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「それは本当に可能なのか？」
「成功さえすれば確実に元に戻る」
ハンターとレイマーが何かを話し合っている。その内の一人はゼクドのようだ。正気を失った少女エレンディラ、彼女の
意識を取り戻す方法、それは元凶を滅ぼすこと。だがしかし、元凶の居場所どころか元凶の正体すらわかっていない。
時間をかければ見つかるかも知れない、だがゼクドはそんな彼女と苦悩し続ける彼女の兄、ゼルディの姿を見ることが
辛くなった。見つかるかも知れないといっても、見つからないかも知れない。多少危険であっても今からとる手段が最も
良い方法だと信じて一つの妙案を決行することにした。

ゼルディは今日も苦悩しながら依頼をかたずけていく。治す手がかりすらも見つけられない。自分の不甲斐なさを呪い
続けた、妹一人助けられない自分の無力を呪った、どれだけ強力な魔力をもってしても治せない。病院に行く度にアンティ、
リバーサーを唱え続けるが効果は全く現れない。エレンディラ、唯一残った家族、しかし彼女の精神は崩壊し、物言わぬ
人形のようになっている。元凶、爆発の起きる直前に現れた謎の陽炎、アイツさえいなければ、やり場のない怒りをモン
スターにぶつける。しかし気は晴れない、それどころかいっそう重くのしかかってくる。

「なら明日の正午、決行する」
レイマーが時間帯を決める。
「人手は足りるのか？」
「問題ない、もう何人か集まっている」
ゼクドの不安を掻き消すようにレイマーは強く答える。レイマーは去りゼクドも自分の家へと戻っていく。
「もし、失敗したら・・・・」
最悪の結果が脳裏によぎる。もし最悪の結果になったのならばゼルディ、エレンディラ両方が生きた人形となる。ゼクドは
家に戻り眠りについた、最悪の結果にならないようにするために・・・・

翌日、ゼルディはその日の依頼を全部キャンセルし、ゼクドに病院へと連れていかれた。エレンディラの病室の前に昨日
ゼクドと話をしていたレイマーと数人のフォースが二人を待っていた。
「準備は？」
「すべて万全だ」
ゼクドの言葉に自信たっぷりでレイマーが答える。エレンディラの病室には部屋全体に魔法陣が書かれていた。

「いったい何をするんだ？」
ゼルディに問いにゼクドは強く言い放った。
「エレンディラの精神を元に戻す！」
ゼルディは自分の耳を疑った。担当の医者、マークスは元凶を退治する以外方法はないと言っていた。しかし様子を
見ればコレが本気であることが簡単にわかる。エレンディラが元に戻る。ゼルディは希望に満ちあふれた、ゼルディは
エレンディラの精神を戻す説明を受けた。
「まず、ゼルディに逆転させたリバーサーをかけ、意識のみを取り出す。本来リバーサーは気絶回服に使うが、逆転
させれば意識のみを取り出すことが可能なはずだ、そして取り出した意識をエレンディラの中に送り込み、精神の状態を
元に戻す。一歩間違えればどちらとも助からん、しかし成功すれば確実に元に戻るはずだ」

見知らぬレイマー・ラーディスの説明は理にかなっていたが、それは空想にも近かった。だが唯一の方法とも言える。
ゼルディは承諾すると数人のフォースとゼクドが配置につく、用意は整った。フォース達はリバーサーを唱え、発動の
直前に魔力を逆流させ、反・リバーサーをゼルディに唱える。ゼルディの意識が光の玉となって空中に浮かぶ、同じ
ようにゼクドも、反・リバーサーを唱えさらに発動を途中で止め、反・リバーサーのともった手でゼルディの意識を
エレンディラに送り込む。第一段階は成功した、しかし魔力を逆流させた影響で体に負担がかかり、フォース達全員が
一時的に倒れた。ゼクドはそれを手に止めたため、意識を送り込んだ直後、腕の皮膚が裂け破裂するように血が吹き
出した。ラーディスはレスタを使ったが気休め程度の効果しか得られなかった。

「しばらくは休業だな」
「まあ、しかたないさ」
ゼクドとラーディスは談笑をしながらゼルディの帰りを待った。

エレンディラの意識の中、そこは空間が歪み、怪物達が我が物顔で暴れまわっていた。進入してきたゼルディを見つ
けるとなだれ込むように襲ってきた。
「キサマらが俺のエレンを！！」
ゼルディは全力の魔法を怪物にぶつける。怪物達は次々に蒸発するように消えていった。深い・・・・・、意識の奥に
行けば行くほど暗く、また歪みも激しくなっていく。一番奥の方で何か光が見える、ゼルディはその光に向かっていった。
しかし、その先で見た光景はゼルディにとって地獄そのものだった。妹が怪物に陵辱され、体を引きちぎられ、弄ばれていた。

「キサマらああああああああああ！！！！」
激しい憎悪、怒りがゼルディを支配していった。ありとあらゆる魔法を唱え、怪物を地獄に送り込んでいった。最後に残った
怪物には魔法を使わず、生き地獄そのものを与えた、手で怪物の身を引きちぎっていく、どれほど喚こうが、もがこうが関係
ない、最後のひとちぎりになるまでムシリとっていった。

我に返り、エレンディラを抱き起こした、虚ろな目でつぶやいている。
「ワタシハニンギョウ・・・コワレタニンギョウ・・・」
「エレンしっかりしろ！俺だ、ゼルディだ！お前の兄だ！」
必死の呼びかけも届いていないのか、虚ろな目でつぶやいている。
「ワタシハニンギョウ・・・タダノニンギョウ・・・アニナンテイナイ・・・・タダノコワレタニンギョウ・・・・・」
「エレン・・・ディ・・・ラ」
ゼルディは涙を流した。あまりに酷い妹を見て涙を抑えられなかった。大粒の涙が頬を流れ、エレンに流れていく。
「私ハニンギョウ・・・アタタカイ・・・ナニカアタッタ・・・水・・・涙・・・ナイテイル・・・泣いているのはダレ・・・
泣いているのは・・・・」
エレンディラの傷が癒え、虚ろな目に光が戻っていく、ゼルディは呼び続ける。

エレンディラの治療のため俺は両腕を負傷した。まぁ、しばらくすれば治るだろう。だが、調査にいけないのがいささか
心残りだ。以前からラーディスと行っている調査、爆発の原因の究明である。パイオニア１の伝説的ハンター、R・R・リコも
原因を追って消息不明になっている。ラーディス一人に任せるのは危険かも知れないが、それなりに高い能力をもっている、
多少戦闘が苦しくても生き延びられる。しかし深追いをする癖がある、ゼルディから聞いた謎の陽炎、嫌な予感がする、星
一つを機能停止まで追い込み、生体系でさえも変化させた。戦闘になったとしたらまず勝ち目はないだろう。

「そこまで馬鹿はしないか・・・」
考えてみれば人の手に追える相手ではない、危険になれば戻ってくるだろう。戦え無い間何もしないのは時間の無駄だ、
意識の戻ったエレンディラは何かを見たのかも知れない、精神が崩壊するような出来事を思い出させるのは気が引けるが、
だからといってこのままでは大きな進展はない。俺は病院へと向かった。

エレンディラの病室にはゼルディがいた。意識が回服してからつきっきりで看病をしている、仕事もしないで・・・・とも
思うが、大切な妹が無事元に戻ったのだ、無理に引き離すこともあるまい。俺はためらいがちに病室に入った、聞く内容は
極めて酷なこと、最悪の場合、再び精神に異状をきたすことになる。
「あ、ゼクドさん」
笑顔で迎え入れてくれたが、その分気が重い。病室にゼルディはいなかった。
「ゼルディは？」
「お兄ちゃんなら、今トイレに行ってますよ」
丁度いい、下手をすれば話が聞けなくなる事もなくなった。
「少し聞きたいことがあるのだが・・・」
「私に？、何でしょう」
俺は戸惑いながら悪夢の中、何を見たのか聞いてみた。エレンディラはうつむいて体を震わせた。すぐ後ろで、バン！、と
いう音がした。そこには戻ってきたゼルディが顔を怒りに染めて立っていた。ズカズカと近ずき、俺の胸ぐらをつかむ。

「オイ！いくらアンタでも承知しないぞ！」
強い口調で言い放った。無理もない、聞くにはあまりに非情なことだった。
「ヤメテ！お兄ちゃん、私なら大丈夫だから・・・」
妹に止められ、不本意ながらも手を離す。エレンデイラは震えながらも平静を保とうとする。
「え、と・・・、夢のこと・・ですよね？」
「ああ、キミは見なかったか、夢の中で危険なモノを・・・」
「私は・・夢の中で・・・化け物に・・・」
うつむき、目をつぶり、必死に声を出して答える。ゼルディは後ろで怒りの表情を崩さず、むしろ俺を憎んでいるような
目で睨んでいる。

「俺が聞きたいのはそんなことじゃない、その化け物以外に何かいなかったか？」
「・・・声がしました、汝等は人形だ、って・・・」
「ソイツの姿はわからないか？」
「・・・たぶん鬼と悪魔を混ぜたような・・・そんな感じでした」
俺は礼を言い、病室を出た。ゼルディも一緒に出てきて、俺を殴った。無理もない、エレンディラは頭を抱え必死に忘れ
ようとしている。それを無理矢理思い出させたのだから・・・
「もう二度と・・・こんなことはしないでくれ・・・」
ゼルディは辛そうな顔でそう言った。無論そのつもりだ、ただ、たとえ非道なことでも聞かなければならない。場合に
よっては後でなにもできなくなるかもしれないのだから・・・

家に戻るとラーディスがソファーに腰をかけ、不機嫌な顔でタバコを吸っていた。
「ダーメだ。何の手がかりもつかめねぇ」
俺は棚から一冊の古い本を取り出した。
「今、エレンディラから悪夢で何を見たか聞いてきてな・・・恐らくコレだろう・・・」
本の隅に書かれている文字に指をさす。そこにはダークファルスと書かれていた。ラーディスの顔が不機嫌から驚愕に変わる。
「・・・・最悪だな・・よりによってソイツか・・・」
ダークファルス、過去数回に渡って世界を滅ぼそうとした最凶最悪の怪物。
「R・R・リコは助けられないだろうな・・・」
続きにはこう書かれている。思念体で蘇り、優秀な肉体を媒介に復活する・・・・。と・・・
「あいつらは親の仇としてダークファルスを倒そうとするだろうな・・・」
「止めるのか？一生恨まれかねないぜ」
俺の心を読み取り、ラーディスは神妙な顔で二人を止めようとする俺を脅す。彼等を死なせるわけにはいかない・・・・彼等は
まだ大罪無き子供なのだから。

「相変わらず損な奴だな」
ラーディスはあきれた顔で言う。だが、彼等を死なせるわけにはいかない、過去に誓った約束のためにも・・・・

朝起きると、いつもお兄ちゃんがそばにいる。あの悪夢から覚めてからつきっきりで看病してくれている。疲れがたまって
きているのかいつも食事の準備をしているのに、今日はベッドにもたれかかって寝ている。今にして思えば、すごく苦労を
かけちゃったな。悪夢の前も毎日遊んでくれたし、危険を犯してまで私の中に入って助けてくれた。私の中に・・・そう思うと
胸が熱くなる。お兄ちゃんはよく寝ている。私は起こさないようにそっと近づく。
「お兄ちゃん・・起きて・・・」
マンガで見たみたいにお兄ちゃんの頬に少しキスをする。するとお兄ちゃんのまぶたがピクピクと動く。やば！、私は慌てて
ベッドに戻る。

「う・・・ん・・・・？っと、もうこんな時間か、お〜い、エレン、そろそろ起きれよ〜」
私は無理矢理寝ぼけた顔をして起きたのがわからないようにする。でも、恥ずかしくて顔を見れない〜。
「ふぁ〜〜？、あ、お兄ちゃんおはよ〜〜」
「ほれ、食事の準備するから、顔を洗ってきな」
「ふぁ〜〜い・・」
私はのろのろと洗面所に向かう、お兄ちゃんは食事を取りに部屋を出た。その直後、私の顔はタコみたいに真っ赤になる。
「は〜〜、バレないでよかった〜〜」
今でも心臓は破裂しそうなくらいドキドキいってる。私の唇がお兄ちゃんの頬に・・・・私の唇がお兄ちゃんの唇・・・・。突然、
後ろからドアのノックが聞こえた。私は慌てて洗面所で顔を洗う。鏡を見るとタコもびっくりするほど真っ赤。火照りが
止まらない〜。

「早くしないと冷めるぞ」
お兄ちゃんが呼んでいる。でもこんな顔じゃでれないし、みたら大騒ぎしちゃうよ〜。私は水を貯めて顔を突っ込む。ひんやりと
冷たい水が一気に温かくなっていく。まだちょっと赤いけど、大丈夫、たぶんバレない。私は目を合わせないようにベッドに戻り
食事をとる。お兄ちゃんは私が食事をしている間、魔術書を読んでいる。チラチラと覗き見る。カッコイイ・・・。私とお兄ちゃんが
血が繋がってないことを知った時、とてもショックだった。でも今は一人の男の人として意識してる。はぁ、でもお兄ちゃんは
私のこと妹としか見てないんだろうな〜。そう思うと切なくなって食事をとりにくい。そんなお兄ちゃんはいつの間に見ていたのか、
「食事が進んでないが・・・具合いでも悪いのか？」
と聞いてくる。私はあわてて虚勢をはって、
「う、ううん。そんなことないよ」
再びお兄ちゃんは魔術書を読みはじめる。はぁ〜〜、もぅ、鈍感！。でも本当に反応してきたら私は素直になれない。きっと
誤解を招くようなことまでいっちゃうだろう。食事が終わるとお兄ちゃんは食器をテキパキと片付ける。私はそんなお兄ちゃんを
見ていつも思う、私って変なのかな〜？、血が繋がってなくても実の兄弟に恋をしちゃうなんて・・・・・そんな私の考えを
はねのけるように誰かがドアをノックする。

「入っていいか？」
声からするとゼクドさんだろう。私はあんまり好きじゃない、顔は悪くないけどデリカシーっていうか、思いやりの心がない
って感じがする。現にこの前、思い出したくもない悪夢の話を聞いてきた。お兄ちゃんだったら絶対にそんなことはしない、
きっと優しいからそんなことには触れない。はぁ・・・我ながらブラコンだということが身に染みる。

「今日からもう退院できるそうだ。よかったな」
気分的に余りうれしくない、いっつもお兄ちゃんと二人だったのに、下手をすると毎日お邪魔虫と暮らさなきゃならない。
それにその言葉はお兄ちゃんから聞きたかった。お兄ちゃんは自分のことのように喜び、退院の準備をする。あぁ、天国が
過ぎていく・・・・。でもいいもん、上手くすればお兄ちゃんの仕事についていってカッコイイ所が見れるかも知れない。
その日の正午、担当のマークス先生にお礼を言って退院した。私もハンターズになってお兄ちゃんのお手伝いがしたい、
そんなことを考えているといつのまにかゼクドさんの家にたどり着いた。やっぱりふたりっきりになれないのね・・・・・
いいもん。ずっとそばにいるから・・・。

「ねぇねぇお兄ちゃん、私もハンターズになれるかな？」
お兄ちゃんは、私の問いかけに必死の形相になってハンターズになるのを止める。危険だけど私はやりたい。お兄ちゃんに
頼み込んだ。そんな時、ゼクドさんが
「女一人も守れないのか」
呆れた顔で言った。いいぞ。ゼクドさん、今だけ許す、もっといっちゃえ
「仕方ないな。だが絶対に俺のそばからはなれるなよ」
私は最高の気分になった。これでお兄ちゃんのカッコイイ所が見れる。さ〜てお兄ちゃんの活躍を見なくちゃ

「ではフォマールとして登録してよろしいのですね？」
「は〜い、お願いしま〜す」
ハンターギルドでハンターズとしての登録完了！、これでお兄ちゃんとお仕事ができる。私は早速依頼書を見繕ってみた。
でもなんだかよくわからない、ただ漠然とモンスター退治をすればいいのではなく、何かを取り返してくれだの、モンスターの
血液を採取してこいだのとややこしいのばっかりが目につく、お兄ちゃんはハンターズの腕前は高いらしいけど、どれだけ
高いのかわからない。変なの選んじゃ大変かもしれないし、簡単なのってなかなかない、う〜ん、お兄ちゃんにまかせちゃおっと。

「ねぇねぇ、お兄ちゃん、なんかいいの見つかった？」
「そうだな・・・軍からきている水道管にすむ巨大な魚退治ってのがおもしろそうだが・・・報酬が低いな」
「いいじゃん、いいじゃん、ソレ行こ！」
私は納得のいっていないお兄ちゃんを無理矢理納得させてお魚退治に決定させた。釣り竿っているのかな〜？、一応買っとこ。
私はコンパクトに収納できる釣り竿を買って隠してもっていった。うまくすれば誉められるかも。
「用意はいいのか？エレンディラ」
「うん、いいよ〜」
私達は問題の巨大な魚の出る水道管の中に入っていった。途中、巨大なゴキブリみたいなのがたくさん出てきたけど、これは
お兄ちゃん魔法が鮮やかに炸裂！次々と涌いて出てくるゴキブリをギゾンデっていう魔法で雷を走らし、簡単に倒していく。
魔法で敵をやっつけている時のお兄ちゃんはと〜っても凛々しくてカッコイイ。ボートの上で体勢を崩さずにいることができ
ない私は座り込んでお兄ちゃんの勇姿を眺めてばっかりいた。でもそのせいでお兄ちゃんに
「少しは手伝え」
と、怒られちゃった。でもボートが揺れて立てないので座りながら魔法を唱える。
「え・と・・、ゾ、ゾンデ」
私のはなった魔法がうまく作動せずお兄ちゃんに当たりそうな位置だった、でもちょうどいい時に巨大ゴキブリがとお兄ちゃんに
飛びかかってきて、ゴキブリにミラクルヒット！
「すまん、助かったぜ、エレン」
うふふ、災い転じて福となす・・かな？、しばらくして水中に何かいるように見えた。私はお兄ちゃんに来る前に買っておいた
釣り竿を手渡した。
「用意がいいな、エレン」
大成功、誉められた。お兄ちゃんは早速釣りを始めた。するとすぐに食いついてきて油断してたお兄ちゃんがよろけて落ちそうに
なった。私はお兄ちゃんにしがみつき、お兄ちゃんにシフタを唱えた。

「ナイス！、エレン。うおおおおおおおおおおおおお」
パワーアップしたお兄ちゃんが力ずくで釣り上げた。でも魚というよりこれは・・・・ムカデっぽい。とりあえず今回のターゲット
みたいだったから捕獲しようと近づいてみる。すると・・・
「エレン！！」
「きゃあ！」
突然お兄ちゃんが私に飛びついてきた。え、え、どうしようこんなところで・・・・・。私が驚きと期待で動けなくなっていたら
急にお兄ちゃんが離れ巨大ムカデの方を見ている。よくみると私のいた位置に巨大ムカデの変な所から生えている尖った触手みたい
なのが突き刺さっている。お兄ちゃんは巨大ムカデに向かって魔法を唱える。

「喰らえ！ラフォイエ！！」
巨大ムカデの背中が炎と一緒に爆発した。巨大ムカデは胃液を吐き出し、そのまま動かなくなった。お兄ちゃんは携帯電話で
軍隊に連絡をとる。
「こちらハンターズのゼルディ、ターゲットの排除に成功」
お兄ちゃんは電話を終えると私を抱きあげる。腰が抜けたとでも思ったのだろうか、でも私はそのまま抱かれた、だって嬉しいん
だもん。でもやっぱり顔は赤くなっちゃう。しばらくすると軍隊の人達がわんさか来て、巨大ムカデの処理を始めた。隊長さん
らしき人がお礼と一緒に依頼料を渡した。そしてそのままメディカルセンターへと向かっていった。はぁ〜、この状態でキス・・
してくれないかな〜。想像していると顔が赤くなる、お兄ちゃんはそんな私を見て心配そうに
「大丈夫か？毒でもくらったのか？」
「う、ううん、大丈夫だよ、お兄ちゃんが守ってくれたもん」
私は抱きかかえられた状態でお兄ちゃんにちからいっぱい抱きついた。ちょっと恥ずかしいけどやっぱりお兄ちゃんてサイコー。
強くて優しくてカッコイイ。いつかお兄ちゃんと二人でくらしたいなぁ。メディカルセンターに行った後、そんなことを考えながら
帰っていった。

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