Phantasy Star
〜Algol Final〜


第二章 英雄との別れ。そして・・・

ほんの数分前の激闘が、まるで嘘のように静まり返った荒野に,ファルは一人,為す
術も知らず,茫然と立ちつくしていた。
「ルディ・・・?」
うつろな目で、つぶやくようにファルは言った。その手には,ルディがいつも身に
つけていた鉢金が、力無く握られている。
「ルディ、ルディ、ルディ・・・」
おぼつかない足取りで,ファルはあたりを歩き回った。そして、ルディがそこには
決していないことを悟ると,ガクンと膝をつき,地面にうっ伏して泣きじゃくった。
「ルディーーーーーっ!!」
自分以外には誰もいない荒野で、ファルは恥も、見栄もなく泣きじゃくった。
そして、ひとしきり泣くと,その足はクルップへと向けられていた。

「ファル・・・?」
出迎えたハーンとサーヤは、ファルの普通ではない様子に一瞬戸惑いを見せた。
そしてファルは,二人を見た安心感から、また泣き始めた。
「ルディが・・・ルディ・・・がっ」
「!!ルディが!?一体何がおきたって言うんだよ!!」
日頃に似合わず激しく取り乱し,ファルに問いただすハーン,そしてそれを制する
サーヤの二人に,ファルは泣きながら、声にならない声で事の経緯を説明した。

「そ、そんな・・・バカな・・・」
「ル、ルディさんが・・・」
ファルの話を聞き,二人もまた驚き、泣かずにはいられなかった。

「でも、まだ行方不明なんだろ?まだ、希望はあるさ!!」
自分のつらさを必死でこらえて,何とかファルを励まそうとする二人、次の日から
身重のファルはしばらくの間ハーン達の家で世話になることになり,また、パイク達
モタビアンの協力も得,必死の捜索が始まった。
しかし、有力な手がかりは何一つ得られないまま一年の月日が流ていった。
皆がルディの生存に対して絶望的になっていたそんなる日・・・・・・

「おお・・・」
「ほら、目のあたりなんか,ルディにそっくりじゃない。」
泣きじゃくる一人の赤ん坊を,取り囲むようにして皆が見つめている。
ルディがダーク・ファルスとの戦いに行く少し前に,ファルの中に残していった
いわば忘れ形見であるこの子を見つめる皆の顔は,新しい命の誕生を祝う嬉しさと、
この場にルディがいたらという淋しさからくる,何とも言えない顔つきをしていた。
「で、ファル・・・この子の,名前は?」
皆を代表するように、ハーンが尋ねた。
「うん・・・私、まだ、ルディがいつの日か,当たり前のように帰ってくる,そんな
 気がするの・・・だから、ルディが帰ってきたとき,あの鈍感なルディでも
 すぐに自分から名前を取ったって気がついてくれるような,そんな名前に・・・
 そう、ルイ・・・ルイ・アシュレって!!」

第二章 終わり

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