の顔が歪む。
「ジ、ジャガイモかこれ！？・・・皮の方が食う所多いんじゃないか？」
「兄貴うるさい！！」
完全に目が殺気立っている。また指もケガだらけであった。
「こんなんじゃ球技大会に間に合わない・・・そうだ！こんな時こそ援軍を！！」
周囲を巻き込み、「リンのマル秘弁当プロジェクトターボＲ」第二弾がその
幕を開ける・・・（ｂｙがりゅー）
　 ちょっと場面変わり、ネイ姉妹の家。
「ししょお〜〜、おねがい〜〜〜」
ファーストに泣き付くセカンド
「あ〜もう、わかった、わかったからひっつくな！」
「わ〜〜〜い、これでお兄ちゃんに激おいしいお弁当を差し入れできる〜（はぁと）」
もちろん夢幻之星学園にこんな裏イベントがあるなど最初は知らなかったわけだが、セカンドは
聞いた途端当然の如く弁当作りの修行を始めようとしたわけだ。
ちなみに、両親は共働き（最近ではかなり多いケースであるらしい）であるためか料理等は
ファースト達が中学に上がったころから自然と親の代わりにするようになっていた。
しかし、爆睡覇王たるセカンドが朝早起きしてできるはずもなく、結局はファースト１人が
料理を作っているような物であった。
ファーストの料理の腕前はかなりのものなのだが、それを知る者はごくわずかである。
「１年は女子がハンドボールとソフトボール、男子がサッカーと・・・」
球技大会のプログラムを眺めるファル。
「あ〜、球技大会の？えっと〜３年男子・・・そっか〜お兄ちゃんは野球かバスケか〜」
「今年は試験的に大学部と合同で開催するって書いてある・・・ここの学園ってずいぶんと
行事が派手ね」
「入学式も派手だったよ〜。それに大抵の行事って裏っ側にも差し入れみたいなイベント
とかあるみたいだし・・・」
「そだ、ファルは誰かに作るつもりってあるの？」
唐突に差し入れの話をファルに振るファースト。
「私・・・？私は、別に・・・」
「ルディに作ってあげないの〜？」
「え、でもそれって」
「まあ、『義理』として渡す（かなり残酷な）手段もあるし・・・ルディはいつも学食に
頼ってるから一回くらい作ってあげてもいいんじゃない？」
余談だが、球技大会の差し入れについては、『義理』以下の『見本』があるという噂だ。
「そうね、じゃあ・・・ファースト、指導よろしくお願いします！」
さらに余談だが、ファーストはこういったイベントには少々辟易しているためか、わざわざ
『見本』を用意してブルーな気分で差し入れを食べる野郎供を見たいらしい。
今年の球技大会、全然関係ないところで波乱が起きそうである・・・（Ｂｙすずしろせり）
　 一方、当て所も無く校舎をさまようジオとジュザの二人。

大井場流ひかりと別れた後も色々と思案を巡らせる二人だが、結局のところ
打開策は浮かんでこないのであった。

「ジュザよ、何か良い案は浮かんだか」
「も、もう少々お待ちをっ。あと僅かで至高の策略が……」
「よーするに、まだ浮かんどらんのだな」
「そうとも言いますね。あはは……」
「全く、肝心なときに役に立たん奴だな、貴様は」
「面目ありませんん〜」

静かに目を閉じて、ジオは考える。
(50000メセタと引き換えに得た貴重な情報、無駄に使うわけにはいかん……。
スレイの奴を再起不能にする程のダメージを与えるにはどうすれば……。
そして、シルカが言っていた我々の『弱み』というのも気になる……。
どうすればいい……。どうすれば……。私の明日はどっちだ……？)

「だぁーーーー！　分から〜〜〜〜ん!!」
いきなり頭を掻きむしって地団太を踏むジオ。
かたわらを歩いていた数人の生徒達が、一斉にジオの方に目を向ける。
「あの人ヤバイんじゃない……？」等々、ヒソヒソ話が飛び交う。

「じ、ジオ先輩、お気を確かに！」
「はぁ、はぁ、うむ、大丈夫だ……」
すっかり息が上がってしまったジオの背中をジュザがさする。
美しき師弟愛(？)が炸裂するかと思われたその時……。

「ふふふふふふふふふふふふふふふふ……」
怪しげな笑い声がどこからともなくこだまする。

「む……？」
「だ、誰だ！　どこにいる！」
ジオとジュザは周囲を見回すが、ネズミ一匹いやしない。
先程の生徒達は、いつの間にか廊下から姿を消している。

「ふはははは……、上を見たまえ！」
声に誘われるがまま天井を見上げるジオとジュザ。
すると、そこには……。

「ヤッベェ、見つかっちった☆」
何と、サングラスをかけた怪しげなヒゲオヤジが天井に
へばりついているではないか……。誰がどう見ても怪しげだ。

「な、な……」
唖然とする二人。その間にヒゲオヤジは、カサカサと壁を伝って降りてくる。
「お困りのようだな、諸君……」
「あ、私？　私の名は『ダン＝カ＝シウム』だ。この学校で古文の教師をしている」
「趣味か……。色々あるが、何と言ってもカラオケだな。私は演歌が大好きでね」
誰にも聞かれてないのに自己紹介を始めるダン。
ますます開いた口がふさがらないジオとジュザ。

「じゅ、ジュザよ……。何者だ、アイツは？　マカ○ニほ○れん荘のト○ちゃんか？」
「まさか……。ここは夢幻之星学園ですよ。クロスオーバーじゃあるまいし」
クロスオーバーストーリーにだってそんなキャラは出まい。
「ほら、いたじゃないですか。最初、渋さで売り出していこうとして大失敗、
代わりに地味で目立たないという屈辱のレッテルを張られた哀れな教師が……」
「……！　思い出したぞ。確かにそんな奴がいたな。アレがそうなのか？」
「ええ、そのことがだいぶショックだったようで、何やら性格が変わってしまったという噂です。
怪しげな格好で女生徒を追い回していたという情報も入っているんですよ。……あれ？」

ダンの姿が見えない。

「また姿をくらましたか……。まさに怪人だな」
「放っておきましょう。あんなもんに構ってたら、こっちまでおかしくなりますよ。いなくなって好都合です」
何事も無かったようにスタスタと歩き出すジュザ。しかしジオは、足元の床に細かい亀裂が走るのを見逃さなかった。

(殺気ッ！)
すばやくその場から飛びのくジオ。
「あれ？　どうしたんですか先輩……、って、うわぁーーーー!?」
一瞬の出来事であった。突如床を突き破って現れたダンが、ジュザの体にがっしりと
しがみついたのだ。妖怪子泣きジジイを想像していただきたい。
「言ってはならんことを口にしてしまったようだな、君は……」
「な、何でいきなり床から!?　いつの間に潜ってたんですかアンタはー!!」
「せっかく相談に乗ってやろうと思ったのに、地味で目立たないだとぅ……？　絶対に許さんっ！」
「むむ、むさ苦しいぃぃぃぃ!!　頼むから離れてくださいよーーーーぅ!!」
「青と紫の月に代わってオシオキしてくれる……。至高の快楽と絶対の苦痛、同時に味わせて進ぜよう……」
「ひ、人の話を聞いてぇぇぇぇ……」
「災凶流奥義・ヒゲ地獄!!」
「いえ、その、だから、あーーーーれーーーー!!」
ぢょりぢょりぢょりぢょりぢょりぢょりぢょりぢょり……。

(注)この技の描写はみなさんの御想像にお任せします。

「私はヒゲが生え始める時期が早くてなぁ……」
「な、何かブツブツ言ってる……。ぐわぁぁぁぁ!!」
「そのことが原因で、よくからかわれたものだったよ……。ウフフ……」
「ジオせんぱーーーーい！　見てないで助け、お、おごふっ!!」
「中でもトモ子ちゃんに言われた一言は、幼い私をひどくへこませたものだったサ……」
「トモ子……？　トモ子って誰……？　あ！　ひぃあぁぁぁぁ!!」
「その絶望の中で生み出したのが、この技だ……」
「あああ……」
「そろそろ楽にしてやる。ヒゲを見るたび思い出せ……」

ぢょりっ、りっ、りっ……。(エコー)

「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
口から泡を吐いて、ゆっくりと廊下に崩れ落ちるジュザ。

(こ、この男……)
青ざめたジオの顔から、幾筋もの冷や汗が流れ落ちる。
(危険すぎる……！)

「フフフ……。次は君の番だぞ、黒いの？」
ダンがジオの方に顔を向けると、サングラスの縁が一際怪しく輝いた。
「ま、待った！　無礼は詫びる！　類希なるあなたの力、是非とも私に貸してくれっ！」
自分は助かりたいという一心でダンに懇願するジオ。あんなもんを間近で見せ付けられたのだ、無理もないだろう。
「最初からそう言えばいいのだよ……。人間素直が一番だぞ？」
「も、申し訳ありません……。えーと……」
「ああ、彼のことなら大丈夫。今のは峰打ちだ。芯は当ててないから心配無い」
「はぁ、そうですか……。(芯って……)」
ひとまずジュザの二の舞を踏む恐れは無くなったようだ。ジオは胸をなで下ろす。

「では、とりあえず……」
「はっはっはっ……。分かっているさ。シルカという小娘を何とかすれば良いのだろう？」
「!?　なぜ、そのことを？」
「ヒ・ミ・ツ☆」
「……」
(追求するのはよそう……。聞いてはいけないような気がする……。最終目標はスレイを
ケチョンケチョンにブッ潰すことにあるのだが、まあよかろう……。確かにシルカのことも
気にはなる。この男がうまいことシルカを引き付けてくれれば、私はゆっくりとスレイ
のアンチクショウを料理できるしな。よし……)
「承知した。シルカのことはあなたに任せよう。何とかあの女の弱みを握ってくれ」
「ああ、任しとけっつーの！　女の子にちょっかい出すのはオハコだからネ!!」
満面の笑みを浮かべ、力強く右手の親指を突き出すダン。
「では、さらばだ！　吉報を心待ちにしていたまえ。ウフフフフ……」
体を回転させながらダンは床の穴へと消えていく。意味はあるのか。
(事が済んだら、アイツとは絶対に縁を切らにゃ……)
そう、心に強く誓わずにはいられないジオであった。

「さて、問題はスレイの奴をどうするかだが……。む？」
壁に張られている球技大会のポスターがジオの目に留まった。
「球技大会か……。もう、そんな時期になるのだな」

しばしの沈黙。

球技大会で大活躍→ライラがメロメロ→スレイがフられる→ショックでズタボロのスレイに止めを刺す……。

「これだーーーーっ!!　これしかないっっっっ！」
あからさまに単純な考えである。彼がスレイに勝てないのは、この辺の思い込みの激しさに原因があるのかもしれない。
「うまくいけばライラも私のものになる……。ふ、スレイの奴め、今度こそぎゃふんといわしてやる!!」
ジオの瞳が復讐の炎で燃え上がる。もはや何を言っても無駄だろう。
「今年の球技大会、何が何でも勝つッ!!　こら、ジュザ！　いつまでも寝てるな！」
未だに床に突っ伏しているジュザを蹴飛すジオ。ジュザはまだ気を失ったままだ。
「ふっふっふっ、はーっはっはっはっ！　うわーっはっはっはっ、うげほっ、げほっ……」

風雲急を告げる球技大会、果たして勝利は誰の手に……？(byあべたか)
　
様々な人の思いを呑み込んでいる球技大会。そしてここに、一つの騒動が持ち上がる。
場所は放課後の生徒会室。ちょうど会議が始まろうとしているときのことだった。

バーンと激しく開かれる生徒会室の扉。そこに立っていたのはシェス。その様子に珍し
く出席していた、フォーレンが
「この扉は古いのですから、もう少し大切に扱っていただけないと・・・」
とたしなめる。しかし、シェスはそんなフォーレンの言葉に耳を傾ける様子もなく、正
面に座ってるスレイの元へと、凄まじい表情で歩み寄る。手には、紙の筒のようなもの
を持っている。そして、それを机に叩き付け、
「スレイ先輩！！　これはどういうことですか！？　ちゃんと納得のいく説明をしてくだ
さい！！」
「待ってくれ、説明と言われても俺には何の事だかよく分からないが・・・・」
スレイは、シェスの剣幕に圧倒されつつもそう答えた。シェスはスレイの返答に眉を吊
り上げて、
「！？　とぼける気ですか！？　こんなことをしておいて、これじゃ先輩を真剣に思って
くれている人がかわいそうです！！」
その言葉にスレイは、一瞬、振り返って窓の方を見てからシェスの方に向き直った。明
らかに動揺している。一方、シェスの方も言い終えた後、しまったという表情を浮かべ
ている。二人の間に気まずい雰囲気が流れる。
「と、とにかく、ご存じないというのなら、これを見てください」
と言うと、シェスは手に持っていた紙の筒を広げる。
「何だ、球技大会のポスターじゃないか。ん、何か書き込まれているな・・・え〜と、
『女子の部で優勝したクラスのキャプテンには、生徒会長より副賞としてｋｉｓｓの
プレゼント！！』って、おい、なんなんだ、これは」
「それじゃあ、本当にご存じないんですね！？」
シェスはさらに、ずいとスレイに詰め寄る。
「あ、アップになるなよ。本当に知らないって、信じて欲しいな。ところで、シェス
お前もキャプテンになったのか？」
「そ、それはもち・・って何言わせようとしてるんですか！？　論点をすりかえないで
下さい！！本当にご存じないんですね？」
「ああ、本当に本当。信じてくれ」
そう言われると、シェスもようやく納得したように、安堵のためいきをついた。と、そこへ、
フォーレンが
「ところでシェス、その書き込みをされたポスターはそれ一枚だけですか？」
と質問した。
「え・・・？　そう言えば、これ一枚だけじゃないし、それにポスターの書き込みより先
にこの話しが、噂になっていたような気がする・・・」
と言ってから、シェスはあっと声を上げる。
「そうだ、このポスターには貼りだし許可の生徒会の印鑑が押されている。つまり、この
ポスターに書かれていることは生徒会公認になっている。いまさら、訂正したところで間
に合わないかもしれない。まいったな・・・・」
とスレイはつぶやいた。しかし、いまこの部屋にいたすべての人間が、生徒会室の外側の壁に
ぴったりと張り付いた人物が、
「フフフ・・・面白くなってきた。こうでなくてはね・・・」
とつぶやいて去っていったのを気づいてはいなかった。(by　Alex=Lezar)
　 さて、ほぼ同時刻の２年の教室。ハーンが帰り支度をしている。
「球技大会が終わるまでは部活は休みだって言ってたな・・・」
次の実験の準備とか予算の都合とかもろもろの事情のためである。
「サーヤは今日は部活の日だったっけな・・・早いけど、帰るか」
そして、教室を出ようとした時だった。
「ハーン！」
廊下の向こうから声をかけてくる人が。サーヤだ。
「あれ、サーヤ・・・今日は部活は？」
「来週いっぱいまで休みなの、言うの忘れちゃってて・・・」
サーヤは何と、家庭科部に所属しているのである。
まあ、球技祭の裏イベントを考えれば部活が休みになるのは当然のことであろう。

ハーンは自転車通学のため、自転車置き場に行く。どうしてか、自転車を取りに行く時に
サーヤもついてくる。普通だったら校門の辺りで待っているだろうに、律義というか何というか。
自転車置き場に向かう途中、ちょうど人気がなくなった辺り。
「よーよーおふたりさーん」
「いいなあ、わっかいもんわよお」
「ままままんかばー、うううううらやましいぞおおおおおおおお」
＜不良３バカトリオが現れた！＞
彼らはカップルらしき男女連れを見ると勝手にひがんで野郎の方をボコにするという習性がある。
＜３バカトリオはメンチを切った！＞
反射的に一歩下がるハーン達。
しかし、３人はハーンの顔をまじまじとみて・・・変わりそうにない顔色が変わったように見えた。
「うおおお、まさかこいつはぁ！」
「よみがえる過去の悪夢だゼェ！！」
「ま、ままま、ままんかばーほしになるうういいやいやだだあああああ！！！」
＜３バカトリオは逃げ出した！＞
「な、何だか知らないけど逃げ出してくれて助かった・・・」
（そうよね・・・覚えてないって言ってたし、それに・・・）
サーヤは、３バカトリオの恐怖の元凶となった「あの時」を思い出していた。

話は去年の夏休み、８月にさかのぼる。
ハーンは生物実験室に面した中庭で水撒きをしていた。
部員は他にも３年生が５人ほどいるのだが、雑用は専ら彼の仕事であった。
たとえ夏休みでも週に１、２回は学校に来ていた。
「えーっと、もうこれくらいでいいかな？」
水撒きを終え、帰ろうとした時。
「あ、あの、すみません・・・」
どこか遠慮がちな女性の声が後ろから。制服を着ているからにはここの生徒のようだ。
もちろん、その女生徒こそがサーヤなのだが。
「今日は、校舎は閉まっているんですか？昇降口も玄関も閉まっていましたけど・・・」
「それなら、ここが開いていますよ」
生物実験室のある廊下の突き当たりの部分のガラス戸を指さす。見ると、半分開いている。
サーヤがそこへ向かおうとした矢先。校舎の影から不良３バカトリオが現れた。
「よーよーねーちゃーん」
下品な声は今と変わらず。
なぜ夏休みにこいつらがこんな所にいるかといえば、水泳部の部活・・・すなわちスクール
水着姿のオネーチャンたちを拝みに来たのである・・・
後ろに下がるサーヤと、サーヤを後ろ手にかばうように前に出るハーン。
ハーンは熱血ヒーローものの読みすぎなのか？
「おまえなんか生意気だぞ！」
「とりあえず毒漬けだぁ！」
「まままんかばーじゃじゃまものはいいじょおおおおおおおお！」
勝手にひがむ癖も今と変わらず。
もちろん喧嘩などしたこともないであろうハーンはいとも簡単にタコ殴られる。
しかし、マンカバーの触手（？）ビンタの５発目、合計２３発目を食らった時である。
（ああ、このままでは少年マンガのダメダメ君みたいにぼろ雑巾にされて病院送りしかも今日はせっかく「プロ野球珍プレー好プレー前半戦」の放映なのに見れなくなってしまうビデオセットしてないしそんな事言ったら当分テレビ見れないそうだ病院といったら薬漬けで医療費かさんだり間違って点滴に空気とか入れられて余計に命が危ない・・・）
思考が次第に無茶苦茶な方向にずれて行き、
（こうなったのもすべて『サ○○○戦』アートディレクター○田おまえのせいだぁぁぁ！）
最終的に誰が誰に向かって言っているのかわからないまでに思考がブッ飛んだその瞬間。
ブチッ、という音ならざる音とともに・・・

ハーンが、キレた。

ゆらり、と倒れそうになった体を起こすその姿には、黒いオーラが漂っている様にも見える。
表情は何故か影がかかってて見えない。お約束なのだがやっぱり恐い。しかしそれも、３バカ
トリオにしかわからないのではあるが。
そして、まずはマンカバーに音も立てずに残像を残しながら近づき・・・

「えいっ♪」
ぱこーん☆

えらくのんきなかけ声と共に繰り出されたパンチが、マンカバーに炸裂した。
そして、妙に可愛らしい効果音とは裏腹に、マンカバーは放物線も描かずに空の彼方へと
消えてゆき・・・

星になった。
後に聞いた話が本当なら、大気圏を突破しそうだったとか。

「な、なにィ？」
「ようわからんがこいつ恐いぞ！にに逃げろー！！」
アームドアントとグラスキラーも逃げようとする。
しかし、ハーンの間近にグラスキラーがいたため・・・

「そぉれっ♪」
ぺちっ☆

軽くはたいた様に見えたが、グラスキラーはコンクリートの地面にめり込んでいた。
めり込んだところは、未だに直ってないらしい・・・

「どああああぁぁぁぁぁ・・・・」
恐怖に顔をひきつらせまくるアームドアント。
ハーンの右手がでこピンの構えになる。
（やややややばい・・・しからば！）
最後の気力を振り絞り、地面にめり込んだグラスキラーを瞬時に引き上げ逃げていった。

３バカトリオの姿が見えなくなると、黒いオーラが消えたような気がした。
「あ、あの・・・・・・」
サーヤが恐る恐る声をかける。
ギギギ・・・という音を立てながらゆっくりとこちらを振り向くハーンに、思わず後ずさり
しそうになるサーヤ。ものすごく恐ろしい表情をしているような気がしたからだ。
「やあ、おぜうさん。だいじょうぶですか？」
しかし、振り向いたハーンの顔は・・・

猫だった。

思わず凍り付くサーヤ。一方のハーンもそれっきり反応が無い。
約１分後、突然ハーンがぶっ倒れた。エネルギー切れらしい。

「・・・・・・ん・・・・・・・・・・・・」
ぶっ倒れたハーンが中庭のベンチで目を覚ましたのは、５分ほど経ってからだった。
「だ、大丈夫ですか？」
「え・・・？あ、はい、大丈夫ですけど・・・やつらは？」
ブチ切れている間に怪我が治ったらしい。
「やつらは、って・・・覚えてないんですか？」
「だって、僕はタコ殴りにされてる最中に気絶したんだから・・・」
どうやら誰かが助けてくれたと勘違いしているらしい。その方が幸せだが・・・

結局、これが縁で現在に至るわけだから、まさに「縁は異なもの」である。
あの光景を見ても、なのだからサーヤもどこかかなり変な人なのだろう。


「ん・・・サーヤ、どうしたんだい？」
「あ、なんでもないの。早く行きましょう」
もちろん、今でもハーンは勘違いしたままである。ブチ切れたのもあの１回だけだ。
この「ブチ切れ」が後に騒ぎになるか・・・はどうかは、誰にもわからないことであった。（Ｂｙすずしろせり）
　 今日は張り切って疲れてしまったリナ、そのままグラウンドに寝込んでしまった。
一方その頃、教室ではルイセやリン達が彼女の帰りが遅いので心配していた。
「おい、リナのやつ帰りが遅すぎるのじゃないか？」
リンが窓からグラウンドを見ながらそう言っている。風があるようで、自慢の
ポニーテールがなびいている。
「私が、リナさんを捜しに行きます。」
すぐそばにいたルイセがそう言う。内気な彼女がそんな事を言うのは珍しい。
「そうか、なるべく気をつけろよな。夕方になると、変なやつが多くなるからな。」

「・・・あれ・・私、いつのまにか眠ってたわ。！えっ・・」
彼女のいた近くの体育倉庫から、人の気配が感じられた。気になったので
恐る恐る近づいてみる事にした。そうすると・・・・
「ケイン先生と、マーリナだ・・・」
なんと、ケイン先生とマーリナが何かを話しているようだ。
・・・・・
「ケイン様、お片づけごくろうさまです・・・・」
「いや・・マーリナこそ、手伝ってくれてありがとう。」
「・・・・今、二人っきりですよね・・・そうですよね・・・」
なんと彼女は、ケインに抱きついた。

「・・・・・思えば、こうやって二人っきりになるの・・・久しぶりね。」
「そうだな、私も忙しくてな・・・」
「ケイン様・・・私・・・・」
・・・・・・・
あまりにも予想外の出来事だった・・・もちろん彼女はその場で凍り付いてしまった。
「そんな・・・ケイン先生とマーリナが本当に・・・
先生・・・・うそでしょ・・・」

その時である・・・
「リナーーー今日は私と一緒にコスプレして演歌歌ってでーとだーーーー」
背後からダンの声が聞こえた。リナは叫ぼうとしたが、時既に遅し・・・
一瞬の隙で彼女を抱えて走り出したのだ・・・口を押さえられているので、叫ぼうにも
叫ばれない状態である。
「放してほしいのか？だめだ・・・今日はでーとだからな・・」
彼女は必死にもがいた。
「駄目だ・・せっかく二人っきりなんだから・・」
その時、彼女の目から涙がにじんできた。
「ケイン先生・・・・」

しばらく彼が走って校外に出ようとした時だった。
「ダン！いくら教師だからと言って、生徒をいじめるな！」
そこには、あのライルがいた。リナはもちろん気分がブルーに・・・
嫌な事がこう重なっては、我慢の限界にきていた。
「ダン！早くリナを放せ！！彼女は嫌がっているではないか！」
いつもはへなへなしている彼だが、今日は真剣である。
「ふん！今日は僕とりなのでーとなの、邪魔しないでくれ。」
「・・・デートだと、お前は嬉しいと思うが・・・彼女は全然嬉しそうではないぞ！
無理に連れ出そうとするな！このやろう・・」
ライルはこぶしをダンの方に向けた。そして・・・

ぱきーん・・・

なんと、ダン愛用のサングラスが四散した・・・
「きゃあーー僕のサングラスが・・くっ・・・今日の所は引き下がる・・・
リナよ・・・今度一緒に・・・」
あっという間にダンは、どこかに去っていった。

「あ・・ありがとうライル。あなたもいい所あるのね。」
「ふふ・・・困っているレディーを助けるのが俺の使命・・・」
「・・・はあ・・・じゃあ、私教室に戻るね。バイバイ・・・」

「！おい、お前・・足を怪我しているぞ。」
なんと彼女の足にこけた後のような傷があった。多分試合の時の傷だ。
「えっ・・いつのまに、怪我してたのかしら・・・・」
「早く保健室に行った方がいいぞ。何だか結構悪化しているみたいだぞ。」
「うん、そうね。今から行くわ。」
彼女は歩こうとする。だが、足が痛くて上手く歩けない。
「おい、無理に歩くな。俺がおぶって行ってやる。」
「だ・・大丈夫よ。あんたなんかに・・・」
「駄目だ、俺がつれていってやる。」
「えっ・・ちょっと・・・やめて、恥ずかしいよ。」
なんとライルは、リナを抱きかかえて保健室に走っていった。
彼女の顔は真っ赤だった。
「んもう〜ライル！恥ずかしいよーー」
ライルはそのまま走っている。
「・・・でも、嫌な気はしない・・・あんなにライルの事嫌がっていたのに・・・」

治療が終わった頃、ルイセとリンが心配して保健室にやってきた。
「リナ、大丈夫か？怪我しているから無理はするなよな。」
「荷物は私が持ちますわ。」
それから少しして、彼女たちは帰ろうとした。
「私たち、帰るね。それじゃ・・・」

「待ってくれ、俺が送っていってやる。君たちだけじゃ、夜道は危ない。」
「いいのか、ありがとうな。」
「ありがとうございます。」
「・・・・・。」
「おい、リナ！どうした。遠慮するなよな。」

「そうね私も、ライルに送ってもらうわ。・・・ライル、今日はありがとう。
さっき助けてくれてありがとうね・・・」ｂｙ　がれおぬ
　 いつもに増して騒ぎが大きい球技大会、その様子を見ながら革張りの椅子に
腰掛け、ほくそ笑む者がいた。名はレイバード・ラ・シークこの夢幻之星学園
高等部の教頭であり、そして先の副賞騒動の犯人でもある。
「ワシの任期のうちに何か功績を残したいからな・・・」
彼の任期はもういくらもない、その間に何か功績を残しておきたかった。
しかし自由な校風でエスカレーター式のこの学園では勉強を強制
するわけにもいかず、スポーツ推薦も思うようにいかなかった。
そこで企んだのがこれである。

「女子は目の色を変えて競技に励む、それがきっかけでスポーツに
目覚め、インターハイまで行ってくれれば・・・いや最悪、あの鼻持ちならない
生徒会長にダメージを与えられればそれでいい・・・」
そう言って再びほくそ笑むラシーク、もっともこんなセコい手に頼らざるを
えないところが、彼の権力の弱さを示しているが。

「スレイ先輩・・・」
校内中のポスターの副賞の部分を修正してまわり、あれがガセであるという
校内報を生徒会総出で貼り終わった頃には、日は完全に暮れていた。広い生徒会室には、
もうスレイとシェスしか残っていない。
「誰なんでしょうね、犯人は。」
「さあな・・・しかしこれが生徒会への不信につながらなければいいが・・・」
「大丈夫ですよ！先輩、いつも頑張ってるじゃないですか！ただ・・・」
「ただ？」
「あんまり、頑張りすぎないでくださいね、みんなもいるんですから。先輩、いつも
　仕事を一人で抱え込みすぎです！」
強い口調で、そして心からスレイの身を気遣っての言葉に、スレイは反論できなかった。
そしてただ一言、「ありがとう」とだけ言って荷物を持ち、部屋を後にした（ｂｙがりゅー）
　
その頃２年生の教室にて・・・
リナ達の教室に誰かが残っている。他の生徒達は下校している時間だった。
夏休み前、（まだなんだ・・・）夕方であるにもかかわらず暑い・・・
「あれ〜ルイセ！どうしたの？こんな所で残って？」
教室にいたのはルイセでたまたま廊下を横切ったリナが彼女を見つけて
声をかけたのだ。
「いえ・・・少し考え事していただけです。」
「そうなんだ・・・ねえ！もう帰ろうよ。日が暮れちゃうよ！」
しかし彼女の表情は暗い・・・
「なに落ち込んでるのよ！明日からデゾリス合宿でしょ！たったの２泊３日だけどね。
だから、元気出そうよ。・・・もしよかったら合宿のための買い物、今から行こう！」
「合宿・・・買い物ですか・・・」
「そうそう！せっかくだから、合宿用の洋服でも買いに行こうよ。」
「そうですね・・・行きましょう。」

リーク駅のすぐ側に「ラッピーデパートリーク店」がある。そこに彼女たちは向かう。
「きゃーん！久しぶりのデパートだわ。何かかわいい新しいグッズ出てるかな。」
「リナさん・・・それもいいけれど、お金使いすぎるかもしれませんよ・・・
だってあなたはかわいいものを見つけると、すぐに衝動買いしますからね。」
「うう・・・大丈夫、今日は買わないよ。」
彼女たちは服売り場に行く。なかなかの品揃えだ。
「きゃあ！かわいい！私、これにするわ。ねえ！ルイセは？」
「私・・・やっぱりやめます。いつものでいいです・・・」
「そんな・・山登りの時大変だよ。こんなすその長い服・・・そうだ！これはどうかな？」
「ええ・・・でも私には似合わないかもしれません・・・あなたの方が似合いますわ。」
「そんなこと無いよ！絶対ルイセにピッタリだよ。レイン先輩もびっくりするくらいにあってるよ。」
そう彼女が言った時、ルイセの顔が少し赤くなった。
「しってるよ！あなたレイン先輩が好きなんでしょ。お見通しよ。でも誰にも言わないから
大丈夫！私とルイセだけの秘密ね。」

少しして、ルイセはリナが持ってきた服を買う事にした。
その時だった。近くでランの笑い声が聞こえた。
「お・・・おにいちゃん。これ見てよ！きゃはははは・・・」
随分と笑っているようだ・・・果たして・・・
彼女は１００メセタ（爆）のＴシャツを見て笑っている。如何やらただのＴシャツじゃないようだ。
イラストが何と・・・偽ドラ○も○であった・・・ためである。
「ランちゃん。あなたもお買い物なのね。アイン先輩、こんばんわ。」
「リナ先輩！ルイセ先輩！こんばんわ！」
「こんばんわ・・・あれ、リンはいないのか？」
アインはリンがいないのを気になっているようだ。
「今日は急いで帰っちゃったわ。準備で忙しいからかな・・」
「そうなのか・・・それでは、私たちはこれで失礼する。君らもいろいろと買いたいものあるようだしな。
おいラン！そろそろ向こうに行くぞ。ではまた明日。」
「ばいば〜い！先輩！あ〜ん・・・おにいちゃん待って！」

「これでよかったかな・・買い物。だからって買いすぎても重たいだけだし〜」
「そうね。では早く帰りましょう。遅くなってはお兄様が心配されますわ。」
「あしたからね・・・合宿・・・きっと楽しくなるよね。楽しみだな・・」
その時、彼女の買い物袋からきれいに包装紙でつつまれた箱が落ちた。
「あらら・・・落としちゃった・・・汚れてないかな・・・」
「もしかしてそれ・・・ライルさんにお渡しするのですか？」
「ラ・・・ライルに〜馬鹿言わないでよ！なんであんなやつに・・・」
「ふふ・・・照れてるね。」
めったに笑わないルイセの顔に笑顔が浮かんだ。

「ルイセ！随分と嬉しそうだな。楽しんでくるんだぞ。」
「はい、お兄様・・・お友達もいるから・・きっと楽しくなるわ。」
いつもは厳格のルーンも妹の前では優しい。たった一人の血の繋がっている妹だからだろうか・・・
親は随分昔に死んでしまった。幼い頃から２人は辛いながらも楽しく生きていた。

「眠たい・・けど、アインにこれを渡すまでは・・・」
リンは何とセーターを編んでいた。上手く行かず苦しんでいる様子だ。
夏なのにセーター？そう、デゾリスは夏でも寒いのだ。特に夜は冷える。
そのため、風邪を引かないようにとセーターを編んであげているようだ。
「駄目だ・・・こんなのじゃ喜んでくれないぞ・・・やっぱり無理だったのか。」

それぞれ・・・いろんな思いを秘めながら、合宿へ行くようだ・・・
朝の７時学校に集合・・・そこからドラマが始まる・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
朝の７時前・・・校庭に一人の人物がいた。その名はダン！
アロハシャツに白い単パンを履いて旅行鞄を持って立っている。
「今日から合宿！ぼくの大好きなリナちゃんと同じ屋根の下でおねんねできちゃう！うれしいな！」
とかいって騒いでいる。それからすぐにリナ達がやってきた。
「・・・えっ！ダ・・・ダン先生！あなたも来るの？お留守番じゃなかったの？」
「いやいや・・ライア先生が用事でこれなくなったんで、私が代わりに行く事になったんだ。
そうだ、君たちの先生は確かライア先生だったね。ふふ・・・じゃあ、私が担任の変わりに
なるんだな。と言う事で・・・2泊3日よ・ろ・し・く！」
「えええ・・・そ・・そんな・・よりによって代わりの先生がダンなんて・・・
いやあああ・・・」
何とダンも来る事になった、夏季合宿。果たしてリナの運命は・・・
リンは、ルイセは・・・
（ｂｙ　がれおん卿・・・勝手に舞台変更しちゃいました。駄目だったら連絡して、書き直すから。）
　
合宿より、少し前の時にライア先生はある人物に会っていた。その人物は、以前彼女が好きだった人物。
しかし、その思いが届かなかった人物。そして、彼女が最も大切に思っている人と結婚して幸せな家庭を
築いていた人物。今では、妻に先立たれて、忘れ形見となった独り息子と二人で暮らしている人物だった。

その二人があって、話をしていたのは、アイード駅より少し離れた、繁華街にあるバー。普段なら、彼女は
そのような場所に生徒が立ち入らないよう、見回りをすることもあるのだが、今は、大きなサングラスを夜中
につけて、生徒に見つからないようにしている。やましいことをしていない、と、断言できない心境にライアは
おかれていた。呼び出されたのは、ライアの方なのだが、相手の男がやってきたのは、約束より1時間遅れ
の、彼女が５杯めのジン・トニックに口をつけたときのことだった。

「久しぶり、君は相変わらずきれいだね。いや、君の姉さんに似て、ますますきれいになったよ」
相手の男、ルラキル（ごめんなさい、いろんな兼ね合いでオラキオには出来なかったんです）は、遅れたことの
非について、一応の謝罪をすると、このように、話を切り出した。
「ありがとう、あなたも相変わらず、カッコイイわよ」
「よせよ、おれは、１７の息子がいる、いい年をしたおっさんだぜ」
と、笑顔で会話をしているものの、ライアの気分は晴れない。むしろ、ますますひどくなっているのだが、それを
顔にだすような真似はしない。ルラキルと会っている間は、確かに胸をときめかせる事も無いことも無いのだが、
姉に対する罪悪感、なにより、相手が自分に対して、姉の代わりとしてしか見てくれないことに明敏な彼女は気
づいているのだけれども、会う事を止められない自分を苛立たしく思っていた。
ルラキルはそんな、彼女の思いを知らずに、楽しげに話し掛けてくる。しかし、その話題は過去に関しては、姉と
三人で遊んでいたときの話ばかりをし、未来については、ライアと結婚してくらそうか、などと言う事を冗談交じり
に比喩的表現を使って話していた。　　　
（どうして、こんな男を好きになったんだろう・・・いいえ、彼は姉さんを忘れられないだけ。姉さんが生きているときは
もっと、ずっと、自分の夢を追っている、とっても眩しいくらいに、カッコイイ人だった。《姉さんを忘れられない》それは、
私も同じかもしれない・・・・）彼女が心のうちでそうつぶやくと、ルラキルは
「そろそろ、遅くなったね、お互いの仕事の事もあるし、今日はもう、帰ろう」
その言葉が、どれほど、彼女の心に追い討ちをかけたか、ルラキルは気づかない。ルラキルは、先に席を立つと支
払いを済ませて、店を離れた。ライアは、それより少し遅れて店を出ると、後ろを振り返る事も無く、家へと歩いていった。
「最低ね・・・なんだか、悪酔いしそう。タクシーに乗る気分にもならないわ・・・」
とつぶやく頬に、通り雨が当たる。ライアは、それが、自分の今の表情を隠してくれるものと思い、傘を差さずに歩く。
しかし、その結果、二日酔いと風邪のダブルパンチで合宿に参加できなくなり、後程、ラ・シーク教頭に大目玉を食らう
事になるのだった。(by　Alex=Lezar.ごめんよ、こんな話を書いて・・・でも、書きたかったんだ・・・）

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