ＰＳ・マグナ・ドゥヘル II
第一話
邪神という存在が消滅してから１２００年人々は平和に暮らしていた。
といっても、一部の権力や金持ちだけの話であって一般人はバイオモンスターと呼ばれる魔物におびや
かされつつも生き長らえてきた。
それは一重にハンターという存在のためかもしれない。
ハンターはモンスターを狩る狩猟者のようなものから遺跡荒らしまでいろいろいるが、とりあえずモン
スターハンターがいたからこそ人々は平和な生活をしていられるのかもしれなかった。
そして、村や町になると自前のハンター集団を持っていたりもして自衛能力はそれぞれの町に常備され
ているため、もしモンスターが町の中に入り込んだとしてもこの自衛用のハンターで迎撃していた。
ハンターという職業はそれだけでも十分な報酬を得られるようになっていた。
モタビアンにしてハンターのカイナスは今は一人で行動しているが普段は７人でパーティーを組んでい
た。
リーダーのアイガイド・ガーツからの命令でマグナドゥヘルの探索を言い渡されていた一人で最近落ち
た隕石へと向かったのだった。
人数が少ないので一人でも大丈夫そうな者ということでカイナスが一人で行く事になった。
他のメンバーは別命で動いていた為居なかったせいでもある。
ちなみにカイナスが隕石の中で何があったかは外伝Tを参照のこと。
そして、戻って来る最中にバイオモンスターとの戦闘で武器を破壊されていた。
もともと長い間使ってきていた物なので亀裂が入っていた。
だから壊れたのだが・・・カイナスの使い方にも問題があった。
斧で切るのではなく叩くという使い方だからかもしれない。
それはともかく武器を失い逃げ回りながらもテルミにある家へと戻ってきた。
「それで、マグナドゥヘルは何処に？」
「ホークというハンターに預けたよ。」
リーダーに状況を説明してようやく納得してもらったもののジェイドを回収していない事は少し痛手だ
ったらしい。
「接近戦用のマグナドゥヘル・・・ジェイドが無いとは・・・。」
「でも、遠距離戦用のジャムルがあるじゃないか。」
「あれは、まだ使えん。武器がないしな・・・。」
彼等はすでにジャムルを回収していて実戦に使えるように訓練させつづけていた。
ただ、武器がないためとりあえず剣をもたせているのだがうまくつかいこなせないようだった。
あとは、他のメンバーの吉報を待つ事ぐらいしかやることがなかった。
カイナスは新らしい武器を買いに出ていてアイガイドは一人で家にいた。
とても暇だった。
カイナスという話相手もいないし家を空けるわけにはいかないし、武器の手入れもしあきたので本当に
暇だった。
しょうがないので戦闘練習でもしようかと剣に手を伸ばすと同時に扉が開いた。
「ま・・・待ってくれリーダー！俺だ！バフォグ・ソーンだ！敵じゃない！！！」
何を勘違いしたのかバフォグはアルガイドが剣に手を伸ばしているのを見て攻撃されると思った。
「え・・・あ・・あぁ、お前か・・・で、結果はどうだった？」
「あ、はい。全員無事です。地上移動要塞は発見しましたが動かせる状況になかったので他の奴等で動
かせるようにしています。そして、俺はその報告の為に戻りました。」
「そうか。」
「リーダー・・・剣を置いてくれ。」
「あ・・・すまん。」
本当は素振りでもしようかと取った剣なのだがこの状況では素振りも出来ないと判断し素直に武器を置
く事にした。
カイナスが帰ってきたところで３人は地上移動要塞の所へと来た。
地上移動要塞とは正確にはホバー型装甲車なのだが、彼等には他の言い方がなかったためにそう呼んで
いた。
装甲車は”ランドマスター”より５倍くらいの大きさで、居住区などは無いが部屋がいくつか用意され
ていて機械兵整備用の部屋とかもある。砲座も結構あるのだが、それらは全てコクピットの方で操作で
きるようになっている為あまり意味は無い。
「あ、リーダー。以外に早かったですね。」
コクピットに入ると操縦方法を調べていた、シーン・マグラードがこっちに気づいた。
「動きそうか？」
「えぇ。保存状態も結構いいですし・・・あと２日くらいあれば動きそうですよ。」
「１０分でやってくれ。」
「無理です。」
「おぃ、リーダーそれは無茶ってもんだぜ。」
「言ってみたかっただけだ。」
「「・・・・・・。」」
しばらく沈黙が続いたがシーンは無視して作業に戻った。
バフォグもここに居てもする事がないので他のところへいってしまった。
ただ、アイガイドだけがその場で硬直していた。
−言うんじゃなかった。
と、思いつつ。
カイナスがコクピットに来たときにようやくアイガイドも動きだした。
「カイナスか。後はまかせた。俺はお前を信じている。」
それだけ言ってアイガイドは何処かへ行ってしまった。
「・・・・・・・・・何をやれって？」
カイナスはシーンに振ってみたが無視された。
アイガイドは動力炉へと来ていた。
動力炉にはジャムルとガーラン・ダースとガルゼス・ダイグナが居た。
二人ともアイガイドが来た事に気づいてないのか・・・それとも無視しているのか何の反応もなくただ
黙々と作業をしていた。
「どうだ？調子は。」
「「「・・・・・・・・。」」」
沈黙に耐えられずに二人に話し掛けたのだが何の反応もなかった。
「おい・・・・聞いてるのか？」
「「「・・・・・・・・。」」」
どうやら、聞いていないようだった。
アイガイドは近づいてガーランの肩をゆすってみた。
「・・・・・・・・あ。」
「どうだ？調子は。」
今度は気づいただろうから再び声をかけてみた。
ガーランの肩が震えているのだが、アイガイドは気づいていない。
「順調だったさ・・・・アルガイドが肩をゆするまではね。」
ガーランの手元が狂って関係無いところに傷をつけてしまったらしい。
アイガイドは流石にやばいと思ったらしく突然考えだした。
これからどうするかと・・・。
「あれ？何かあったのかい？」
カイナスが動力炉へとやってきたと同時にアイガイドが出口に向かって歩き出した。
カイナスとすれ違いざまに肩に手を置いて、
「・・・後はまかせた。俺はお前を信じている。」
と言って、何処かへ行ってしまった。
「一体、何をまかせたって・・・・・・・。」
カイナスはガーランが指を指しているところをみて理解した。
−これを修理しろってこと？
逃げようかと思ったけどそれでは何の解決にならなかったので素直に修理を手伝い始めた。
「ちくしょう・・・・・。」
「・・・・・・タイミングが悪かったな。」
再び黙々と使えるように作業をはじめた。
ジャムルとガルゼスはこの一連のことを全て無視していた。
居なくなったわけでも忘れていたわけでもない。
アイガイドは何処へ行っても邪魔になった。
「片腕で手伝いたいという気持ちはわかるけど邪魔になるからどっかいってて。」
何処へ行ってもそう言われた。
アイガイドにしてみればただ、暇だから何かをしたかっただけなのだが。
これで、また暇になった。
また剣に手を伸ばして素振りをし始めた。
すると剣が手から抜けて壁に突き刺さった。
そのすぐ横にはバフォグがたっていた。
「り・・・・りぃだぁ・・・・俺に恨みでもあるのかよ。」
「い・・・いや・・・・無いけど。」
「出来もしない事をしないでくれ。」
アイガイドは機械知識も技術はあるのだが武器はどれを使っても駄目だった。
それは利き腕・・・右腕が無いために武器をうまく扱えないのだ。
では、なぜリーダーをやっているかというと唯一高等テクニックを使えるからというのとマグナドゥヘ
ルについて一番詳しいからということだった。
アイガイドは一度だけガルデュークと会った事があった。
ガルデュークはアイガイドの高等テクニックを操る騎士という所に興味があってアイガイドの前に現わ
れたのだがハルソーフの妨害により立ち去った。
ハルソーフが何者かは外伝Uを参照のこと。
アイガイドは伝承が本当だったと確信してマグナドゥヘルについて調べはじめた。
当時アルガイドは一人で旅をしていた。
一人では辛いだろうかと仲間を探したのだが誰もアルガイドの言う事を信用しなかった。
そのため一人でやるしかなく、右腕を失いつつもジャムルを復活させた。
別に放っておいてもマグナドゥヘルは復活するのだが復活までは時間がかかるため人為的に強制起動す
る必要があった。
そして、復活させたマグナドゥヘル−ジャムルを見てアルガイドの言う事を信用した連中が今の彼のパ
ーティーのメンバーである。
アルガイドは利き腕を失った為戦闘に参加できなくなっていた。
だが、左腕だけで武器を使えるようにいろいろとやってきてはいたのだが全てが無駄に終わった。
結局テクニック以外は全てが駄目なリーダーとしての生活をしていた。
「あ、リーダーこんなところにいたの？探したじゃない。」
こんなところとは、装甲車の上で一人で座ってただボーっとしていた。
「シーンか・・・どうした？」
「一応、動くようにはなりました。」
「一応？」
「まだ、武器とかの使い方が・・・ちょっと・・・。」
「そうか。」
アルガイドはとりあえず、立ちあがりシーンと共にコクピットへ行った。
アルガイドがコクピットへ入ったと同時にガーランが喋り出した。
「お、アルガイド・・・・実はまだ問題が一つあるんだが・・・。」
「なんだ？」
「問題・・・って、動くようにはしたはずじゃ・・・。」
シーンは急いで何かを調べ始めた。
「いや、何処も変な所はないって。」
カイナスがシーンを止めた。
「じゃぁ、問題って・・・何？」
「こいつの名前だ。」
それで、全員納得した。
とりあえずリーダーに名前をつけてもらう事になった。
この装甲車の本来の名前がわからないため仮に名前をつけることにした。
そうしなければこの装甲車を呼ぶときに不便だからである。
「なら・・・ガグナードってのはどうだ？」
「意味は？」
「無い。」
「期待した俺が馬鹿だった・・・。」
「いいじゃないか！」
「・・・私はなんでもいいけどね。」
「じゃぁ、決定だ！」
そういうことで、この装甲車の名前はガグナードと言う事になった。
早速試運転をしてみることにした。
ゆっくりとだが・・・確実に前に進んでいた。
時速１０kといったところだが、次第に速度も上がってきて時速６０kぐらいまで加速した。。
「なんか、変な感じだな。」
「そうだね。」
「なぁ、一つ疑問に思ったんだが・・・・どうやって止めるんだこれ。」
「えっ・・・？」
誰も止め方は知らなかった。
動かす事で頭がいっぱいになっていたのだろう。
結果・・・そのまま燃料が尽きるまでしばらく走りつづけた。
続く
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