Ｐｈａｎｔａｓｙ　ｓｔａｒ
〜Ａｌｇｏｌ　Ｆｉｎａｌ〜

第一章　悪夢の再来

ＡＷ２２８４年，アルゴル太陽系の存亡をかけた，闇との最終決戦・・・
あの、悪夢のような戦いから三年の月日が流れた。ファルとルディは結婚し、
二人の間には，初めての子供も産まれようとしていた。
ルディにも、ファルにも，この平和は永遠に続くと思われたのだが・・・

「うわあぁぁぁぁっ！！」
人々の叫び声がアイードの街を駆け抜けていった。異変に気づいたルディとファルは
表に出るや言葉を失った。
「あ、あれは・・・」
「ダーク・・・ファルス！？馬鹿な！！闇は確かに，俺達が倒したのに！！」
呆然と立ちつくすルディとファル，自分たちの目の前で暴れている化け物は，紛れもなく
あのダーク・ファルスであった。
「ファル・・・俺が、ヤツを相手する。お前は，ケガ人の手当を頼む。」
「そんな・・・ムリよ！一人でなんて！！」
そう言ってルディを引き止めようとするファルに，ルディはいつもの笑顔を見せた。
「大丈夫だって！あんなヤツに，遅れは取らないよ！！それに、今のお前を，戦わせる
　ワケにはいかないだろう。信じろよ，ルディ・アシュレをさ！！」
「う、うん・・・」
ファルがそう言うと，ルディは敵に向かって一直線に駆け出していった。
ファルに余計な心配をかけまいとするルディの優しさが，そして笑顔の裏に秘められた
悲壮な決意が，ファルには痛いほどよく分かった。だからこそ、ファルにはルディを
止める気にはなれなかった。

「化け物野郎が・・・これでも喰らえ！！」
ルディの手から，光線系の技「ラグランツ」が発せられる。そしてその一撃は，
狙い通りにダーク・ファルスの顔面に命中した。そしてルディは，たくみに
ダーク・ファルスをおびき出し，アイードの北，海岸地帯まで引っぱり出した。

「ここまでくれば・・・」
そうつぶやくとルディは剣を抜いた。しかしそれは３年前闇の力場から自分たちを護る
ために砕け散ったエルシディオンではない、特注品とは言え、セラミックソードである。
故にほとんど勝ち目がない事はルディも十分承知していた。
「一撃で、決めてやる！！」
決死の覚悟で剣を構えるルディ，そして、そのルディに対して拳を振り下ろしてくる
ダーク・ファルスの一瞬の隙をついてルディは剣を振り下ろした。
「くらえぇっ！！レイ・ブレード！！！」
しかし、その渾身の一撃も，ただ、ルディの剣を折らせただけだった。そして次の瞬間，
ダークファルスの強烈な一撃を喰らったルディの体は，岩盤にたたきつけられていた。
「くっ・・・くっそおおぉぉぉっ」
どうやら体中の数カ所の骨が折れたらしい。そんなルディを掴みあげると，ダーク
ファルスはゆっくりと，大きく開いた口に運んでいった。
そしてまさにルディを食おうとしたその時，ルディは残りの力を振り絞り，右腕を抜いて
呪文を唱えた。
「我が心の内なる怒り、憎しみ、悲しみの力よ・・・今，破壊の力となりて眼前の
　敵を滅せよ・・・メギド！！！」
予想外の攻撃に思わずダークファルスは手を離した。そして地上に降りたルディの，
ありったけのＴＰを使ったメギドをくらい，紅蓮の炎に包まれていった。

「これでくたばってくれなきゃ俺は・・・・・・・死ぬな。」
ルディにはもう力は残されていない，立っている自分が不思議にさえ感じられた。
「頼むから死んでくれ」ルディは心の中でそうつぶやいた。しかしその願いも空しく，
ダークファルスは生きていた。多大なダメージを受けながらも，メギドの炎を振り払い
一直線に突進してくる。それに対しルディはリューカーを唱え，敵の背後に回り、
まだ体制の整わない敵に対し，全身から光の闘気を発して突撃していった。

「エクスプロード！！」
ルディの決死の突撃と，ダークファルスのパンチのぶつかり合い，結果は・・・
相討ちであった。ダークファルスが崩れていく姿は、ルディの目にもはっきりと見て
とれたが，ルディ自身も海へと投げ出されていった。

「やべえ・・・昔の記憶とかが見えてきやがった・・・俺も、ここまでか・・・すまねえ、
　ファル。身重のお前を一人残しちまって・・・ハーン、パイク，　あとのことは・・・」
最後の衝突時に生じた轟音は、アイードのファルの耳にもはっきりと聞こえた。そして
ファルがいても立ってもいられず駆けつけた時，そこには誰もおらず、主を失った鉢金
だけが、ポツンと寂しそうに取り残されていた。

オンライン小説のコーナーに戻る

トップページに戻る