ドラゴンファンタシーＺ
その５：烈戦人造人間編
ルシェンクス「まず私の名前はルシェンクスと言います。そしてなぜ私がスーパーニューマンに
なる事が出来るのか、ファルさんの事を知っていたのかというと・・私は今から
約１５年後の未来からやってきたルイさんとシェスさんの娘だからです。」
ファル「え、えぇっ！！！！！」
ルシェンクス「母シェスはスレイさんと長い間アルゴル外の銀河に修行の旅に出ていたのですが、
そこでケンカしたらしく不仲になってしまったらしくて・・・。で、アルゴルに
戻ってきて父ルイを初めて見た時（キャーッ、ルディ君そっくりー！お姉さん心を
くすぐるわぁー！）とか言って猛烈にアタックしたとか・・・あはは。
あ、この事はくれぐれも内密にお願いしますね。２人が気まずくなってしまうと
私は存在そのものが無くなってしまうので・・・。」
ファル「あははは、それはシェスらしいわね！わかったわ、この事は秘密にしておくわね。」
ルシェンクス「そしてスレイさんは母シェスにフラれたのが意外とショックだったようで・・、以降
エスパーの館にこもって無我夢中で修行をしたそうです。その結果スレイさんは
時を越える術を会得し（はははは！どうだ、オレはもはやルツすらも越えてしまった
ぜーっ！）とか言っちゃってるんですよ、ふふっ。そして私はそのスレイさんの
時を越える術でこの世界にやって来たというわけです。」
ファル「そっかぁ、さすがはスレイだね〜。」
ルシェンクス「ですがそのような事を言いに来たのではありません。あなたに伝えたい重大な話が
あるのです。今から３年後の〇月Ｘ日、南の島ウーゾに恐ろしい２人組が現れます。」
ファル「え、宇宙人か何かなの？」
ルシェンクス「いえ違います。その２人組はバハル要塞のコンピュータが生み出した機械人間、
いわゆるアンドロイドというやつです。」
ファル「バ、バハル要塞ですって！？」
ルシェンクス「はい。バハル要塞そのものはその昔あなた達が叩き潰したらしいですが、バハル要塞の
地下に存在する無人のコンピュータが機械人間を生み出したようです。」
ファル「その２人組、強いの・・・？」
ルシェンクス「強いなんてもんじゃありませんよ！あいつらは強すぎるんです！！！やつらのせいで
私のいる未来は地獄と化しているんです。ほとんどの街は壊滅状態です・・！」
ファル「スーパーニューマンになれるあなたがそう言うんだからそうとう強いんでしょうね。
ところで私は？その未来の私達はどうなったの？」
ルシェンクス「機械人間が現れたと同時に父ルイが戦いに挑みました。しかしまったく歯が立たず
命辛々撤退してきたらしいです。それからしばらくして私が生まれ、その後父ルイと
母シェスの２人が戦いを挑みましたが、その時に父と母も機械人間に殺されました。
父と母を亡くした後、私はスレイさんに育てられました。戦い方もスレイさんに
教えてもらったのです。そしてスレイさんは今エスパーの館を守るため、館の地下に
こもり機械人間を立ち入れないよう不眠不休で結界を貼り続けているのです。世界で
わずかに生き残った人々は皆エスパーの館で恐怖におびえながら暮らしているのです。
スレイさんが館を守るために一戦を退いてしまったので、事実上世界に残された
戦士は私だけになってしまいました・・・。」
ファル「そうなの・・・。ん、ちょっと待って。私は？私はどうなったの？」
ルシェンクス「ファルさん、あなたは機械人間とは戦ってない。これからまもなくウイルス性の
心臓病にかかり死んでしまわれる。」
ファル「え！？」
ルシェンクス「でも安心して下さい、私達の時代には特効薬があるんです。これをどうぞ。」
ファル「ほっ。よかったぁ、ありがとう！」
ルシェンクス「本当はこういう事はいけないんです。歴史が変わってしまうので・・ですが
あんな歴史なら・・！」
ファル「ありがとうルシェンクス。私はアルゴルを守るため修行して機械人間と戦うわ！」
ルシェンクス「はい、私もそれまで生きていられたら加勢にかけつけます！」
ファル「生きるのよ、そして私達と一緒に戦いましょう！」
こうして未来からやって来たスーパーニューマンルシェンクスは元の世界へと帰って行った。
ファルはルシェンクスの秘密は上手く謎のままにしてルイに事の次第を話した。
ファルとルイは機械人間との戦いに修行を始める。そしてあっという間に３年の月日は流れた。
ルイ「お母さん、一体いつ機械人間が現れるのかな？」
ファル「時間的にはそろそろだと思うけど・・・多少の誤差はあるのかもしれないわね。」
ズドォォォンッ！！！
突然ウーゾの平野で爆発が起こった。
ルイ「お、お母さんっ！」
ファル「来たわね機械人間！行くわよルイ！」
ファルとルイはすぐさま爆発が起きた場所へ向かう。するとそこには確かに機械人間が居た。
ファル「あなた達ね？今の爆発を起こしたのは！」
ルイ「そしてお前達がバハル要塞の機械人間だね！？」
機械人間１「ほう、我々の存在を知っているのか・・・ファルとその息子ルイよ。」
ファル「へぇ・・そちらこそ私達の事をご存知なんだ？」
機械人間１「もちろんだ。私達はファル、そしてお前の仲間であった者達を抹殺するために
作り出されたのだからな。バハル要塞を壊滅させられた恨みは忘れていないぞ。」
ファル「なるほどね。つまりバハル要塞のＣＰＵの意志をあなた達が継いでいるという事ね。」
機械人間１「そういう事だ。一応自己紹介しておこう。私はかつてデゾリスにやって来た
サイレンのデータを元に作られた機械人間シーレンだ。よろしく。」
機械人間２「そして私はミューよ。同じくかつてデゾリスにやって来たミューンのデータを元に
作られたのよ。チャームポイントはまばたきをしないことよ♪」
ファル「データ・・・ですって？」
シーレン「そう、お前達にバハル要塞を滅ぼされた後、小型の偵察機を使ってお前達の様子をスパイ
していたのだ。ライアやネオアリサ特選隊のデータも入手出来たのは好都合だった。」
ミュー「まぁ、あくまで私はミューン。シーレンはサイレンのデータを元に作られてるんだけどね。」
シーレン「だが決定的に違うのは・・・私達はオリジナルよりも遥かに強いという事だ！！！」
ファル「いいわ、相手になってあげるわ！はぁぁぁっ！！！」
シーレン「それがスーパーニューマンか。なるほど確かに素晴らしい戦闘力の飛躍だ。」
ミュー「なによ、そんなの大した事ないわよ。私が本当の強さを見せてあげる。」
ファルとミューの戦いが始まった。
最初はファルが優勢だったが、だんだんとミューにペースを握られるようになってきた。
そしてルイはあきらかにファルの様子がおかしい事に気付いた。
ルイ心の声「そうか！お母さん心臓の病気なんだ！だからあんなに辛そうなんだ！」
ルイが助けに入ろうとした時だった。どこからともなく現れた少女がミューを吹き飛ばした。
シーレン「む・・・！」
ルイ「あ！」
ファル「ルシェンクス！」
ルシェンクス「大丈夫ですかファルさんっ！？」
ファルを助けたのはルシェンクスだった。
しかしルシェンクスが戦陣に加わってもファルはもはや戦える状態ではない。
ファル抜きで機械人間と戦うのはリスクが大きすぎる。どうするべきかルイと
ルシェンクスは顔を見合わせる。だが状況は更なる第３者によって一変した。
謎のカマキリもどき「はーっはっはっは！ついに見つけたぞシーレン！ミュー！」
ファル・ルイ・ルシェンクス「？？？」
シーレン「なんだあのカマキリみたいなのは？ミュー、あいつ知ってるか？」
ミュー「いや知らないよ。でも私達の事を知ってるみたいだけど。」
謎のカマキリもどき「私の名前はグラセル。私もまたバハル要塞のＣＰＵに生み出されたのだ。
つまりシーレン、ミューとは兄弟なのだよ。」
シーレン「へぇ、そいつは驚いた。お前も私達と同じくファル達と戦いに来たのかい？」
グラセル「それもあるが一番の目的は違う。私はシーレンとミューを吸収するためにやって来たのだ」
ミュー「はぁ！？私達を吸収する？いきなり何言い出すのよ。」
グラセル「教えてやろう。私はファル達の細胞を組み込まれたグラスアサッシンだ。そしてバハル
要塞のＣＰＵはこう言った。シーレンとミューを吸収する事によって私は完全体になると！
アルゴル最強はカオスソーサラー一族でもモンスターフライ一族でもダ・ケム・ラー一族
でもない。我がグラスアサッシン一族だ！さぁ、ともに完全体を作り上げようぞ兄弟よ！」
シーレン「冗談じゃない、誰がお前なんぞに吸収されるか！」
ミュー「まったくだわ、寝言は寝てからいいなさい！」
グラセル「ふっふっふ。ならば力ずくで吸収するまでさ。私の力はお前達より上なのだぞ？」
シーレン「ふざけろ、誰がお前なんぞに負けるか！」
ミュー「ふんっ、返り討ちにしてあげるわよ！」
グラセルＶＳシーレン＆ミューの戦いが始まった。
ファル達は予想外の展開に戸惑いを見せた。
ルシェンクス「チャンスです。奴等が潰し合ってるスキに一時撤退しましょう。今はファルさんの
回復を待って体勢を立て直しましょう！」
ルイ「わかりましたルシェンクスさん。お母さん、僕の肩につかまって。」
ルイとルシェンクスは病気のファルを連れて撤退した。ファルの家に辿り着くとすぐさま薬をファル
に飲ませた。するとすぐにファルの容態は落ち着きを見せ始めそのまま深い眠りについた。
ルシェンクス「ふぅ、これで一日もあれば回復すると思います。」
ルイ「よかった。ルシェンクスさん、それでこれからどうしましょう？」
ルシェンクス「そうですね、あのグラセルという奴も気になりますし。」
謎の男の声「おい、おまえらオレの声が聞こえるか？」
ルイ「う、うわぁ。誰もいないのにいきなり声が聞こえてきたぞ！？」
ルシェンクス「あ、スレイさん？」
スレイ「おう、未来の世界からお前達に向けて話し掛けている。ルイ、驚かせてすまなかった。
そういやお前とは初めましてだっけな。オレはスレイだ。」
ルイ「あ、初めまして。スレイさんってキザでいけ好かない魔道士だけど腕は確かなんですよね？
お父さんがそう言ってました。」
スレイ「・・・・・ルディのやつ、好き放題言いやがって・・・。」
ルシェンクス「スレイさん、それで一体何か用ですか？」
スレイ「あぁ、そっちの様子はどうかと思ってな。」
ルイとルシェンクスは事の経緯を話した。するとスレイは余裕たっぷりの口調でこう言った。
スレイ「お前達にいい話があるぞ。オレはさらに魔道士としての実力を開花させ、精神と時の部屋
というモノを生み出せるようになったんだ。」
ルシェンクス「なんですかそれは？」
スレイ「一日で一年分の修行が出来るという優れものだ。どの道ファルは一日は動けないんだろ？
だったらその間ここで修行しな。１年修行すれば大幅に実力は上がるだろうよ。」
ルイ「そ、それは確かにすごいですね。」
ルシェンクス「そういう事ならまず私が部屋に入りましょう。ルイさんはファルさんの側にいて
あげて下さい。もしもの場合はファルさんを守ってあげて下さいね。」
ルシェンクスは精神と時の部屋に入った。
それからちょうど１日がたとうとしていた頃、ファルの家にグラセルが現れた。
昨日とは形状が大幅に変わっている。どうやらシーレンとミューを吸収する事に成功したようだ。
グラセル「ファルはいるかい？」
ルイ「な、何の用だ？」
グラセル「簡単な事だ。私のもう一つの目的、ファルの抹殺だ。」
ルイ「冗談じゃない！」
グラセル「ふっふっふ、ならばまずはお前から・・・」
ルシェンクス「待て、まずは私が相手になろう。」
ルイ「ルシェンクスさん！」
ルシェンクス「お待たせしましたルイさん。大丈夫、今の私なら奴に勝てます。任せて下さい。」
グラセル「ほう、完全体になった私に勝てるというのか？そいつは面白いジョークだ。ならば君が
私のウォーミングアップに付き合ってくれるかい？」
ルシェンクス「えぇ、ウォーミングアップでおしまいにしてあげますよ・・・。」
ルシェンクスはグラセルと共に人気の無い平地へと場所を移した。
グラセル「たかがスーパーニューマンでもウォーミングアップの相手ぐらいにはなってくれよ？」
ルシェンクス「残念だったわね。今の私はスーパーニューマンではないわ。」
グラセル「ふむ、どういう意味だ？」
ルシェンクス「私は・・・超ルシェンクスよ！！！」
ルシェンクスはスーパーニューマンへと変身する。さらにそのままもう一段階の変身をした。
グラセル心の声「強い・・・こんな底力を秘めていたのか。」
ルシェンクス「私はスーパーニューマンすらも越えてしまった・・・。お前は私には勝てない！」
開口一番、ルシェンクスがレジェオンを放つ。すかさずグラセルもレジェオンを放ち相殺する。
だがルシェンクスは怯まずフレエリ・タンドレ・ヒューン・ラフォイエ・ラグラブトと立て続けに
攻撃をしかける。しかしその全てをグラセルは同じ技で相殺してみせた。
ルシェンクス「お前・・・同じ真似ばかりして・・・！！！」
グラセル「言っただろう？私はこのアルゴルの戦士達の細胞を受け継いでいるのだ。ふふふ、
そんなに真似がお気に召さないのならこんなのはどうだ？」
グラセルはそう言うと黒い波動・ポジトロンボルト・フォノンメーザーを発射した。
ルシェンクス「なっ、アンドロイド用の技まで使えるの！？」
圧倒的な手数の前にルシェンクスは技の打ち合いじゃ勝てないと判断し、一つの決断を下した。
それは・・・
グラセル「くくく、お前はスーパーニューマンを越えたと言ったがまだ真の力を隠しているだろう？」
ルシェンクス「へぇ・・・気付いていたのね？ちょうどいいわ、技じゃ勝てなさそうなので
お望み通り私の真の力を見せてあげるわ！」
グラセル「楽しみにしているぞ。」
ルシェンクス「はぁぁぁぁっ！これが私の真の力よ！！！」
ルシェンクスは気合を入れると、既にスーパーニューマンを越えていた状態から更なる変身をした。
身体からは異様なまでの闘気と筋肉が溢れている。
グラセル「ほう・・素晴らしいパワーだ。私を越えている。だが、それではこの私には勝てない。」
ルシェンクス「ふんっ、根拠の無い強がりを言うんじゃないわよ！」
ルシェンクスはグラセルの懐へ飛び込んだ。この圧倒的なパワーで肉弾戦をけしかけるつもりだ。
だがルシェンクスの攻撃は一度としてグラセルにかすりもしなかった。
ルシェンクス「な・・なぜだ。なぜ私の攻撃が当たらないの！？」
グラセル「愚か者め、そんな事もわからないのか？そんなに膨れあがった筋肉ではパワーは大きく
上がってもスピードが殺されてしまうのだ。せっかくのパワーも当たらなければ意味は
ない。それにその身体はエネルギーの消費が激しすぎるのだよ。」
ルシェンクス「た、確かにそのとおりだ。なんてマヌケだったんだ私は・・・。」
グラセル「がっかりさせおって。」
ルシェンクス「・・・殺せ。完全に勝機はなくなったわ・・・。」
グラセル「・・・そうさせてもらおうか。だがその前に一つ聞きたい。お前、一体この短期間の
間にどうやってそこまで強くなった？」
ルシェンクス「・・・・・・・」
グラセル「答えたくないというわけか。なら質問を変えよう。時間があれば更なるパワーアップも
可能か？」
ルシェンクス「・・・？知るか、やってみなけりゃわからないわよ。だが少なくともファルさんなら
お前を絶対に倒せるはずだ。後一日もあれば間違いなくファルさんはお前を越える！」
グラセル「いい答えだ・・・。ならばお前達のために一日待ってやろう。せいぜい強くなる事だ。」
ルシェンクス「な、なんですって。お前、一体何を考えているの？」
グラセル「別に、私は自らの力を確認するために強者と戦いたいだけだ。それに強い奴と戦う事に
よって私の力をさらにアップする事が出来るかもしれんしな。それではせいぜい明日
までに強くなる事だな。」
グラセルはそう言い残しこの場を後にした。
ルシェンクスは呆然としていたが、ファルとルイの元へ事の次第を伝えに戻った。
ルシェンクス「・・ただいま戻りました。」
ファル「ルシェンクス、よかった無事だったのね！」
ルシェンクス「ファ、ファルさん、もう身体の方はいいんですか？」
ファル「えぇ、もう大丈夫よ。あなたが特効薬を持ってきてくれたおかげよ。それはさておき
ルイからこれまでの事は聞いたわ。グラセルはどうなったの？」
ルシェンクス「・・・・・・というわけです。」
ファル「ふぅん、ずいぶんな自信家なのねそのグラセルさんは。」
ルイ「お母さん、僕達も精神と時の部屋で修行しましょう。」
ファル「えぇ、最初からそのつもりよ。ルシェンクスも一緒に来るわよね？」
ルシェンクス「え、私もご一緒していいのですか？」
ファル（ルイには聞こえないように）「当たり前じゃない、あなただって私の血を引いているのよ。
家族も同然よ。」
ルシェンクス「あはは・・ありがとうございます。」
ファル「スレイ聞こえてるわよね？というわけで３人一緒に精神と時の部屋に入りたいんだけど
大丈夫かしら？」
スレイ「もちろんだ。なんてったってオレはルツを越えちまったんだからな。はははは！」
こうしてファル達３人は精神と時の部屋に入っていった。
そして翌日、ニューマン親子三代の最後の戦いが始まる。
その５ 終わり
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