狂気に染まったゼルディはダークファルスの死体を確認することもなくパイオニア２へと戻っていった。しかし帰る
途中にゼルディの体に異変が起きていた。流れ続けていた血はいつしか止まり、ボロボロになった体は黒い光をまとい
つつ回復していった。レスタを唱えたわけではない、彼の体が自動的に回復していったのである。ゼルディはパイオ
ニア２に戻ると病院にすら寄らず、総督の部屋へと向かっていった。その目に狂気と欲望をたぎらせながら。
「ダークファルスの抹殺・・・成功しました・・」
「そうか・・・・」
総督は喜びの表情や驚きを一切表さなかった。
「R・R・リコはどうなった？・・・」
「さぁな、分離した後ダークファルス潰したから死んだんじゃねぇの？クククク・・・・」
ゼルディは僅かに笑いながら総督を馬鹿にするように言った。総督は表情を強ばらせ机の中の銃を手にとった、
もちろんゼルディに見えていない。
「総督として君に報酬を渡そう。何を望む？」
「ふむ、そうだな。とりあえず・・・・貴様の首でももらおうか！！」
ゼルディは総督との距離を一瞬に詰め、総督の首をつかみ壁に叩きつけた。
「ぐ・・・・あ・・・」
総督は呻き声をあげながら手にした銃でゼルディを撃とうとする。しかしその手をゼルディは逆の手で握り潰した。
グシャッ！、と鈍い音が周りまで聞こえたが、総督はゼルディが来た時に人払いをしたため助ける者は誰もいなかった。
「クククク・・・・、いけねぇなぁ、この星の英雄をたかが自分の娘が殺されたぐらいで殺そうとしちゃあ・・」
ゼルディは笑いながら首を掴んだ手に力を入れていく。
「ぐ・・・・・が・・・・・・・・」
総督が意識を失おうとした瞬間、何者かが後ろからゼルディに向かって銃を撃った。ゼルディは不意に手の力をゆるめ、
その手から総督がこぼれ落ちるように倒れた。
「父さんから離れなさい！！」
銃を撃った者は若い女性だった、しかしその体から放たれる雰囲気は熟練のハンターそのものだった。総督は自分を
父と呼ぶなつかしい声に意識を取り戻し、女性の方を見上げた。総督は自分の目を疑った。女性は総督の娘、そして
パイオニア１の伝説的ハンター、R・R・リコであった。
「フフフ・・・丁度いいな・・」
ゼルディは妖しく微笑んだ瞬間、リコとの間合いを一瞬で詰め彼女の首を掴みあげた。
「あ・・・う・・」
リコは苦しみに負けず銃を撃つ、銃弾はゼルディの体を貫いたがゼルディは全く意にもかさなかった。それどころか
貫かれた体は一瞬で再生し、何事もなかったように元に戻っていた。
「総督よ、いまお前の娘が死にそうになっている。娘を助ける代わりにに我に服従するか、それともここで二人仲よく
死ねか、選ぶがいい」
ゼルディは冷たく笑いながら総督に問いかけた。
「・・・わかった・・・・服従しよう・・・その代わり娘の命だけは！」
ゼルディは笑みを浮かべゆっくりと手を離す。リコはゼルディの足元に崩れ落ち、激しく咳き込んだ。その直後ある
程度傷が癒え、報告に来たベルドグスが現れた。ベルドグスはリコと総督の危険を感じ、自慢の斧でゼルディに切りかかった。
「キサマァァァ！！」
「ふん・・・・」
ゼルディは嘲笑うかのようにベルドグスに魔法を唱えた。その直後、激しい業火がベルドグスを包み込んだ。
「いやあああああああ！、ベルドグス！！」
「ククククク・・・愛すべき者に死を看取られ、本望だろう？」
「お・・・・嬢・・・様・・・・」
その言葉を最後にベルドグスは灰になった。灰になったベルドグスのそばで泣き叫ぶリコ、その光景をみてゼルディは
高らかに笑った。
「さあ総督よ、汝の権力で大量のアンドロイドの兵隊を作り上げろ」
総督は苦悶の表情でうなずき、下に降りて手配をする。そしてリコを幽閉し思うがままに世界を動かしはじめた。
そんな彼の行動に怒りを覚え、数多のハンターズが集まり彼を襲う。しかし一瞬で団結したハンターズを消滅させた。
そしてさらにアンドロイドの生産が終了した後、彼に不満を持つ者達をアンドロイドに惨殺させ続けた。いつしか
誰もが畏怖の念をこめ、彼をこう呼んだ。
MASTER OF RUIN (滅亡の支配者）、と・・・・・・。
そして誰もが彼の行動に脅えながら震える毎日を送った。
・・・
・・
・
ゼルディが狂い、MASTER OF RUIN となった数日後、ゼクドは意識を取り戻し病院の屋上から外の様子を伺った。
町はもはやゴーストタウンのように静まり返り、MASTER OF RUIN のアンドロイド達が我が物顔で暴れている。
この風景がゼルディによるものだと知った時、ゼクドは誰にも聞こえない程の声でつぶやいた。
（エンディングへの分岐です。ここでゼグドが呟いたと思われるセリフを、読者様の手で選んで下さい）
「救えないのなら、いっそ・・・」
トップページに戻る