惑星ラグオル ７年前、移民船「パイオニア１」の到着により人間の新たなる
故郷となった星である。
長い年月をかけ作られた「セントラルドーム」、その中の一つの研究所に少年はいた。
少年の家族はこの研究所の科学者としてここに住んでいる。両親は科学者として「成長
する特殊防具、マグ」の研究をしていた。
しかし、少年にとってたいして興味はなかった。研究所からの出入りは堅く禁止され
友達とも遊べない。無意味に毎日が過ぎていく。
少年が研究所の屋上から外を見ていた。今日は、第二の移民船「パイオニア２」が到着する。
さらに色々な人々が来るのだ。
「これで少し何かが変わるといいのになぁ・・・・」
少年の期待通りと言うべきだろうか、通信回線を開いた瞬間「何か」は起こった。セントラル
ドームの真横に巨大な空間の歪みとも見える陽炎のようなものが現れた。
「なんだアレは・・・？」
少年に対する答は次の瞬間起こった。まさしく「絶望」としか言い様のない悲劇が・・・・・・
陽炎が動いたかのように思うと、一瞬にしてドーム状の巨大な光が当たり一面に広がった。
「う、うわああああああああああああ！」
一体どれほどの時間がたったのだろう、少年が目を覚ますと世界が変わっていた。見た目による
変化でない。電子機器がの全てが麻痺し、人が消えた。
「父さん、母さん！」
少年は急いで両親のもとに向かう。しかし、少年が見たものは両親との最悪の再会だった。研究所
内に入り込んだ凶悪なモンスターの食事にされていた
少年は雄叫びとともにモンスターに殴りかかった。だが、戦うにはあまりに非力すぎた。ダメージ
こそ与えたものの敵は一匹ではない。それに殴ったモンスターもさほど効いていない。モンスター
達は少年を取り囲んだ。新たなる食事のおでましだ。鋭い爪が少年の体を傷つける。
「うあ！」
少年の肩から血が飛び散る。両親を殺され、食事にされた仇も討てず、少年は自分の無力を呪った。
降り下ろされる爪に目をつぶった。
バン！バン！バン！！
銃声が聞こえたかのように思うと、モンスター達は頭に風穴を開け、死んでいた。少年の視線の先に
一人のレイマーが立っていた。
「大丈夫か？」
殺されそうになった恐怖で少年は答えられなかった。レイマーは少年の傷にレスタをかける。傷が一瞬
にして治った。
「あ、ありがとう・・・」
絞り出すように声を出した少年にレイマーは問い詰める。
「ここには、お前以外に誰かいないのか？」
そんなはずはない、少年の両親の他にもたくさんの科学者がいたはずだった。しかし、誰もいなかった、
少年は妹の存在を思い出した。
「エレンディラは、妹はいなかったのか！？」
少年はレイマーに問い詰めた。しかしレイマーはここに来たばかりで探していないことを告げると、少年は
走って捜し出した。
「エレーン！どこだ、返事をしろ〜！」
少年の耳に聞き覚えのある声が聞こえた、微かな声だったが少年はその声に向かい走り出した。しかし、
次の瞬間、希望は絶望へと塗りかえられた。
「お・・兄ちゃん・・・・・」
少女は崩れた壁の下敷きになっていた。少年はなりふり構わず崩れた壁を投げ捨てる。しかし人の力で
できるようなモノではなかった。
「退いていろ」
あとからついてきたレイマーに制止され後ろに下がる、レイマーは崩れた壁に向かって強力なショット
ガンを撃った。激しい轟音とともに壁は吹き飛ぶ
「お・・兄ちゃん・・・・」
抱きかかえられた少女は安心感のためか気を失った。レイマーは少女にレスタをかけ、研究所から二人を
連れ出した。
レイマーについていきながら少年は思った。
（一体何が起きたんだろう、これからどうなってしまうのだろう・・・）
少年の疑問をよそにレイマーは二人をパイオニア２へ連れた帰った。
投稿の広場に戻る
トップページに戻る