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「話は聞いていたな」
「ああ・・・」
考えられる限り最高の精鋭４人が全くなす術もなく敗北した。ゼクドにとって誤算だった、いくら強敵だとしても
あれほどの精鋭が挑んで深手を追わせるどころか、ほぼ無傷の状態で敗北し、さらに一人が死に二人が戦闘不能。
ゼクドはラーディスに比べて戦闘力は上回ってていたが怪我のため戦力にならなかった。それにこれほどまでの差が
あればいまさら一人増えたところで然したる変わりはない。その上精鋭４人に匹敵するほどの戦力をもっている者は
いない。ゼクドは怪我で戦闘ができない間、ゼルディ及びエレンディラの現段階の戦闘能力と成長度を観察していた。
二人ともフォースとして優れた才能があったが、現時点では対ダークファルスにおいて戦力にならない。故に精鋭
４人に期待していたが結果は惨敗。ゼクドはさせたくはなかったが二人を鍛え戦力に仕立てあげる決意をした。

「お前の両親を、そして世界を変えた者に対して戦う気はあるか？」
「当たり前だ！」
「よかろう、ならばかかって来い。鍛え直してやる」
二人の間に緊張が走る。しかし、ゼルディにとってゼクドから放たれる重圧（プレッシャー）凄まじく強かった。
しかしそれをはねのけゼルディからしかけた。

「ギバータ！」
ゼクドに強力な吹雪が向かってくる。
「フォイエ！」
ギバータの吹雪とフォイエの炎がぶつかり蒸気が巻き起こる。そのゼクド蒸気に紛れ込み一瞬で間合いを詰め剣の
柄の部分でゼルディを打ち据えた。しかしゼルディは怯まずさらに魔法を唱える。

「グッ・・ラバータ！ラゾンデ！」
ゼクドは読んでいたかのように打ち据えた直後後方に下がりラバータを避け、ラゾンデに関しては剣を地面にに
突き刺し避雷針にする。

「どうした！お前はその程度か！・・・これではエレンディラは死ぬな・・・・」
冷たく挑発され、ゼルディは頭に血が登り逆上したように魔法を唱え続けた。
「黙れ！、ラフォイエ！ラゾンデ！！ラバータ！！！」
ゼクドはラフォイエはラバータを唱え中和し、ラゾンデは同じように剣を避雷針に、ラバータはゼルディの真上へ
飛び上がり落下の勢いをつけてゼルディを殴った。

「この程度の挑発で熱くなるな！、冷静を保ち、常に相手の行動を先読みしろ。」
修行は日が暮れるまで休むこと無く続いた。ゼルディは激しい疲労で動けなくなりその場に倒れこんだ。ゼクドは
腰を下ろしゼルディに話しかけた。
「エレンディラに両親が死んだことは話したのか？」
「いや、話してない、話せるはずがない。エレンは自分の両親が死ぬところを幼いころに見ている、そこにまた
新しい両親が死んだと知ってしまえばまた落ち込み、自分がいるから死んでしまうと思いかねない」

さらにゼルディは続けた。
「エレン人一倍家族を失うことに恐怖感をもっている、だからいつも俺のそばにいる。幼いころから辛い思いばかり
してきたんだ、アイツをもう悲しませたりはしない、俺が必ず守って見せる！」
ゼクドは安心した。両親を殺された復讐心で戦うならばあまりに危険だったからである。負の感情は自分を見失わせ、
いくら危険であっても回避しようとさえしなくなる時がある。だがゼルディには復讐心よりも妹を守ることを重視
している。このまま成長すればあるいは・・・・

「さぁ、休憩は終わりだ。再会するぞ」
ゼクドはゼルディにトリフルイドとトリメイトを与え、再び修行をはじめた、ゼルディの意識がなくなるまで・・・・

「オーイ！、エレンディラ」
「ほえ？」
エレンディラが振り替えるとラーディスが走ってきた。ゼクドに言われてエレンディラを呼び戻しにきたのだ。
「ああ、ラーディスさん、あれ？、ダークなんとかを倒しに行ってたんじゃぁ・・・？」
「あ、ああ、挑んでみたが・・・勝てなかったんだよ・・・」
ラーディスは自分の不甲斐なさを呪った。自分がもっと強かったら、こんな幼い少女にあんな怪物と戦わせなくて
すんだのに・・・・と。そんな落ち込んでいるようなラーディスを見て、エレンディラは余計なことを言ってしまった
ように思った。
「ご、ごめんなさい、余計なことを・・・・」
「あ、いや、謝るのは俺の方なんだが・・・」
エレンディラの気遣いでかえって切り出しにくくなったラーディスに、不意にゼクドから通信が入った。
「どうした？、ゼクド」
「すまない、ゼルディの方だけで手が一杯でな、そっち任せる」
「え、ちょ、オイ！」
ープツ・・・・・・・・・
予想外な話でラーディスは少し困惑した。人に教えるのは得意ではないし、しかもゼルディのような修行をさせる
のも気がひける。どうしたものか、と考えているとエレンディラが追い打ちをかけるように尋ねてきた。

「あの〜、話がよく見えないんですけど〜」
ラーディスは戸惑いながらも簡単に説明した。ダークファルスの驚異的な強さやゼクドの考えなど。エレンディラは
返答に困っていた。それほどまでに強力な怪物と戦うのは恐いけど、もしかしたらお兄ちゃんが死んだら・・・と。
「私・・・やります！」
エレンディラの返答は予想外だった。しかし結果的には好都合だった。個人的にこんな少女を戦わせたくない、しかし
うまくゼクドに戦力にならないことを説明して、代理を立てればいいのだ。アックスウェル並の戦力にはならないが
それでも強い者は十分にいる。

「よし、俺は教えるのは得意じゃ無いが・・・ま、とりあえずこの依頼を終わらそうか」
ラーディスは軽く手伝うとともに、エレンディラの戦力を観察した。確かに戦力には程遠いがハンターズになってから
わずかな期間で驚異的な成長を遂げている。それでも残りわずかな期間で戦力に仕立てあげるのは微妙なところだった。

ラーディスとエレンディラは依頼を終え次第、修行を始めた。ゼルディのようにスパルタな修行はついてこれないだろうし、
とりあえず依頼の数を増やし可能な限りエレンディラ一人で戦わせた。しかしそれでも成長は著しく、そのつど簡単な
依頼をさせたりした。

ゼクドがエレンディラを戦力として見極める日、ラーディスはゼクドに相談を持ちかけた。
「レンジャー二人、フォース二人、バランスが悪くないか？」
「確かにハンターのような攻撃重視がいないが、それでも戦力になりそうも無い者を連れていってもあしでまといにしかならんぞ」
「その辺なら問題ねぇよ、一人使える奴を見つけてな」
ゼクドはとりあえずエレンディラの戦力を計り、その後ラーディスの見つけた者の所へ向かった。アックスウェル並では
ないが攻撃力だけならアックスウェルに劣っていない。エレンディラと戦力を比べればエレンディラの方がわずかに劣っていた。

結果、ゼクド、ゼルディ、ラーディス、そしてラーディスの見つけたハンターの青年、ロマリオに決定した。エレンディラは
終始落ち込んでいたが、ゼルディがいいきかせ、残ることに納得していた。その晩、ラーディスは話があるといってエレン
ディラを呼び出した。罪悪感をなくすためゼルディを必ず連れて帰ると約束すると、エレンディラは泣きながら自分からも
お願いした。決してお兄ちゃんを死なせないで・・・と。

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