俺は先日ジナグルと交戦した場所を目指していた。
ジナグルと戦ったときに少しだが、記憶が戻ったのだ。
それで、ホークには悪いが俺は一人でもう一度あの場所へ行く必要があったのだ。
ジナグル「また、来たのですか？」
ジェイド「あぁ、お前に用があってな。」
ジナグル「それは一体どんな用ですか？まさか、私を一人で倒そうなんて言い出すんじゃないでしょうね？」
ジェイド「いや、少しだが記憶が戻ってな・・・。」
ジナグル「記憶が・・・戻った？」
ジェイド「あぁ、少しだけ・・・だがな。」
ジナグル「それでもいいですよ。」
俺の記憶では俺達のような鋼の兵士はまだ、何機かあるはずだ。
それをジナグルに聞きたかったのだが・・・。
どうやら、ジナグルは知らないらしい。
俺のように記憶は失ってないが・・・。
ジナグル「しかし・・・私の事を思い出してくれたんですね。」
ジェイド「あぁ。」
ジナグル「それは、よかった。あんな手荒なマネをしてしまい、申し訳ありませんでした。｣
ジェイド「いや、それはいい。」
ん？遠くに砂埃が立っているな・・・。
ジェイド「なんだ？あれは・・・。」
ジナグル「・・・サンドワームじゃないですか？」
ジェイド「こっちにくるな。」
ジナグル「そのようですね。」
サンドワームは俺達の前までくると止まった。
そのサンドワームの上に鋼鉄の兵士・・・つまり、俺達のような奴がたっていた。
俺は、そいつに見覚えがあった。
ジェイド「お前は・・・ジャルムか？」
ジャルムは俺と同じタイプで武装とかも結構にているが、性格はぜんぜん違う。
念のために言っておくが、見た目も違うぞ。
ジャルム「・・・・・・・・あぁ。」
ジナグル「久しぶりですね。」
ジャルム「突然で悪いが・・・死んでくれ。」
ジェイド「何！？」
ジナグル「本気で言ってるんですか？」
ジャルム「・・・・・・・・本気だ。」
ジェイド「狂っちまってるな・・・。」
ジナグル「仕方ないですね・・・。」
ジェイド「やるからには本気でいくぞ！」
ジャルム「・・・・・・・・そうしてくれ。」
ジャルムはサンドワームから飛び降りると戦闘態勢に入った。
俺達も同じく戦闘態勢にはいる。
ジェイド「くらえ！ハンドキャノン！」
俺の銃撃はジャルムにあっさりと避けられた。
・・・だが、俺はジャルムを狙った訳ではない。
その後ろにいるサンドワームを狙ったのだ。
サンドワームは痛みで暴れるかと思ったが、何事もなかったようにしている。
ジェイド「効いてない・・・のか？」
どうやら、そういう訳では無いようだ・・・ちゃんと着弾したところから血が出ている。
ジャルム「・・・・・・・・こいつは普通の奴とは、違う。」
ジナグル「まさか、バイオプラントで作ったとか・・・。」
ジャルム「・・・・・・・・そうだ。」
厄介なものを持ち出したな！
ジナグル「隙だらけですよ？ハンドキャノン！」
ジナグルが突然攻撃をした。
不意打ちでもある為ジャルムに直撃した・・・が！
ジャルム「・・・・・・・・？」
効いてない・・・それどころか、装甲に焦げ目すら付いてない。
流石は鋼鉄の兵士だ・・・。
伊達に装甲は分厚くないってことか。
ジャルム「・・・・・・・・バーストロック。」
バーストロックとは上空へミサイルを打ち出し重力により落ちてきてミサイルの雨を降らす武器の事だ。
だが、降ってくる前に破壊すれば問題ない！
ジェイド「ハンドキャノン！」
俺の銃撃で大半破壊する事ができた。
１発でもあたれば、ミサイル同士の距離が無いために誘爆していき勝手に数が減っていく。
結果、俺達には1発も当たらずにすんだ。
ジナグル「並大抵の武器ではジャルムを倒せないようですし・・・。」
そういうとジナグルは足に付いているスライサーを外すとジャルムに向かって投げつけた。
しかし、スライサーでダメージを当てる事が出来るのか？
ジナグル「フォノンメーザー！」
フォノンメーザーとは超音波による攻撃で機械を狂わせたりする武器だ。
その超音波は先ほど投げたスライサーにまとわりついた。
ジナグル「ソニックスライサー！」
超音波により音速へと速度を上げたスライサーがジャルムの体を切りつけた！
ジャルム「・・・・・・・・っ！」
きいているようだな。
突然、衝撃が俺を襲った！
どうやら、サンドワームに体当たりされたようだ。
ジェイド「サンドワームの事を忘れていたか・・・。」
ジャルム「・・・・・・・・！」
ジャルムは手首からレーザーサーベルを出してジナグルに切りかかった。
ジナグル「うわぁ！」
腕をやられたようだ・・・。
ジナグル「リカバー！」
ジェイド「お前・・・少しは回避したらどうだ？」
ジナグル「私は・・・回避は苦手なんですよ・・・。」
どうりで、俺達と戦ったときにあまり避けなかったわけだ。
同じく、俺も手首からレーザーサーベルを出してジャルムに切りかかる
接近戦はこの武器が一番有効だ！
俺とジャルムはしばらく互いに攻撃と防御をしていた。
その間ジナグルはずっとサンドワームと戦っていた。
と、いうのも俺達が接近戦をしているためジナグルはジャルムに攻撃できないからだ。
どうやら、ジナグルは接近戦の武器がないらしい。
しばらくして、ジナグルがサンドワームを倒してこっちにやってきた。
ジナグル「大丈夫ですか？」
ジェイド「なんとかな・・・。」
ジナグル「援護射撃しますから回避してください。」
ジェイド「え？」
ジナグルはジャルムにフレアショットを撃った。
かわせるか！？
俺はなんとか身をひねってかわした。
フレアショットはジャルムに直撃したからいいようなものの・・・。
外れていれば、俺は無理にかわしてせいでバランスを崩している所に攻撃をくらう所だった・・・。
俺が立ち上がった時にはジャルムはすでに立ち上がっていた。
しまった！いま攻撃をされるとかわしきれない！？
しかし、いつまで経ってもジャルムは攻撃をしてこなかった・・・。
ジェイド「どうした、ジャルム。」
ジャルム「・・・・・・・・俺は・・・一体・・・。」
ジグナル「一体どうしたんですか？」
ジェイド「さぁな・・・。」
ジグナル「ジャルム？大丈夫ですか？」
ジャルム「・・・・・・・・お前達・・・どうかしたのか・・・？」
ジェイド「どうかしたのかって・・・お前・・・。」
俺達はいままでの事をジャルムに説明した。
ジャルム「・・・・・・・・そんな事が・・・。」
ジェイド「一体どうしたんだ？」
ジャルム「・・・・・・・・わからない。」
ジナグル「では、私はジャルムのメモリーを調べてみましょうか？」
ジェイド「そんなことが出来るのか。」
ジャルム「・・・・・・・・そうしてくれ。」
ジナグル「えぇ、設備がある所まで行かないと駄目ですが・・・。」
ジェイド「そうなのか・・・じゃぁ、今度俺のメモリーも調べてくれ。」
ジナグル「えぇ、わかりました。」
ジェイド「俺は、もうそろそろ帰らせてもらうぜ。」
ジナグル「あ、ちょっと待ってください。」
ジェイド「なんだ？」
ジナグル「その傷ついた体で戻るんですか？」
ジェイド「・・・どうしようか。」
ジナグル「リペアキットがありますからこれを使ってください。」
ジェイド「あぁ、すまない。」
俺はジナグルから受け取ったリペアキットで傷を治した。
ジェイド「じゃぁ、俺はこれで。」
ジナグル「それでは、また。」
ジャルム「・・・・・・・・・またな。」
気がつくと太陽はもう沈んでいて月が高く昇っていた・・・。
俺が部屋に戻ってくるとホークが俺を待っていた。
ホークは俺が部屋に入ると同時に今日あった事を話しはじめた。
その内容は・・・（第４話参照）・・・と、言うものだった。
ジェイド「ははははは。」
俺は思わず、笑ってしまった。
ジェイド「で、報酬は？」
俺は笑いをこらえてきいてみた。
ホーク「これ。」
ホークは、テーブルの上にあるものを指差した。
ジェイド「え？」
ホークは一体何を言っているのだろう？
ジェイド「これは、お前が昨日買ったやつじゃないのか？」
ホーク「あれは、お前が部屋を出ていった後に俺が食べた。」
ジェイド「じゃぁ・・・・。」
ホーク「この、ケーキが報酬だよ・・・。」
ホーク・・・お前・・・。
ジェイド「・・・。」
俺は何も言えずにただ、その場に立ち尽くした。
その後、ホークは泣きながらケーキを食べはじめた。
結局俺は、夜遅くまで何をしていたのかを言いそびれてしまった。
つづく