目を覚ますと、ジェイドをジナグルが戦っていた。
ジェイドは結構やられているがジナグルは無傷だった。
一撃で仕留めなければ勝ち目はない・・・か。
一体、どうすれば・・・。
そういえば・・・依頼人の姿が見えないが、何処に行ったんだろう？
その辺で気絶していると思ったんだけど・・・。
依頼人「プロセダン！」
依頼人はいつのまにかジナグルの後ろに非難していた。
依頼人の手から光が放たれた。
ジナグル「・・・！？」
光はジナグルの右腕に当たった。
ジナグルの右腕が文字どうりバラバラになっていった。
ジナグル「くっ・・・リカバー！」
すぐに元に戻る右腕。
依頼人「はずしたか！・・・ならば、もう1発！」
再び、光を放つ依頼人。
ジナグル「バリアフィールド！」
ジナグルの前に壁のようなものが現れた・・・ような気がした。
光は壁のようなものに当たって消えてしまった。
ジナグル「危ないじゃないですか。」
依頼人「そんな事もできるのか！？」
ジェイド「ハンドキャノン！」
光弾を放ったが、かわされる。
その間に俺もジナグルに接近していた。
ホーク「くらえ！」
俺の斬撃を受けてジナグルはバランスを崩した。
依頼人「プロセダン！」
また、壁のようなものにあたって消えた。
タイミングは良いんだが・・・あの壁のようなものを何とかしないとな・・・。
ジェイド「ホーク、大丈夫か？」
いつのまにか俺の側までジェイドが来ていた。
ホーク「なんとかな。」
ジェイド「さて、どうする？」
ホーク「もうちょっと、やってみるか。」
ジェイド「そうだな。」
俺が、ジナグルに接近するとジェイドは攻撃できなくなるし・・・ここは、俺も遠距離に徹するとしようか。
ホーク「ザン」
俺の手から風の刃が飛んだ。
風の刃はジナグルにあたる前に消えた。
やはり、駄目か！
ジェイド「ホーク。他のテクニックは使えないのか？」
ホーク「あぁ、使えない。俺にはザン以外のテクニックはレスタくらいしか使えないぞ。」
レスタというのは、回復系のテクニックで気持ち程度の回復しか望めない。
ギレスタくらいだと結構役にたつんだが・・・。
ホーク「そういえば、ジェイド。お前は『リカバー』とかいうのは使えないのか？」
ジェイド「さぁ？俺のメモリーにはないようだが？」
メモリーとは、記憶の事だそうだ。
ホーク「記憶喪失だからあたりまえだろう・・・。」
ちなみに、この間はずっと依頼人とジナグルが戦っていたりする。
ジェイド「じゃぁ、ちょっとやってみるか。」
ホーク「ジナグルも結構やるな。」
ジェイド「ところであの、依頼人なんなんだ？敵のようだったが・・・いきなり加勢してくれたぞ？」
ホーク「さぁな・・・ジナグルを倒せば次は俺達かもしれないぞ？」
ジェイド「一応警戒しておくか。」
ホーク「そうだな。」
依頼人「貴様ら！手を貸せ！」
いいかげん、辛くなってきたのか依頼人が怒声をあげてきた。
しかたない・・・俺も戦うか・・・。
気持ち程度でも傷を治しておくためにレスタを自分にかけてからジナグルに接近した。
ホーク「ソードクロス！」
ソードクロスとは、ひらたく言うと十文字切りのことだ。
ジナグルの体に切りかかった・・・が！
依頼人が『プロセダン』とかいうやつをジナグルにはなった。
・・・俺を巻き込んで。
俺の体がバラバラになって・・・・・いかないぞ？
依頼人「ははは、プロセダンは生物にはただの光でしかないんだぜ？」
俺が不思議そうにしているのを見てそういってきた。
なんだ・・・そうだったのか・・・。
光は俺にあたって消えていてジナグルまで届いていなかったようだ。
ジェイド「お前・・・それ以外のテクニックは何が出来る？」
依頼人「はて？」
とぼけやがった。
手の内を見せないつもりか。
・・・まぁ、いいや。
ジナグル「仲間割れですか？」
ホーク「こいつとは仲間じゃない！」
依頼人「冷たい事いうなよな。」
俺は、気を取り直して再びジナグルに向き直った。
ジェイド「ショートレンジキャノン」
これは、ジェイドキャノンをジェイド一人で撃つというものなのだがジェイドキャノンより威力は落ちる。
光の弾はジナグルの左足を吹き飛ばした。
ジナグル「リカバー！」
リカバーをした直後にジナグルは宙に浮いた。
なにをする気だ？
ジナグル「そろそろ、リカバーも出来なくなりますのでこれで失礼させてもらいますよ。」
ホーク「・・・どういう意味だ？」
ジナグル「そのままの意味です。」
依頼人「させるか！プロセダン」
光は届く前に『何か』にあたって消えた。
ジナグル「あなたには、学習能力はないんですか？」
依頼人「・・・。」
ジナグル「それでは、ごきげんよう。またいつかお会いしましょう。」
そう言うとジナグルは何処かに飛んでいってしまった。
ホーク「勝ったって事だな。」
ジェイド「らしいな。」
ホーク「さて、こいつはどうする？」
『こいつ』というのはもちろん依頼人の事である。
ジェイド「さて・・・どうするか。」
依頼人「ちょっと待て！俺はあんた達の能力を試したかっただけだ！ちょっと邪魔が入ったが・・・。」
ジェイド「・・・とか、言ってるけど？」
依頼人「本当だ！あんた達にさっき奴を倒せるか試したかったんだ！」
ホーク「それよりも、報酬はあるんだろうな・・・。」
依頼人「え・・・・？」
ジェイド「・・・まさか。」
依頼人「リューカー」
リューカーとは街へ瞬間移動するテクニックで、似たようなもので『ヒーナス』というものがある。
ヒーナスはダンジョンの入り口へと瞬間移動するテクニックの事だ。
この２つのテクニックは一度行った所へしか飛べないのだが結構便利なテクニックだ。
使えない人の為に『旅のオカリナ』と『迷いのオカリナ』とかもある。
旅のオカリナはリューカー、迷いのオカリナはヒーナスのかわりに出来る。
消耗品なので大量に持ち歩かなければならないし、かさばるので俺達は持って歩かないのだが・・・。
1個くらい持っておけば、よかったな。
・・・といっても、依頼人が何処へ逃げたかなんてわからない。
ジェイド「・・・無報酬。タダ働き。依頼人に逃げられる。」
ホーク「最高だな・・・。」
俺達はとりあえず、アイードの宿屋へと戻る事にした。
・・・数日後。
俺は今、ケーキ家にいた。
なぜかって？
俺にもわからない・・・。
フラフラっと来てしまった。
２８０メセタのケーキを1個買って帰る事にした。
ジェイド「なんで、こんなの買ってくるんだ？」
ホーク「・・・聞くな。」
ジェイド「残りは？」
ホーク「２０メセタ。」
ジェイド「・・・。」
ホーク「・・・。」
カタリナ「依頼は何もありませんが？」
こんな時に限って依頼は何もないなんて・・・。
ホーク「本当に何もないのか？」
カタリナ「あるには、あるんですが・・・。」
ホーク「よし、ならそれをやる。」
カタリナ「い・・・いいんですか？」
ホーク「かまわん。」
ジェイド「で、川の掃除か。」
ホーク「まぁ、報酬があるだけマシだろ？」
ジェイド「まぁ、そうだけど・・・ハンターのやる仕事じゃないな。」
ホーク「・・・。」
ジェイド「それと、俺は水は駄目だから一人でやれよ。」
ホーク「なに！？お前・・・泳げないのか？」
ジェイド「泳げる泳げない以前の問題だ。俺の体重を考えろ！」
ホーク「・・・納得。でも、浅い所なら問題ないだろ？」
ジェイド「俺は、散歩にでも行く。やるなら一人でやれ。」
そういうとジェイドは部屋から出ていった。
俺は、一人部屋に残り最後の食料・・・ケーキを食べていた。
ジェイドはこういうのは食べれないそうだ。
ホーク「このケーキ、おいしいな・・・。」
俺は、早速川に入って掃除を始めた。
大体・・・太陽が真上に来たときの事だった。
ホーク「つかれた・・・。」
一休みして周りを見てみたら・・・一緒に掃除をしていた団体がいなくなっていた。
離れすぎたかな？とも思ったがどうやらそういうわけでもないらしい。
さらに、気づいた事がある。
水賊「貴様！無視するのもいいかげんにしろ！！！」
まわりに、賊がいたのだった。
なるほど、だからみんな逃げたんだな。
・・・なんで、もっと早く気づかなかったんだ？
ちなみに、水賊というのは水辺に出没する賊のこと。
もう１つ気づいた事があった。
俺は、武器を持ってきてないのだ。
掃除に邪魔だろうなって思って置いてきたのだ。
一応、護身用短剣はもってきてはいるが・・・相手の数が多すぎる。
ホーク「ちょっと、数が多いかな？」
俺は短剣を手にもってどうするかを考えていた。
その間にも水賊は攻めてきていた。
俺は、短剣で応戦しつつ退路を作っていた。
ホーク「駄目だ・・・数が多すぎる。」
水賊「おとなしく、あきらめたらどうだ！」
ホーク「なら、俺の最高の技を見せてやる！」
水賊「なにぃ！？」
ホーク「フォイエ！」
俺は、つい最近覚えたテクニック・・・フォイエを使った。
フォイエは火の玉を出すテクニックであまり役には立たない。
火の玉は水面に当たり水蒸気を撒き散らした。
水賊「こんなもの、目くらましにしかなってないぞ！」
俺は、その隙に逃げていた。
しかし、何処へ行っても賊がいるな・・・。
どうやって、帰ろうかな・・・。
旅のオカリナを持っていればなぁ・・・。
無い物をどうこう言っても仕方ない。
俺は、物陰に隠れながらいろいろと考えているうちに・・・寝てしまったのだった。
疲れていたし・・・天気もいいし昼寝には最適の環境ってやつだ。
目が覚めたのは夜になってからだった。
ホーク「夜か・・・。」
賊も少なくなったので俺は意外と簡単に帰る事ができた。
カタリナ「これが、報酬です。」
ホーク「・・・。」
カタリナ「だから、とてもハンターのやるような仕事じゃないっていったじゃないですか。」
ホーク「まぁ、そうだけど・・・。」
カタリナ「ずいぶんとお帰りが遅かったですが何かあったんですか？」
ホーク「水賊が出てな・・・。」
カタリナ「それは、大変でしたね。でも、他の皆さんは水賊に襲われてないようでしたけど？」
ホーク「気づいたら誰もいなかったんだよ。」
カタリナ「いつまで、掃除をしていたんですか？」
ホーク「そうだな・・・昼過ぎくらいかな？」
カタリナ「一応、お昼前には終了していたんですけど・・・。」
ホーク「・・・・・・・。」
誰も何も言わずに帰るなぁぁぁーーーー！！！
俺は決して口に出さずに心の中で絶叫した。
とりあえず、報酬をもって宿屋へと戻った。
俺よりが帰ってきて少ししてからジェイドが帰ってきた。
一体、何処まで行っていたんだろう？
ジェイド「ははははは。」
この事を話すとやはり、笑われた。
ジェイド「で、報酬は？」
笑いをこらえながらきいてくる。
ホーク「これ。」
俺は、テーブルの上にあるものを指差した。
ジェイド「え？」
ジェイドが真顔になった。
ジェイド「これは、お前が昨日買ったやつじゃないのか？」
ホーク「あれは、お前が部屋を出ていった後に俺が食べた。」
ジェイド「じゃぁ・・・・。」
ホーク「この、ケーキが報酬だよ・・・。」
本当にハンターのする事じゃない。
近所の子供とかにやらせる事じゃないか・・・。
ジェイド「・・・。」
おぉ！流石に硬直したか。
俺は泣きながらケーキを食べることにした。
つづく