ＰＳ・マグナ・ドゥヘル 外伝I
前編 出会い
これは、ホークとジェイドが出会う時の話である・・・。
ホークは今日も手軽な仕事をしていた。この付近で彼の障害になるようなモンスターはいないという程
の力をもっていた。その事もあってかホークは常に色々な仕事を掛け持ちで行っていた。依頼人の方も
『ホークに任せておけば確実に仕事をこなせる』と思ってい、ホークに仕事を依頼して来る。ホークの
ほうも悪い気はしないらしく喜んで引き受けていた。そして、数年の月日が流れた・・・。
突然モンスターのレベルが上がるという問題が発生した。原因は不明。ハンター達も対応しようと必死
になっていたがそのほとんどが志半ばに朽ち果てていった。だが、ホークは元が強かったのでたいした
問題にはならなかったものの敵の数が多くなると苦戦をしてしまう事もあった。
ホークがモンスターに苦戦しなくなるほど強くなった時の事・・・。空から隕石が降ってきた。
隕石はハンター達にとってはお宝の山とされていた。隕石には入り口があって内部に入れるようになっ
ていた。内部にはそれこそ見たことも無いお宝が沢山眠っている。だが、この隕石の内部には鉄ででき
た兵隊達がいて、侵入者達を排除しに来るのである。そのためハンター達は腕試しも兼ねて我こそはと
思うもののみが隕石に入っていくという事になっていた。だが、今回の隕石は今までの物より少々厄介
だった。・・・それは内部にいる鉄の兵隊が妙に強いということだ。そのせいで、入り口付近にはハン
ター達の死体の山が築き上げられていた。
この隕石という物のは実際には石ではなく、金属で出来ているのだが大気に燃やされて黒く焦げ付いて
しまい、その物体がなんなのかわからないので隕石と称しているだけなのだが・・・。
ホークも当然自分の腕に自信があったため隕石に入る事にしたのだった。早速、武装を整え道具も取り
揃えてまさに準備万端といった状態で隕石に入っていった。
「おい・・・マジかよ・・・。」
ホークは入り口付近に倒れている同業者・・・ハンター達の骸を見て俺もこうならないようにしないと
思い気を引き締めておいた。奥に進むに連れてハンター達の死体の数はどんどんと減っていった。こう
してみると、何処まで奥まで進入したのかがわかりやすいほどだった。当然この時もホークは機械兵達
と交戦し続けていた。特に苦戦もしないが１回戦闘するたびに相当の体力を削られていた。次第に体力
も付き初めていた。さすがに疲れたのかその辺に座り休むことにした。すると奥から少し変わった機械
兵が出てきた。ホークはその機械兵には気がづいてはいたなかった。
「侵入者ヲ発見・・・コレヨリ排除シマス。」
機械兵はアサルトライフルを構えてホークに狙いをさだめた。ホークはふと、周りの空気の異変に気づ
いた。と、同時に機械兵はホークにアサルトライフルを撃った。最初の数十発はホークの頭があったと
ころを撃ち抜いていた。
「危ねぇ・・・気づくのがもう少し遅かったら・・・。」
機械兵が再びホークにアサルトライフルを掃射しはじめた。ホークは最初、盾で受けていたが次第に腕
がしびれてきて盾を落としてしまった。ホークも盾を落とすとは思っていなかったらしく一瞬動きが止
まった。”殺られる！”ホークは死を覚悟した・・・。が、しかし機械兵の方も弾が尽きたらしくリロ
ードをしている最中だった。ホークには相手が何をしているのかさっぱりわからなかったが、この隙に
機械兵を攻撃することにした。一気に間合いを詰めて機械兵に剣を振り下ろした。ホークの手に妙な手
応えが残った。その違和感を確かめようと手元から剣を見てみると、剣は途中で折れていた。折れた先
の方は機械兵の肩口に刺さったままになっていた。
「ま・・・マジかよ・・・・。」
機械兵がホークの腹部に強力な蹴りを撃ちこんだ。ホークは後ろに吹っ飛ばされて壁に激突して悶絶し
はじめた。そこを狙って機械兵がアサルトライフルを掃射し始める。最初の２０発くらいは鎧のおかげ
で防げたがそこから後は・・・。
「ま、マジィ！？」
さすがにこれ以上はやばいと思ったらしくホークは転がりながら銃弾が届かない物陰に隠れた。最初は
その物陰がなんなのかわからなかったが、冷静に見てみるとその物陰はハンターの死体だった・・・。
「俺も・・・こんな風になっちまうのか・・・。」
もう、逃げ道が無いのでここで全てをあきらめようと思った。だが・・・その死体をよく見てみると手
に”迷いのオカリナ”を持っていた。
「そうか・・・逃げようとして、アイツに・・・・。」
ホークはこの名も知らないハンターの助けを借りて、脱出に成功した。
「あんなのが居るのか・・・あの隕石には・・・。」
ホークは一人で乗り込むの事の危険と感じ、誰か仲間を連れていくことにしたのだった。
だが、隕石の中と聞いただけでみんな逃げ出してしまう始末でホークはまた一人で行こうかとも思うく
らいだった。いっそのことだましてでも連れていってとも考えたが自分と同等かそれ以上の力を持って
いなくては意味がなかった。足手まといを仲間にしても・・・という事だ。どうしようもないのでホー
クはまた一人で行くしかないと決意して再び隕石に向かった。当然、今度は前回よりも準備は入念に行
っておいたというのは言うまでもない。
ホークは再び隕石の前に立っていた。もう、何十分もここに立っていた。ホークはこの隕石に入る人を
待っていた。その人と協力してこの隕石を攻略しようと思ったのだ。これだと、待っているだけで向こ
うから同士が見つかるのでこの手を使った・・・のだが。
「待っているっていうのも、なかなか暇だなぁ・・・。」
いつ来るとも知れない奴を待っているだけに精神的にも疲れ始めていた。なぜ、そこまでしてこの隕石
にこだわる？と聞かれてもホークにはなぜ自分がこの隕石にこだわっているのかわからなかった・・。
自分でもこんな危険な事をやらなくても仕事は十分にあるんだし、なんでこの隕石にこだわるんだろう
と思い何度も自分に問い掛けてみたが、その答えは見つからなかった。案外、実はこの隕石の最深部へ
行ってみたいという好奇心に駆られているだけなのかもしれないし、自分を追い詰めたあの機械兵にリ
ベンジしたいだけかもしれない。やがて、日も暮れて夜になりはじめたときの頃。
「あんた、こんな所でなにやってるんだ？」
”このまま寝ようか”とか思った時に突然声をかけられた。ホークはやっと誰かきたと喜んでその声の
主を見てみた。ホークは目の前に居るのがなんなのかよくわからなかった。それは自分よりも頭二個分
くらい背が低くフードを深くかぶって顔を隠していたが顎のあたりはなんとか見えていた。その見えて
いた部分を見てホークはコレがなんなのか理解しようとしていたが、結局わからなかった。しばらく考
え込んでいるホークを見てその人（？）はホークが何を考えているのを悟った。
「おまえ、おいらがなんなのか判ってないようだな。」
「あ・・・あぁ・・・。」
ホークはつい、勢いで正直に言ってしまった。それを聞いて相手はやっぱり・・・というような仕草を
して見せた。ホークは少し申し訳無かったかな？とか思った。その人は自分の顔を隠していたフードを
取ってホークに顔を見せてきた。その顔を見てホークはようやく相手がどういう生き物なのかが判った
がそれがなんでココに居るのかが気になった。
「な・・・なぁ、なんでココに？」
「隕石に入るために決まってるじゃないか。」
”それ以外の理由でココに来る訳もないか・・・。”ホークはとりあえず、ソレが同士であるというこ
とを確信した。
「でも、はじめて見たな・・・モタビアンなんて・・・。」
「おいらも、ぱるま人をはじめて見たぞ。」
「ま・・・まぁ、それは置いといて・・・この隕石に入るんだろ？だったら一緒に行かないか？」
「・・・・・・・。」
そのモタビアンはしばらく考え込んだ。
「まぁ、いいけど・・・条件があるよ。」
「条件？」
その条件とはこの隕石で手に入れたものは山分け・・・もしくは生き残ったほうが全てを頂くという事
だった。どの道ホークは隕石のお宝よりも仲間がほしかったのでこの条件を飲む事しにた。
しばらく奥に進んでからホークはふと思った事があった。それは・・・。
「なぁ、お前・・・名前はなんて言うんだ？」
「ん？人に名を尋ねるときはまず自分から名乗るもんだぞ？」
「・・・ホークだ。」
「おいらはカイナスっていうんだ。」
とりあえず、遅くなったが自己紹介を終えた二人はさらに奥を目指して歩き出した。その間にも機械兵
達との侵攻があったのだがほとんどカイナスの斧で両断されていった。それ以外は逃がしたかホークが
倒したか・・・のどちらかだった。やがて前にホークが死にかけたところまでやってきた。やはり奥か
ら例の奴が歩いてきた。まさに、死刑執行人が来るという雰囲気があたりにあただよった。一瞬カイナ
スは恐怖からか・・・疲れたのか・・・知らないが立ち止まった。が、ホークは足を止めずにその足音
に向けて歩いていった。カイナスの本能はレッドシグナルを発していて、どういうわけか逃げなくては
と思ってしまっていたが、ホークはまっすぐ歩いていくので仕方なしにその後をついていった。
「な・・・なぁ、ホーク・・・アレはちょっとやばいぞ。」
「知ってる・・・一度アイツに殺されかけてるからな。」
「・・・そ、そうか。」
カイナスは一応いつでも逃げられるように身構えつつもホークの跡をついていった。
「・・・奴が居ない！？」
「上だ！！」
カイナスが叫ぶと同時に上から銃弾の雨が降りはじめた。二人はとっさに飛びのいてこれを交わしてい
た。上から機械兵が落ちてきて戦闘態勢に入ったがそれよりも先に戦闘態勢に入っていたホークが攻撃
をしかけた。その斬撃は装甲を傷つけるだけで終わるが機械兵の注意をホークに向けさせることには成
功した。後ろからカイナスが攻撃した。これは流石に効いたらしくよろめいく機械兵。
「・・・・です・・・あーまー？？？」
カイナスは機械兵の背中に書いてあった文字をそのまま読んでみた。特に意味はないのだが思わず読ん
でしまったのだ。その間に機械兵は振り向きざまにカイナスをアサルトライフルで殴った。その衝撃で
転んだカイナスに近づいて銃口を突きつけた。そこを後ろからホークが攻撃した。今度はさっきと違う
武器・・・槍で機械兵を突いた。全体重をかけていた事もあって槍は機械兵を貫いていた。
「やったか！！！」
ホークは勝利を確信していた。が、機械兵はまだ動いていた。どうやらまだ死に切れなかったらしい。
そして機械兵の上半身が回転をはじめてそのままアサルトライフルを乱射し全方位攻撃をはじめた。
あたり一面に銃弾が飛びまわりホーク達も盾で防御をはじめた。上半身のみが回転しているからしゃが
んでいれば当たらない・・・のだが、次第に弾が兆弾しはじめて文字通り当たり一面を飛び交う鉛弾で
あった。背中を壁につけていなくてはいつ跳弾で背中をやられるかわからないのだが、ホークは跳弾し
ていることにまったく気づいていなかった。カイナスは多少その手の知識があるのか壁に背をつけよう
と動いていた。すると、背中に何かがあたった。壁・・・というには柔らかいものだった。
「なんだ・・・・ってほーくか！！！」
「すまん・・・盾落としたんだ。盾になってくれ。」
ホークはまた、手がしびれて盾を落としていたのだ。カイナスとは向かい側に居たはずのホークはいつ
のまにか無傷でカイナスの後ろに立っているという事にカイナスは疑問に思いだした・・・。
「なぁ、ほーく。いつの間に後ろに回り込んだんだ？」
「全弾見切ってかわしてたんだよ。」
嘘のようにも聞こえるがそれ以外にホークがカイナスの後ろに回り込めるはずは無かったので実験して
みることにた。カイナスは空いている手でホークを突き出してみた。ホークは「何するんだ！」といっ
て結構怒っていたけど実際に全弾見切ったように動いていた。そして、再びカイナスの後ろへ行こうか
と思ったとき銃弾の雨が止まった。どうやら、弾が尽きたらしい。上半身の回転もだんだん弱くなって
いってじきに止まった。そして、リロードを始める。
「いい加減にしてくれ・・・。」
先程ホークが刺した槍のせいで下半身が動かなくなったらしく、上半身のみがずっと動きつづけている
ところにホークが剣で攻撃をし始めるがたいしたダメージは与えられなかった。
「プロセダン！」
横から光が飛んできた。これは、カイナスが放ったものらしかった。プロセダンの光は機械兵をつつみ
こみ・・・消えた。どうやら失敗したようだ。だが、再びカイナスはプロセダンを放ちつづける。次の
全方位攻撃が始まる前に仕留めなくてはならなかった。ホークが邪魔らしく思うようにアサルトライフ
ルのリロードを出来ないでいた。だからといって、ホークを殴り倒す気はないらしい・・・のではなく
殴り倒せなかった。一応、ホークに手を出してはいるものの下半身が動かないし、上半身も思うように
動かないせいかホークにかわされているのだっだ。そんな事をしばらくやっているうちにプロセダンが
効いたのかホークの攻撃が効いたのかよくわからないが、機械兵はバラバラになった。
「やっと終わったな・・・。」
「ふぅ・・・・。」
二人は最深部にきていた。最高のお宝はやはり最深部に有リという事らしい。そこにはいろいろな機械
が沢山おいてあった。ホークの目にはただ鉄の塊が沢山落ちているだけにしかみえなかったが、カイナ
スにはそれが、何かを保存する機械だということはわかった。と、ホークが突然適当に機械を触り始め
た。カイナスはそれに気づかずに機械の一部を調べていた。
「データヲ デリートシマス ヨロシイデスカ Ｙ/Ｎ。」
そんな声が聞こえた。カイナスが驚いて辺りを見回すとホークが機械を触っているのに気がついた。
「でりーと・・・ってなんだ？とりあえず・・・Ｙと。」
「待てぇーーー！！！！」
カイナスが思いきり叫んでみたがもう遅かった・・・。すでに「データヲ デリートシマシタ。」とい
う声が聞こえた。カイナスはしばらく硬直していたがなおもホークが機械を触っているのでとりあえず
止めさせた。それから、ホークを縄で縛っておいてカイナスが機械を調べているとデータが消えたのは
一部の機械のみということがわかった。残りの機械をいじっていると機械の一部分が開いて中から機械
兵が出てきた。思わず身構えるカイナス。身動きが取れないのでとりあえず死んだ振りをするホーク。
だが、その機械兵はいつまでたっても何もしてこなかった。
「ここは・・・・・・何処だ・・・・・？」
二人は警戒しつつもその機械兵に近づいてみた。相変わらず機械兵は何の反応もしなかった。無視して
いるのか気がついていないのかはわからないが・・・。
「俺ノ・・・・名前ハ・・・・・・ジェイド・・・・・。」
ここで、カイナスは機械兵−ジェイドが喋っている事に気がついた。通常の機械兵は感情を持たずただ
命令されたことを忠実に行うだけの人形のはずだった。しかし、ジェイドと名乗った機械兵は喋った。
カイナスは何かを考えてホークの背中を押してジェイドに近づけてみた。ジェイドは特に興味を示さず
独り言をつぶやきつづけていた。ホークは当然のようにカイナスに怒るが無視してジェイドに話しかけ
た。
「お前はここで何をしているんだい？」
「・・・・・・ワカラナイ・・・・・・名前以外ハ、何モ思イ出セナイ・・・。」
どうやら機械なのに記憶喪失らしかった。カイナスは先程ホークがデリートしたデータについて調べて
みることにした。ホークがまた何かをやろうとしていたから再び縄で縛られて地面に転がっているが、
それは別にいい。調べた結果、ジェイドに関するデータが消去していた。作られた目的や、武装などに
関していくら探しても見つからないのでそう判断した。
「まぁ、とりあえず”お宝”も手にいれたことだしそろそろ帰らないか？」
「そうだね。」
二人はココにこれ以上いてもやることがなかったので、帰ることにしたのだが・・・。ホークがここに
来るときに買っておいたアイテムは全てさっきの戦闘で大破していて使用不能となっていた。カイナス
は迷いのオカリナの買い置きが無くなってたのに気がつかなかったとかで、結局歩いて出る事になった
のだった。部屋を出ようとするとジェイドがこれからどうしたらいいか聞いてきたのでとりあえず、ホ
ーク達と共に行くということで落ち着いた。
続く・・・。
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