マグナ・ドゥヘル番外編
学園都市ナーグカント 前編
ピアタの南に新しく町ができた。
その名はナーグカント・・・ほとんどが研究施設と学園等で構成された町である。
ここは、まだ出来たばかりで治安が悪く色々な悪党が住み着いていた。
その中でも最も大きいのが、ファルクという名の集団だった。
ファルクは戦闘用に自らの手でバイオモンスターを生成し町で暴れるときには必ずバ
イオモンスターが居たという報告例もある。
この町には一応自警団的な物も存在しているのだが、ファルクには決して手を出さな
かった・・・というのも自警団そのものがファルクの一部となっているからだ。
そんな中一人の科学者がファルクと戦う為に小さなゲリラの様なものを作っていた。
その名はライガスト・・・この集団はナーグカントからファルクを追い出す為だけに
存在していた。
というのもファルクが居なくなれば、このナーグカントの悪党はほぼ全滅したような
物だったからだ。
これは、ナーグカントにおいてライガストとファルクの激しい戦いの記録である。
一人の少年・・・ナログド・アーグがいつものように学園へ向かって歩いている時の
事・・・突然、目の前にファルクが現れて暴れだしたのでいつものように逃げようと
していたが・・・今日はそうもいかなかった。
逃げだしたナログドの丁度真上に・・・流れ弾でも当たって崩れたのだろう・・・瓦
礫が落ちてきた。
それは、回避したのだが・・・回避して下水に落下して気を失った。
よほど打ち所が悪かったのだろう・・・彼はそのまま死を迎えた・・・享年１４歳で
ある。
今日もガークセィンはファルクと戦う為に町中へやってきていた。
ガークセィンはライガストを作った科学者でかなりの戦闘力を持っていたが、性格が
戦闘向きでは無いため戦いを拒んでいた。
そんな彼は今日も適当に雑魚を倒していると下水に一人の少年が落ちていくのが見え
たので、助けるために自分も下水へ降りていきその少年を起こそうとしたが・・・。
「し・・・死んでる！？」
一瞬見なかった事にしようと思ったが彼の頭にはふと名案が浮かんだので、そのまま
少年を自分たちのアジトへ持って帰る事にした。
そして、研究室でその少年に何を思ったのか手術をはじめた。
ガークセィンは昔、ピアタ等にある図書館で機械兵についての本を読んだことがあっ
た・・・そして、自分もこの機械兵を作り実験を繰り返したがすべてが失敗に終わっ
ていた。
それで、つい先程まで生きていた人間をベースに作ろうと思い付いたのだった。
早速改造手術にとりかかったガークセィンは自分の持てる技術をすべて使い、その少
年を機械兵として復活させ自分の手駒にしようとした。
「さて、では始めるとするか・・・まず、最初に水を８００ｃｃそしてマヨネーズと
ソースを混ぜて塩を少々・・・次に大根を泡立てて・・・。」
ガークセィンは何を思ったのか突然料理をはじめてしまった。
彼は手慣れた様子で次々と食材を調理してきいった。
「よし、完成だ！！さぁ、蘇るのだ！！！！」
そういってガークセィンはレバーを下げた。
すると少年の体に電撃が流れ出し始めて、少年の体は電撃のショックで痙攣をはじめ
だした。
「ぎやあ！！！」
突然少年が悲鳴のような叫び声をあげだした。
「さぁ！蘇るのだ！！！」
ガークセィンは気がついていないのか、わざとなのか電圧を上げはじめた。
「や・め・ろー。苦しー！！！」
少年が気合で手元にあったスパナをガークセィンに投げつけて止めさせようとしたの
だが・・・スパナは見事にガークセィンに命中してしまい気絶させてしまった。
「のー。」
結局少年は気合と根性で電撃地獄から逃れた。
「ここは何処だろー。」
ナログドは辺りを見回した。
自分は確か下水に落ちたはずだ・・・なのになぜこんな所にいるのか・・・それが、
彼にはどうしても解らなかった。
とりあえず外へ出ようと足を一歩踏み出したとき・・・人間の足音にしては妙に重い
音が響きわたった。
最初は足音が響いただけなのか？とも思ったが、それにしても足音が重過ぎるので自
分の足元を見てみると・・・。
「なんだーこれは。」
なぜか足は鉄のような物になっていたので「靴か？」と思い脱いでみようとして手を
伸ばすが、腕も鉄になっていたので一度状況を整理するべく自分の体を見直して見る
事にした。
「解った事は・・・どういう訳か全身が機械化されているという事か・・・・・って
こんな事やってる場合じゃ無いって。今、何時だろー。学校に遅れてしまうー。」
それどころでは、無いのだがナログドは急いで外に出て学園へ向った。
「なんか視線を感じるんだけど・・・。」
それもそのはず・・・町の人にしてみれば機械兵が無意味に走り回っていると見えて
しまうので、どうしても目がそっちにいってしまうのだ。
「あー、体が重い・・・疲れてるらしい・・・。」
無論機械化された体が重いのだがナログドは自分の機械化を認めていなかった。
ようするに夢か幻だと思っている訳だ。
そんな姿で学園にやってきたのだから学園の人達も驚いた。
「うわぁぁ！変なのがきたぁー！」
とか叫びつつ逃げ回っていた。
「僕の格好ってそんなに変かな・・・別に普通だと思うんだけど・・・。」
と言いながら自分の体を見てみると・・・機械化されていた。
「なんだーこれは。」
これで、２回目になるがナログドは「別に問題無いかなー。」と言って自分が機械化
されていることを無視した。
ガークセィンは突然少年にスパナを投げつけられて気絶していた。
ふと目を覚まし辺りを・・・少年が寝ていた所を見たが、そこには誰も居なかった。
「逃げたか！」
そう言ってガークセィンは直ぐに少年の後を追った。
少年の行き先はわからないが確実に発見するという自信があった。
それは、「鉄で出来た人を見掛けなかったか？」と町の人達に聞けば確実に後を追え
るからだ。
そして、ついた場所は学園だった。
学園内に入っていき学生達に機械兵が何処へ行ったかを聞くと「多分今ごろ教室で授
業を受けているんじゃないかな？」という答えが帰ってきた。
「何を考えているんだ。あの少年は・・・。」
ガークセィンが教室へ入ると教師にチョークを投げつけられた。
不意打ちだったので直撃を受けてしまう。
「遅刻だ！」と教師に言われたがガークセィンは「俺は生徒じゃねぇ！」と言うと、
「関係者以外は出て行け・・・授業の邪魔だ！」
と言って教師は棒手裏剣・・・金属で出来ているチョークの先を尖らせた物と思って
くれていい・・・をガークセィンに投げつけた。
ガークセィンはとっさに回避して反撃に出るために懐から圧力銃をとりだした。
そのなの通り銃身に空気の圧力を溜めて打ち出すという玩具みたいな銃なのだがこれ
だと反動も無いので生身の体でも使える。
圧力銃を撃ったが教師はテクニック”デバンド”で自分の前に壁のような物をだして
これを防ぎ再び棒手裏剣を取り出し「夢想八波！」と訳のわからない事を言って棒手
裏剣を同時に８つ投げてきた。
それぞれが別の軌道を通っているが狙いは同じらしく、確実にガークセィンを目指し
て飛んできていた。
これは、空気の軌道を見切っていなくては決してできない技で、空気の軌道に棒手裏
剣を乗せるだけで確実にターゲットに当てることが出来るという技なのだ！
ガークセィンは回避できないと思ったのか廊下にでて教室の扉を閉じて棒手裏剣をや
り過ごした。
再び中に入りテクニック”ギザン”で教師を撃つが教師は懐から小型爆弾を取り出し
て自分の手前で炸裂させた。
爆風でギザンによって生み出されたカマイタチはすべて吹き散らされていた。
「やるな・・・。」
「お前こそ・・・。」
彼らの間には激戦の中で芽生えた”友情”があるらしく戦いはそこで終わったが、ガ
ークセィンは自分が戦いを拒むキャラだったという事を思い出してつい戦ってしまっ
た自分に腹が立つものの自分は少年を探しに来たんだという目的を思い出して自分を
落ち着けさせた。
そして、少年を探そうと教室内を見渡すまでもなく一人だけ鉄の体を持った人間を発
見し直ぐに近くへ行った。
「何やってるんだよ！」
「授業をうけてるんだけど？」
「お前は一回死んだんだ！それで俺がファルクと戦う為に蘇らせたんだぞ！」
「まーまー、そー言わずに・・・折角蘇ったんだからまた死ぬのは御免だよー。」
何を言ってもこの少年はファルクと戦う気が無さそうで話が先に進みそうに無かった
ので一旦諦めることにした。
「必ずファルクと戦わせてやるからな！！！」
それだけ言うとガークセィンは研究所へ戻った。
そして、ファルクへ宣戦布告をした。
「貴様らの横暴もこれまでだ！こちらには新兵器があるからな！」
と言って如何にも新兵器を襲ってくれと言わんばかりに少年の特徴を教る事にした。
一番解りやすい特徴・・・それは機械兵だという事。
「それで、そいつの名は・・・・・・あれ？」
ガークセィンはここに来て始めてその青年の名前を知らない事に気がついた。
とりあえず、適当な名前で誤魔化しておこうと思いその場で思い付いた名前を言う事
にした。
「名前は・・・そう、アルガイドだ！」
ガークセィンはアルガイドという名で体が機械で出来ているとしかファルクに伝えな
かったので、この一言が彼を巻き込むきっかけとなった・・・。
アルガイド達は新しく出来た町・・・ナーグカントを見学に来ていた。
とりあえず、何も楽しそうな所は無いなと思い帰る事にした。
「ガーラン、そろそろ帰ろうか。」
「待てよ、アルガイド・・・もう少し見てまわろうぜ？」
アルガイドは腐れ縁の相棒ガーランに帰ろうと言うがガーランは、まだ行ってない所
があるからそこへ行こうと言い帰る気が無いらしい。
その”アルガイド”という名前を聞いていたファルクの一人は「これがライガストの
新兵器か！”と思い攻撃をしかけてきた。
確かにアルガイドの右半身は、過去に起きたちょっとした事件によって機械化されて
いたので、ファルクのメンバーは疑いもせず直ぐにアルガイド達に攻撃をした。
「なんだ！？」
「あいつら・・・お前を狙ってるぞ・・・。」
「いや、俺には心当たりが無い！」
「本当か？本当だな？絶対だな？嘘じゃないな？」
「・・・・いや、ちょっとはあるかもしれない。」
「・・・。」
ガーランは冗談で言ったのだがアルガイドがこう返してくるとは思っていなかったの
だった。
アルガイドは襲ってきた連中をテクニック”ラサフォイエ”で吹っ飛ばした。
このラサフォイエはアルガイドのオリジナルのテクニックでラフォイエの範囲を広げ
一度に敵全てにダメージを与えられるようにしたのが、このテクニックである。
「アルガイド・・・お前って凄いな。」
「そうだろ？」
「町中であんな広範囲なテクニックを平然と使うところなんで特に・・・。」
アルガイド達は・・・いや、アルガイドは囲まれていた。
被害を受けた町の住人達に・・・。
「え・・・？」
アルガイドはとっさにリューカーを使い何処かへ逃げたのでガーランが一人取り残さ
れた。
「あ・・・アルガイド！俺を身代わりにする気だな！」
そう言ってガーランは自決用の爆弾を使いこのピンチを切り抜けたのだった。
普通なら死んでいるようなダメージでも、ガーランはなぜか死なないのでいつもピン
チの時は敵もろとも空を舞っていたりする事が多々あった。
ナログドは授業が終わってので家に帰る事にした。
だが、町中で何かが大爆発したらしく道が通れなくなっている所が結構あり簡単に家
に帰れなくなっていた。
「何があったんだろー？」
適当な人に聞いてみると「町中でファルクと戦っていた人が突然広範囲にラフォイエ
を使ってねぇ・・・それだけでも大変なのに、その人の連れがまた凄いんだ・・・。
突然爆発したかと思うと辺りに瓦礫が降ってきたからね・・・多分爆発で打ち上げら
れた物だろうけど・・・とにかく今はその瓦礫をどかす作業があちこちでおきている
はずだけど・・・・ってアンタその格好は一体？」
「普通だけど？」
それだけ言うとナログドはしばらく適当にうろうろする事にした。
すると、ファルクの人達に襲われたので取り敢えず逃げることに・・・。
だが、体が重いので思うように走れないかった。
すぐにファルクの人達に追いつかれてやむをえず戦闘をしようと武器を手に取った。
「・・・なんだろー？この武器・・・一体何処から出てきたのかなー？」
手には電磁ロッドが握られていた。
恐らく無意識で体の何処かに取り付けられていた電磁ロッドを手にとっていたんだろ
う。
だが、ナログドには戦闘経験など無いので戦闘経験豊富なファルクの戦闘員に勝てる
訳もなかった。
あっさりと、電磁ロッドを落としてしまったので再び逃げようとも思ったが逃げ切れ
そうにもなかった。
ナログドが「もーだめだー。」と思ったときに自動的に体の一部が開き上空にミサイ
ルを打ち上げた。
打ち上げられたミサイルは重力に引かれて落ちてきて・・・辺りに爆発を巻き起こし
た。
これは・・・バーストロックという名の機械兵用の兵器である。
広範囲に爆発を撒き散らすので簡単には回避できないという、この武器は町中で撃つ
ような物ではなかった。
突然建物の一部が崩壊して落ちてきたのだ・・・先程からの爆発により生み出された
衝撃波に建物の耐久度が持たなかったのだろう・・・。
その下敷きになったファルクの戦闘員とナログドは意識を失った。
「またこれかー・・・。」
これがナログドが気絶する前に言った最後の言葉だった。
続く
次回予告
アルガイド「一応この話は俺達がダーク・ファルスを倒した後の話なんだ。」
ガーラン「あれから、数ヶ月後って所だ。で、なんでそんな事を今言っているかと言
うとストーリーの中では一切この事に触れていないからだ。」
アルガイド「マグナ・ドゥヘルを読んでいなくとも楽しめるようにはしようとしてい
るけども、マグナ・ドゥヘルを読んでおくとより一層楽しめるぞ。」
ナログド「主人公なのに活躍していない僕だけど次回はもう少し活躍するぞー。」
ジェイド「次回は俺が登場する・・・俺はハンターをやっているんだ。それで依頼で
たまたまナーグカントに来たときに俺も巻き込まれるって訳だ。」
アルガイド「本当に”たまたま”なのかよ・・・？」
ジェイド「それは次回になれば解る。今回は秘密にしておこう。」
ガーラン「って事は、あの男もでるのか？」
ジェイド「いや、あいつは出ない。出るのは俺だけ。」
ナログド「うー台詞が少ない・・・って事で次回に続きますー。」
後編を読む
投稿の広場に戻る
トップページに戻る